真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

HPは hide20.web.fc2.com
ツイッターは HAYASHISYUNREI

日航123便墜落事故から日米関係を考える NO2

2024年06月14日 | 国際・政治

 先日の欧州議会選挙で極右や右派が躍進し、ヨーロッパ諸国の指導者が混乱状態にあるという報道がありました。フランスのマクロン大統領が、歴史的大敗を受けて国民議会(下院)の電撃解散に踏み切ったということもくり返し報道されました。

 でも、その混乱の原因についての分析や考察が、適切になされているとは思えません。確かに、ヨーロッパ諸国で極右や右派が権力を握ると、国際社会は、ふたたび大戦前のような不安定な状況にもどってしまうと思います。でも、現在のG7NATO諸国の主導する国際社会も、行き詰まりを打開できる見通しはなく、G7NATO諸国の合意政策を継続する限り、混乱状態を脱することはできないと思います。

 そして、行き詰まり打開の道は、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELACの「カラカス宣言」や「カラカス行動計画」が示していると思います。

 2011に、ベネズエラの首都カラカスで開かれた中南米諸国33カ国の首脳会議で、「南アメリカ解放の父」と言われる英雄シモン・ボリバルを共に称賛し、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)設立原則を「カラカス宣言」と「カラカス行動計画」に記して、満場一致で採択したということが、新しい国際社会を生み出そうとする動きであると思います。ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELACの加盟国が、アメリカ合衆国とカナダを除く33カ国であるということがそれを示していると思います。だからそれは、欧米による搾取や収奪、また、新植民地主義的な支配を拒否ということだと思います。

 同じように、アフリカ大陸にも、「アフリカ合衆国」の構想があります。アフリカ合衆国(United States of Africa)は、アフリカを統一国家とする構想で、クワメ・エンクルマやムアンマル・アル=カッザーフィーが提唱し、2007年、アフリカ連合9回サミットで、当時のリビアの指導者カッザーフィーが、具体的な提案したといいます。そして、現在もアフリカ連合において議論が継続されているといいます。反米主義者とて知られるカッザーフィーは、政治や経済の統合を進めて、欧米に対抗しようとしたのです。だから、この「アフリカ合衆国」の構想も、アフリカ諸国が結束して、欧米の搾取や収奪、また、新植民地主義的支配を拒否しようとするものなのだと思います。
 したがって、西アフリカのニジェール軍事政権が、フランスやアメリカに軍部隊の撤退を要請したことも、そういう流れのなかで、見る必要があると思います。ニジェール国内で欧米諸国への嫌悪感が高まり、デモがくり返されていたといわれているのです。

 大航海時代以来、欧米諸国は、ラテンアメリカやアフリカ、中東やアジアの国々を植民地支配し、吸い上げた利益で繁栄してきたといえると思います。戦後、多くの国が独立し、直接的な権力支配はあまり見られなくなったとはいえ、新植民地主義といわれるような新しいかたちの支配が、現在なお続いていると思います。だから、欧米が主導する国際社会、すなわち、搾取や収奪、新植民地主義的な他国支配、さらには、戦争がくり返される国際社会では、混乱状態を脱することはできず、根本的に解決されることはないと思うのです。

 そうした欧米の搾取や収奪、新植民地主義的支配を象徴するのが、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザに対する攻撃ではないかと思います。

 先日(68日)、IDF(Israel Defense Forces)のダニエル・ハガリ報道官は、パレスチナ自治区ガザ地区中部のヌセイラト人質救出作戦を実施し、人質4人の救出に成功したと発表しました。また、「120人の人質を取り戻すためにあらゆることを行う」とも述べたといいます。それは、国際法を守る意思はないということだと思います。

 パレスチナ自治区ガザの保健省は その人質救出作戦で、8日、283が死亡し、1日の死者数としては昨年12月半ば以降で最多を記録したと発表しているのです。でも、イスラエルがそれを受け止める様子はありません。きわめて差別的だと思います。ふだんは表に出て来ない欧米の差別性が、ハマスの攻撃を受けたイスラエルによって、露わにされることになったのだと思います。

 ネタニヤフ首相も、シェバ病院で救出された人質4人とその家族と面会した後に声明を発表し、そのなかで、「ハマスが人質を全員解放することを期待しているが、もし解放しないのであれば、われわれは人質を全員帰国させるためにあらゆる手段を講じる」と述べたといいます。一方的な主張であり、強引だと思います。そうした一方的で強引な主張が出てくるのは、民主主義を装いつつ、搾取や収奪、新植民地主義的な他国支配を続け、大戦後も各地で戦争をくり返し、武力行使をくり返してきたアメリカの差別的な戦略の影響だと思います。でも、アメリカは国際社会の反発を招かないように、うまくつくり話を交えて、自らの戦争や武力行使を正当化してきたのです。でも、情報手段の発展や世界的な交流の深まり、中国の著しい成長などによって、徐々に通用しなくなり、世界的にアメリカ離れ(欧米離れ)が進むことになったのだと思います。

