真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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ロシアコンサート会場襲撃事件とISISとアメリカ

2024年03月28日 | 国際・政治
 モスクワ郊外のコンサート会場であった襲撃事件は、手当ての甲斐なく死んだ人も含めると死者が140人にのぼり、過激派組織「イスラム国」(IS)が、アマーク通信で動画を公開したといいます。

 そして、ホワイトハウスのジャン=ピエール報道官は、「ISは共通の敵であり、どこにいようと打ち負かさなければならない」との声明を発表したといいます。

 また、米国家安全保障会議(NSC)のワトソン報道官は、「ウクライナの関与は一切なかった」と述べたと伝えられています。でも、こうしたアメリカの主張を、私は誤魔化しではないかと疑います。

 日本を含む西側諸国は、ウクライナや西側諸国と実行犯とのつながりを示唆するロシアの主張を受け入れず、ISの単独犯行説を意図的に広めているように思うのです。ロシアが容疑者からどういう情報を得たか、正確のことはわかりませんが、容疑者11人をウクライナ国境の手前100キロほどの地点で拘束したと言っているのです。そして、その中に実行犯4人が含まれていたとロシアの連邦保安局が発表しているのです。その実行犯は、テレグラムというメッセーアプリで指示を受け、50万ルーブルを約束されたともいうのです。

 すでに裁判が開始され、24日時点で2人は罪を認め、金銭目的でやったことを告白したともいいます。そのロシアの主張を受け入れず、アメリカの発表を何の疑いも持たずに受け入れるのは、やはり、日本のメディアが、アメリカのバイデン政権の影響下に置かれていることを示していると思います。

 先日、笹川平和財団主任研究員、畔蒜泰助氏は、想像を逞しくし、「団結に利用 再動員の可能性も」と題して、下記のようにプーチン大統領を危険視する主張をしていました。でも、その主張の大部分が、具体的な根拠が不明なので、わたしは、アメリカのメディア戦略に基づく情報を、日本で広め定着させようとする意図を感じました。

ロシアのプーチン大統領は23日の演説で、ウクライナの関与があるかのような発言をした。プーチン氏は大統領戦後の19日にあったロシア連邦保安局(FSB)の幹部会で、「ウクライナは、西側諸国の支援を受けながらテロ戦術に移行している」などと発言している。併せて考えると、ロシア政権は今後、事件の裏には米国やウクライナの存在があり、ロシアを弱体化させるために行ったものだという解釈に向かっていく可能性がある。

 テロを防げなかったのはプーチン政権の失策だ。ダメージを最小限にするためにも、事件はウクライナが関係しているという情報を広げるのではないか。それは、愛国心の下にロシア国民の団結を狙うプーチン氏の方針を一層、強化することにつながるだろう。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は22日に公表された報道で、「我々は戦争状態にある」と発言。ジョイグ国防相も21日、ロシア軍に新部隊を設置する方針を示した。これまで部分的動員と志願兵で兵力をまかなっていたが、国民の団結を背景に再動員へと踏み切る可能性もある。前線においてもウクライナの首都や民間インフラへの攻撃など、一層のエスカレーションへと向かうことが予想される。(聞き手・星井麻紀) ”

 

 また、朝日新聞は、プーチン大統領が23日のビデオ演説で、これらの人物がウクライナ国内に逃亡を計画していたとして、”根拠を示さずに「ウクライナ側に越境のための窓口が用意されていた”と報じていました。”根拠を示さずに…” などと、ロシアの主張はことごとく疑問視し、アメリカやウクライナの主張は、根拠が示されていなくても疑問を呈することなく、真実として報道するその姿勢には、ほんとうにあきれます。

 

 中東の紛争をよく知る人たちが、アルカイダやイスラム国の武装勢力を育てたのはアメリカだと言っていたことを思い出します。

 数年前の話ですが、「ワシントン・ポスト」紙が、”アメリカのトランプ大統領がCIAが行ってきたシリアの「穏健な反体制派」への武器供給・訓練事業の終了を決定した”と報じたことがありました。

 アメリカ政府は、シリア紛争勃発後に、アサド政権の転覆のために、「反体制派」を支援していたのです。トランプ大統領は、その事業の停止を決定したということです。

 

 公益財団法人中東調査会主席研究員、髙岡豊氏によると、

欧米諸国の政府や報道機関が期待をかけていた「穏健な反体制派」は、2012年中ごろにはシリアの民心を失った上、イスラーム過激派諸派に従属的な立場でしか存在しえないものだった

 といいます。そのアメリカが支援したシリアの「穏健な反体制派」が、イスラム国に武器や戦闘員を提供するようになったため、「イスラム国」は急速に勢力を拡大したというのです。

 アメリカが反米的な国の反体制派を支援したり、極秘裏に軍事訓練をして育てた組織が、その後「アメリカの敵」に変貌したケースは、「イスラム国」だけではないということです。

 

 さらにさかのぼれば、アメリカが湾岸戦争やイラク戦争で、スンニ派のサダム・フセインを捕らえ、処刑したことが、スンニ派を中心とする中東の勢力バランスを崩し、混乱をもたらすことになったという側面も見逃せないと思います。武力行使の結果は民主化などではなく、混乱がもたらされたのです。

 

 だから、アメリカによる、アメリカのための戦略が、あちこちで、悲惨なテロや紛争を惹起させることになったといえると思います。

 アメリカが反米的なロシアを弱体化させるために、イスラム過激派組織を利用することもあり得ることだ、と私は思います。

  アメリカ国防総省が、「シリア反対制派の武装勢力を訓練して、イスラム国と戦わせる」という作戦を進めているとか、「アメリカがトルコとヨルダン北部の訓練基地でシリアの反政府武装勢力を訓練している」(「ワールド・ネット・デイリー」)と報道されたこともあったのです。

