人が生きる世の中(サランサヌンセサン)
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韓国ドラマ「TV小説ウンヒ」(ウンヒの涙) KBS 2013年 140話③
韓国ドラマ「TV小説ウンヒ」(ウンヒの涙)再放送を見直しました。KBSが制作をやめてしまったTV小説シリーズですが、今となっては貴重なドラマ達だと思います。それは何故かと言えば、物語の起因はほとんどが朝鮮戦争だからです。こんなにも朝鮮戦争は韓国の歴史、経済、人々の意識や人生に影響を及ぼした出来事だったのかと、改めて思わずにはいられません。避難の途中や爆撃の最中、38度線越え、二度と戻れない故郷への想い。「TV小説ウンヒ」(ウンヒの涙)の背景には朝鮮戦争がもたらした悲劇がありました。
「TV小説ウンヒ」の主人公ウンヒに感情移入ができなくて以前は辛口の点数をつけました。今回はウンヒの物語というより、もう一人の主人公チャ・ソックを中心にTV小説「チャ・ソック物語」として受け入れて観ていました。哀れなチャ・ソックを演じた俳優パク・チャンフンの演技をこれでもかこれでもかと堪能したドラマでした。素晴らしい俳優です。1970年代の仁川とソウルを舞台に中だるみもありますが、明るく頑張って生き抜く庶民やシビアな経営者たちを描き、豆腐工場の工場長チャ・ソックの犯罪が重なりシリアスになっていきます。あげく、ソウル「南山」と言われるKCIA(中央情報部)の拷問施設まで出てきました。
あらすじ
朝鮮戦争が勃発する前の殺人事件は事故とも言える出来事でした。親友が罪を着せられて逮捕されます。犯人のチャ・ソックは貧しくてもともと善良な人間です。自首するために警察へ行きますが戦争が勃発。爆撃で親友は罪を着せられたまま亡くなってしまいます。南へ南へと逃げまどう人々。殺した人の母親と息子を助けて恩人として家族になります。罪悪感もあり、犠牲者の母親と息子にひたすら愛情をそそぎ、20数年がたちました。順風満帆に豆腐工場を営む家族の前に、濡れ衣を着せられた親友の母娘があらわれてドラマが進んでいきます。
主人公ウンヒの出生の秘密もあり、犯罪者の娘というレッテルも貼られますが、たくましく生きていきます。恋のライバルが意地の悪い邪魔をします。
嘘が嘘を重ね、次々と犯罪を犯してしまうチャ・ソック。どうしようもない状態に悩み「良い息子、良い父親でいたかった。二度と戻れない川を渡る」とナレーションが入ります。「金より権力がものを言う」ことが身にしみ、政治の世界に飛び込もうと身の丈に合わない欲望が破滅へと向かわせてしまいます。
チャ・ソックの息子として育ったソンジェは父の犯罪を知りながら、父の愛情や共に苦労した出来事を次々と思い出し、葛藤に苦しみそして父をかばいます。
ラストのチャ・ソック(パク・チャンフン)雪の舞いに何度も書きますが、感動して観ていました。
韓国ドラマには教会のシーンがよく出てきます。恋人たちが愛を誓うあう教会ですが、このドラマでは救いや懺悔で使われました。ソンジェの悩みや救いを求めるシーンだったり、チャ・ソックの懺悔のシーンだったり、涙のソンジェが父親と心中しようとするシーンなど。教会がある意味、許しを示唆する大事なテーマだったのかと思います。二人がもがき苦しむシーンには泣きました。このドラマの教会のシーンは本当によかったです。
採点10点満点中5,5点