『小麦の祖先の発見』でノーベル賞候補の期待も高かった京都大学の木原均教授(1893~1986)の功績は多岐にわたる。
その第一人者であったゲノム研究では従来の遺伝学や生命科学に大きな変化をもたらし、「生命の歴史は染色体に記されている」という先生の言葉の通り、現代社会ではDNAの中身の解析が可能になり、その技術はゲノム編集等にまで進化している。
その昔、北海道大学大学院で小麦の研究を始め、先生の名を世界にとどろかせたのは、『小麦の祖先の発見』だった。京都大学農学部教授の1944年、実験室の顕微鏡による染色体分析を通じて、染色体21本のパン小麦(所謂パンの小麦)が、14本の染色体を持つマカロニ小麦(所謂ヨーロッパ系の小麦)と7本の染色体を持つ他の種との交配によって発生したと仮定した。アフガニスタンやイランなどで学術探検を行って該当する野生種を発見、実証した。このコムギの起源の解明は、害虫や病気に強い品種の開発でのちに成果をもたらすことになる。
北海道大学創基百周年記念講演(1976年9月14日)の中で彼は「生命科学の役割はたくさんあるが、地球は人間だけのものではなく、全ての生物がここで生を営んでいるのです。他の生物なしでは人間は生きることができません。このままなりゆきまかせで行くならば、いつかは自滅することでしょう。医師が人類の病気を予防したり治療するように、生命科学は地球の医師となって働いてほしいものです。」と述べたといわれている。
遺伝子操作が可能になりつつある現代社会に、地球はさも人類のために存在しているというような錯覚に陥ることなく、“神の手”を決して持つことを許さない倫理観が大切なことを当時から先生は我々に示唆してくれていたことに、今更ながらに感謝する。
その第一人者であったゲノム研究では従来の遺伝学や生命科学に大きな変化をもたらし、「生命の歴史は染色体に記されている」という先生の言葉の通り、現代社会ではDNAの中身の解析が可能になり、その技術はゲノム編集等にまで進化している。
その昔、北海道大学大学院で小麦の研究を始め、先生の名を世界にとどろかせたのは、『小麦の祖先の発見』だった。京都大学農学部教授の1944年、実験室の顕微鏡による染色体分析を通じて、染色体21本のパン小麦(所謂パンの小麦)が、14本の染色体を持つマカロニ小麦(所謂ヨーロッパ系の小麦)と7本の染色体を持つ他の種との交配によって発生したと仮定した。アフガニスタンやイランなどで学術探検を行って該当する野生種を発見、実証した。このコムギの起源の解明は、害虫や病気に強い品種の開発でのちに成果をもたらすことになる。
北海道大学創基百周年記念講演(1976年9月14日)の中で彼は「生命科学の役割はたくさんあるが、地球は人間だけのものではなく、全ての生物がここで生を営んでいるのです。他の生物なしでは人間は生きることができません。このままなりゆきまかせで行くならば、いつかは自滅することでしょう。医師が人類の病気を予防したり治療するように、生命科学は地球の医師となって働いてほしいものです。」と述べたといわれている。
遺伝子操作が可能になりつつある現代社会に、地球はさも人類のために存在しているというような錯覚に陥ることなく、“神の手”を決して持つことを許さない倫理観が大切なことを当時から先生は我々に示唆してくれていたことに、今更ながらに感謝する。
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