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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

開業記⑬ スタッフを雇うということ

2011-03-06 23:59:09 | 開業記
13 スタッフを雇うということ

開業した時は、自分の事務所に人を雇い入れるなど考えてもいませんでしたが、3年くらいたったころからTACの講師と教材担当者と社会保険労務士として顧問先を持つという実務との2足のわらじならず3つの業務を行っていくには、一人では時々パンクしそうになり苦しくなりました。

特に講師室に入り教材を担当した3年目は総合本科と上級本科両方の教材を担当しましたので、1年間過敏性大腸炎になり苦しみました。精神的な面で具合が悪くなるということはそれまでもその後もなかったですが、その1年だけは精神的に相当厳しかったのだと思います。それでも医者にも行かず乗り切ってしまいましたが(したがって過敏性大腸炎というのは自己診断です)。当時は教材原稿の締め切りに追われるということに慣れていなかったことと、すべてに実力がなかったので調べたり考えたりすることがとても時間がかかり大変だったのだと思います。

そんなこんなで業務量からいっても、ひとりでやっていて具合が悪くなった時のことを考えても、やはりちょっとでも良いので事務所のことを分かってくれる人が欲しいと考えました。ただお給料を払わなければならないわけですから責任は重いと思い、まずは開業して5年目に友人に月1回だけ来てもらうことにしました。今も事務所で請求事務をしてくれている大津さんですが、実は大津さんは子供を連れて公園に行って遊ばせていた頃にその公園で仲良くなった先輩です。姉のように頼りにしてきた友人に事務所に来てもらい、それからここまで約15年近く事務所の円滑油になってもらっています。特に年末事務所の大掃除後みんなで飲むのですが、その時に大津さんの持ってきてくれる手作り料理が美味しくみんなで盛り上がり1年を終えるのが恒例です。

大津さんの入った翌年、資格取得者の優秀な金近さんが週3日事務所に来てくれるようになり、事務所で金近さんが書類を作り私が顧問先や役所に行くという感じでした。その頃初めて100人規模の優良企業の子会社と顧問契約をすることができてだんだん大きな仕事が入ってくるようになりました。1人の事務所が2人体制になり、人が増えることが先なのか仕事が入るのが先なのかという感じで、ある意味追いかけっこのような感じで仕事と人が増えて行きました。

ある時にもうひとり雇い入れようかと思っているのだけれどお給料が払えるか心配だと支部の先輩社労士である内木元支部長に話したところ、「自分もいつもそんな感じで1人増えればPCも用意したり出費が多いけど、結局何とかなるもんなんだよね」と言われたことをよく覚えています。本当にそんな感じで、人を増やすことにより仕事が入ってくる流れとなり、そこには勢いというか頑張りというかそんなものを呼び込む面もあるのかもしれません。

一番のピンチは金近さんとその時にいたスタッフのもう1人がほとんど同時に辞めることになったときで、私はその時家に帰って泣きました。しかしその時に事務所に入社してくれた今のスタッフの秋澤さんと佐藤さんとそれより4年くらい前から助っ人として来てくれていた三枝さんのおかげて何とか乗り切り、それからはそのメンバーに新たにメンバーが加わりここまで来ているという状況です。

当初自分一人でこなしていた仕事の中で、自分でなければできないことと自分でなくても大丈夫なことを区別してスタッフに担当してもらえる体制は、仕事の範囲を広げて行くにはどうしても必要なことでした。また、ひとりでは考えつかないことをスタッフが相談に乗ってくれたり、情報をくれたり調べてくれたりと、仕事の内容の充実にも欠かせないのです。私とスタッフが2人という3人体制になったところでお互い業務の進行状況を把握できるように業務を共有の仕掛業務一覧表で管理したり、人が増えて行くにつれて必要なことを少しずつ導入して行きました。スタッフがフルタイムで働いてもらうことになったときに社会保険を整備し中退共にも入り、賞与を払えるかどうか考えたりということで中小企業の社長の気持ちは痛いほどわかるようになりました。そうやって少しずつ色々なことを整備しつつここまで来た感じです。

人を雇うということは、自分の未熟さを見せつけられることも多くあり、また責任も重いものだと思います。しかし皆で事務所で笑いあいながら楽しく仕事ができる時間は人生の中でもとても大事な時間なのではないかと、これからも和やかに(しかし仕事には厳しく!)みんなで頑張って充実した仕事をしていければと思います。