 アメリカ合衆国とカナダを除く33カ国によるラテンアメリカ・カリブ諸国共同体の設立や、「アフリカ合衆国」構想が話し合われている理由は、欧米による搾取や収奪、また、新植民地主義的支配を拒否しようとする姿勢が背景にあるのだと思います。グローバルサウスやブリックスが力をもつようになってきたのも、そうした流れと切り離して受け止めることはできないと思います。

 岸田首相や上川外相が世界を飛び回って、グローバルサウスやブリックスの切り崩しに努めているようですが、国際社会の流れや発展に逆行するものであり、日本の利益にも反すると思います。

 そして、そう考えざるをえないような問題は、いたるところにあるのです。だから、今回も

日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ」青山透子(河出文庫)から、「3部 乱気流の航空業界 未来はどこへ」の「第一章 過去からのメッセージ」「●不起訴の理由」の続きを抜萃しました。

 前回は、ボーイング社が日航123便墜落事故の関係者に対する検察の聴取を拒否したために、関係者全員を不起訴処分にせざるをえなかったことが中心でした。

 今回は、「隔壁破壊によって垂直尾翼が飛び、油圧配管が切断されて操縦が不能になった」という日航123便墜落事故の原因とされる話が、実は、「つくり話」である可能性が大きいという重大問題が中心です。

 下記のような記述を見逃すことができません。

私が検事正になったとたん、すでにマスコミが『検察不起訴か』などと報道し始めた。いったいどうなっているのかと驚いた。さらに捜査会議を開いたら、部下の検事はだれもこの事件は起訴できないと言った。

 タイ航空機事故では、”乗客の証言からはドーンというは破壊音とともに、機内与圧が急激に低下し、白い水蒸気のような気体が充満したことが明らかになっている。乗客乗員、89名が一瞬で航空性中耳炎になった。山口氏は日航機事故では「それがなかった」と指摘、従来の隔壁説に大きな疑問を投げかけている。さらに山口氏は一気に発言している。”

ボーイングが修理ミスを認めたが、この方が簡単だからだ。落ちた飛行機だけの原因ならいいが、全世界で飛ぶ飛行機の欠陥となると売れ行きも悪くなり、打撃も大きくなる。そこで、いち早く修理ミスとした”

山口から日航関係者への意見として、「整備陣もやるべきことをやっていなかった事実もある」ということや、彼らが最後まで非協力的であったという事実、さらに任意で事情を聞くと、必ず調書を一言ももらさず写して帰り、地検に呼んだ日本航空の人間すべてが判で押したような答えをする、と書いてあったという発表も付け加えた。”

事故に対しての責任を微塵も感じさせない振る舞いで苛立った捜査員が机を叩くと「✕時✕分、✕✕氏が机をたたく」ということまでメモしているということである。

 日航123便墜落後、東京地検検事が渡米して、ボーイング者側の事情聴取が行えるように米国司法省と協議を重ねたのに、捜査協力がえられず、ボーイング社より関係者の聴取拒否と回答されたために、膨大な事故に関わる資料や調書類が闇に葬られることになり、誰も起訴できず、賠償を得る可能性もなったところに、アメリカという大国の支配の「力」が見える、と私は思います。差別的だと思います。

ーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

                 3部 乱気流の航空業界 未来はどこへ

                   第一章 過去からのメッセージ

 ●不起訴の理由

 ・・・

 なお、この事件を担当した山口悠介前橋地検検事正は遺族側からの強い要望で異例の説明会を開いたそうである。(1990717日に実施)

 それについての記事が時効直前の83日付毎日新聞朝刊に載っているのを取り上げた学生Fの発表が、その検察側の意見を反映していて、別の角度から物事を考えさせるきっかけとなった。記事の内容は以下の通りである。

 

 ゆったりと流れる利根川が見える前橋地検三階にある検事正室で遺族側21名、弁護士2名で山口氏との説明会は5時間にも及んだとある。

 山口氏はこの年の前年、19899月まで東京地検の次席検事であり、リクルート事件、平和相互銀行事件など、数々の政財界の汚職事件を手掛けている。いわばやり手の検事である。

 その山口氏はこう述べている。

私が検事正になったとたん、すでにマスコミが『検察不起訴か』などと報道し始めた。いったいどうなっているのかと驚いた。さらに捜査会議を開いたら、部下の検事はだれもこの事件は起訴できないと言った。それでも私は様々な角度から捜査した。

 捜査の結果、わかったことは修理ミスかどうか相当疑わしいということだ。事故原因にはいろいろな説がある。タイ航空機の時には、乗客の耳がキーンとしたという声があったが、今回はない。圧力隔壁破壊がいっぺんに起きたかどうかも疑わしい」

 この発言の中にあるタイ航空機事故は19861226日、高知県上空で起きた事故で、機体後部の圧力隔壁が破損して、大阪国際空港に緊急着陸した、前述の事件である。

 この時、乗客の証言からはドーンというは破壊音とともに、機内与圧が急激に低下し、白い水蒸気のような気体が充満したことが明らかになっている。乗客乗員、89名が一瞬で航空性中耳炎になった。 山口氏は日航機事故では「それがなかった」と指摘、従来の隔壁説に大きな疑問を投げかけている。さらに山口氏は一気に発言している。