 中東を知る多くの人たちが、アメリカ特殊部隊が、秘密裏に特訓した組織が、現在の「イスラム国」その他のテロ組織になったと指摘していることを忘れてはならないと思います。

 だから、今回のホワイトハウスのジャン=ピエール報道官や米国家安全保障会議(NSC)のワトソン報道官が語った内容は、似たようなアメリカの対ロ作戦を隠すためのものではないか、と私は疑うのです。

 

 藤原直哉氏は、下記をTwitterで取り上げていました。

伝えられるところによると、ウクライナ兵士はテレビ放送中にISISの記章を着けているところを捕ら”えられたという。彼らはモサドの工作員なのか、それともCIAの訓練を受けた特殊な目的のための工作員なのか?

 というのです(https://twitter.com/search?q=%E8%97%A4%E5%8E%9F%E7%9B%B4%E5%93%89%E3%80%80ISIS&src=typed_query&f=top)

 下記は前回に続いて、「日米地位協定逐条批判」地位協定研究会著(新日本出版社)からの抜萃です。こうした理不尽な特権を得ているアメリカと日本の関係にも、 モスクワ郊外のコンサート会場であった襲撃事件に連なる問題を感じます。

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                  4 米軍の優先使用、協力を義務化

                      ──第六~八条 十条、二十一~二十三条

 

                  三、気象情報の提供。自動車に関する特権

  1 気象情報の提供

 地位協定第八条は、気象業務に関して日本側が米軍に与える強力について定めている。

 軍事活動にとって、気象情報は最も重要な情報の一つである。日本政府は、①地上および海上からの気象観測、②気象資料 ③航空機の安全かつ正確な運行のために必要な気象情報を報ずる電気通信業務、④地震観測の資料などを米軍に提供しなければならないと義務付けられている(第八条)。さらに、日米合同委員会での合意によって、公表されていない気象資料や気象観測の原簿などを米軍に提供する義務をはじめ、広範囲の義務が定められている。なお、米軍が自ら行う気象情報収集活動は、軍隊の当然の機能の一つであると考えられており、協定上、当然認められると解釈されている。

 

  2 自動車に関する米軍の特権

 地位協定第十条は米軍人の運転免許の効力などについて定めている。

 地位協定は、アメリカが軍事・軍属およびその家族に対して発給した運転免許証などを、試験または手数料を課さないで日本でも有効なものとして承認している(第十条一項)。米軍および軍属用の公用車両には、識別できる番号票などをつけることになっている(二項)。軍人にとって車両運転は重要な軍事活動の一つであり、軍隊は各国を移動するためその効率的な活動確保のうえで、煩瑣(ハンサ)な試験などうけていられない、というのが理由になっている。アメリカで発給された運転免許証あるいは米軍の運転免許証を持っている軍人、軍属および家族は、日本の運転免許証がなくても、日本での運転を認めるという趣旨である。このため、彼らが交通違反を行っても、アメリカが発給する運転免許証については、日本側は免許の取消し、停止などの行政処分はできない。

 車両には識別番号票を日米地位協定でもつけなければならないことになっているが、実際には米軍車両と識別できるような票はつけられていない。このため、米軍車両が交通事故を起こした場合でも、車両の特定を困難にしている。沖縄県の地位協定見直し要請は、「軍用車両には、県民が容易に識別できるような番号票または記号が付いておらず、さらに夜間になると番号標または記号そのものが見えない場合が多い」と指摘し、「県民が容易に識別できる軍用車両の番号標の基準を示すこと」を要求している。あまりにも当然のことである。

 また、これらの車両には道路運送車両法、自動車損害賠償補償法などの法令も適用されない。したがって、道路運送法の安全輸送に関する規定の適用がないため、ジェット燃料などの危険物がなんの規制もなく輸送されている。

・・・(中略)

 なお、最近になって、国民の批判の高まりによって米軍車両について車両を識別できるプレートの装着と交通事故損害保険の加入が行われるようになった。

 

 3 郵便局の設置の自由

 地位協定第21条は、アメリカの軍事郵便局の設置・運用について規定している。

 公共事業等の利用優先の箇所でみたように、アメリカ側は、軍人・軍属およびその家族が利用する米国軍事郵便局を、日本にある米国軍事郵便局間およびこれらの軍事郵便局と他の米国郵便局とのあいだにおける郵便物の送達のため、施設・区域のなかに設置・運営することができる(第21条)。アメリカの在日外交官、軍事顧問団員など、通常海外で同様の特権が与えられているアメリカ政府のその他の官吏および職員も、この軍事郵便局を利用できる(日米の合意議事録)。これら軍事郵便局については、郵政大臣はいっさいの管理権をもたない(郵便局法特例法)。この郵便局は、軍事郵便局相互および軍事郵便局と他の在日アメリカ郵便局とのあいだの郵便業務を主とするが、日本の郵便局との交換業務をもおこなう。(日本国郵便局とアメリカ合衆国軍事郵便局とのあいだに交換する郵便物の取り扱いに関する規則)。外国為替管理令などにかする臨時特例法によって、軍事郵便局にたいして、対外支払手段などの集中の例外、外国向け送金の制限の免除なども認められている。

 なお、地位協定第22条は、在日米人の軍事訓練について定めている。これは、日本における。米軍の編成、訓練の自由を保障しているものである。


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