まず、ボーイングが修理ミスを認めたが、この方が簡単だからだ。落ちた飛行機だけの原因ならいいが、全世界で飛ぶ飛行機の欠陥となると売れ行きも悪くなり、打撃も大きくなる。そこで、いち早く修理ミスとした。

 事故調査委員会の報告もあいまいだ。(膨大な書類を指して)これを見ても真の原因分からない。事故後の機体や遺体の写真、ボーイング社、日航、運輸省関連調書、何を見ても事故の報告書でしかなく、それからは本当の原因などは何もわからない。皆さんはわれわれが何か特別に大切なものを持っているように思っているかもしれないが、本当に原因が不明なのです」

 そう言って、すべての書類が入ったキャビネット20本以上を遺族に見せた。その凄惨な事故の写真の数々を見た遺族たちは言葉を失ったという。

 

 学生Fは言った。

この担当検事自らが語ったのはすごいことだと思います。事故調査の結果、委員会で出した結論が疑わしいということを言っているのですから、本気だと思います。

 隔壁破壊によって垂直尾翼が飛び、油圧配管が切断されて操縦不能というのが事故の原因とする隔壁説だとすると、それに対して意見を言った山口検事の心には何か思うところがあったのでしょうか。ただ残念ながら、遺族はその気持ちを違う方向で受け取られたようです。なぜならば、『何をいまさら! 言い逃れか! それは、あなたたち検察が十分調査をしなかった、自分の仕事をしなかったからなのではないか』と言って、怒ってしまっているからです。つまり、検事の言い訳ととったようです。さらにそれを聞いたS評論家はこんなことを言いました。

わが国最高のメンバーである調査委員会の報告書を疑うならば根拠を示せ』

 こう言われてしまった山口検事は大変不愉快だったと思います。なぜならば、ここまで自分は正直な話をしているのに、この評論家はメンバーの評価だけを言っている、つまり、内容を客観視せずに運輸省側のために言っているような御用評論家だと思われても仕方がないでしょう。しかし結局は、山口検事の発言は無責任すぎる、という記事内容でした。でも、今となってもう一度、ゆっくり客観的に読んでみると、もし無責任ならば、わざわざこのような説明会など開かないのではないか。いくらでも避ける方法はあるはずで、むしろ、山口検事の心の中にあるわだかまりと良心がこのような発言をしたという見方は出来ないだろうか。と、そう感じたのです』

 

 なるほど、この学生の意見には感心した。物事を客観的に見る目がとても鋭い。私自身も気付かなかったことである。しかし「遺族の人たちは納得いかないだろうな」と思った。「そう考えるのはちょっと無理だろう」という意見も出た。

 また、山口から日航関係者への意見として「整備陣もやるべきことをやっていなかった事実もある」ということや、彼らが最後まで非協力的であったという事実、さらに任意で事情を聞くと、必ず調書を一言ももらさず写して帰り、地検に呼んだ日本航空の人間すべてが判で押したような答えをする、と書いてあったという発表も付け加えた。

 

 写して帰って同じ答をするということは、何を意味しているのか。

 自分を守るためにやってるのか、会社を守るためにしているのか、よく分からない。

 誰かが、「こんなおやじ最低!」と叫ぶ。

 さらに、事故に対しての責任を微塵も感じさせない振る舞いで苛立った捜査員が机を叩くと「✕時✕分、✕✕氏が机をたたく」ということまでメモしているということである。

 なんと情けないことだろうか。

 同じ会社の社員だった者として、これは許せない態度である。学生たちもこんな上司なら、すぐ会社を辞めたくなると言った。

 彼らは整備士という仕事に人生を懸けたプロの集団だったのではないか。

 自ら責務を持って仕事をしてたのではないのか。

 私もさすがに憤った。これがナショナルフラッグキャリアの看板を背負って昼夜問わず働いた仲間のすることなのだろうか。「何時何分、机をたたく」と書くことに何の意味があるのか。

 520名の命を考えるとその態度はどういうことなんだろうか。

 何を守り、何をしなくてはいけないか、分かっているとは思えない。会社の内部にいると世の中がまったく見えないものなんだろうか。

 学生たちは就職した職場をイメージして、これでは風通しが良いとは言えないし、自分がそれを強いられたらどうしようか、真剣に考えている。

 弱い立場の人間は、なかなか本音が言えるものではないということは分かる。

 ましてや修理ミスの嫌疑がある人たちは、どうしたら良いのか分からなかったのか。

 それでは、会社側が契約している弁護士たちにアドバイスされたのか。だとしたら、その弁護士は、それで何を守ろうとしていたのだろうか。

 法曹界で働く身内がいる学生は次の授業までに意見を聞いてくることも、この日の課題となったのである。

 ただ学生たちは、そんな態度をとる人間がいる職場では働きたくないというのが、共通の結論だった。私にとっては非常に悲しく、残念な意見であった。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日航123便墜落事故から日米関... | トップ | 日航123便墜落事故から日米関... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国際・政治」カテゴリの最新記事