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25 Best Ennio Morricone Songs

2020-07-07 12:43:54 | 音楽
ウルトラマン・ウルトラセブン等の特撮ものシリーズって、もう私はたぶん死ぬまで見ないのかなと思う。子どもの頃は夢中で見たのに。

けどその主題歌や劇伴音楽の一部は、一生ものとして聞き続けることになりそう。『帰ってきたウルトラマン』の主題歌を作ったすぎやまこういちって人はいまは極右・国粋主義のアジテーターとなってしまったが曲への愛着は別だ。

そうした意味では、膨大な数の映画音楽を手がけた巨匠エンニオ・モリコーネも、もっぱら映画音楽の巨匠として知られるが、私などは映画抜きで彼の音楽だけを聞いていたい。

一聴して分る、モリコーネ以外の何ものでもないという新しい音楽を作り上げ、それはもちろん映画と密着し最大限の効果を挙げるよう計算されたものだ。が彼の名声を高めたいわゆる「マカロニ・ウエスタン」=娯楽色の強いイタリア産西部劇映画についてはどうもご本人は血なまぐさい描写は苦手で政治信条は穏健左派とのこと。

楽曲使用を許したクエンティン・タランティーノ監督の作風も「流血が多い」とお気に召さず、インタビューで彼とは仕事をしたくないと発言していたが、2015、タランティーノの『ヘイトフル・エイト』のために作曲。西部劇映画の音楽に携わるのは35年ぶりという。うるわしい人生はこれからも―



続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
L'estasi dell'oro (The Ecstasy of Gold) (1966 - The Good, the Bad and the Ugly)
Il buono, il cattivo, il brutto (The Good, the Bad and the Ugly) (1966 - The Good, the Bad and the Ugly)
血沸き肉躍る音楽。3分の交響曲


オルカ
Carol Connors / We Are One (1977 - Canto Morricone Vol. 3 The 70's)
『ジョーズ』の大ヒットを受け続々作られた動物ネタのパニック映画で、シャチを題材とするこれも各国でヒット。私は中1でした。

ニューシネマパラダイス
Nuovo cinema paradiso (1988 - Nuovo cinema paradiso)

新・夕陽のガンマン/復讐の旅
Guitar Nocturne (1967 - Da uomo a uomo)


Miranda Martino / Scetate (Wake Up) (1965 - Canto Morricone Vol. 1 The 60's)
映画のためではなく普通のポップスとして書かれたらしい。

夕陽のギャングたち
Invenzione per John (1971 - Giù la Testa)

ラ・カリファ
La califfa (1970 - La califfa)
映画は日本未公開ながら非常に流麗な、代表曲といっても過言でない曲。のち85年になってルーブル美術館を紹介するNHKの番組にこのサントラ盤から音楽が流用されたそうだ。


夕陽のガンマン
La resa dei conti (1965 - Per qualche dollaro in più)
挿入曲。途中でバッハのようなパイプ・オルガンが鳴り響くのがインパクトある。

ウエスタン
The Man with a Harmonica (1969 - Once Upon a Time in the West)
C'era una volta il west (1969 - Once Upon a Time in the West)
The Man with~はチャールズ・ブロンソン演じる「ハーモニカ」のテーマというべき挿入曲。ヘンリー・フォンダが残忍な悪役を演じたことから米国では不評だったとのこと。



Revolver
Un amico (titles) (1973 - Revolver)

さすらいのガンマン
Navajo Joe (1966 - Navajo Joe)

マレーナ
Malena (2000 - Malena)


シシリアン
Il clan dei Siciliani (Instrumentale) (1969 - Le clan dei Siciliani)

Vergogna schifosi
Un altro mare (1969 - Vergogna schifosi)

Maddalena
Come Maddalena (1971 - Maddalena)
この映画からは別のChi Mai(キ・マイ)という曲が後にBBCのドラマ主題曲となり、英2位のヒットに。


死刑台のメロディ
Joan Baez / Here's to You (1971 - Canto Morricone Vol. 2 Western Songs & Ballads)
歴史的な冤罪とされるサッコ・ヴァンゼッティ事件を扱った社会派映画だという。ジョーン・バエズによる主題歌は「勝利への讃歌」との邦題でオリコン30位のヒット(この頃の洋楽でオリコンに上った曲は認知度が凄い。みんな聞いたことあると思う)


Occhio alla penna
L'ultima tromba (1981 - Occhio alla penna)
ハーモニカの男と近い系統の挿入曲。ハーモニカ、トランペット、ハミングの男声コーラスが巧みに盛り上げる。


夕陽のガンマン
Per qualche dollaro in più (1965 - Per qualche dollaro in più)
私はこれが一等好き。サッカー中田ヒデ出演のCMで使われましたな。


ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
Once Upon a Time in America (1984 - Once Upon a Time in America)

Il mio nome è Nessuno
Se sei qualcuno è colpa mia (1973 - Il mio nome è Nessuno)
時計の刻む音に導かれる巧みなアレンジが実にサスペンスフル。


Zucchero / Libera l'amore (1989 - Canto Morricone Vol. 4 The 80's & 90's)



Mina / Se telefonando (1966 - Studio uno 66)
以上の2曲も普通のポップスとして書かれたらしい。


荒野の用心棒
Per un pugno di dollari (Titoli) (1964 - Per un pugno di dollari / A Fistful of Dollars)
これを皮切りに『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』とクリント・イーストウッド主演、セルジオ・レオーネ監督、モリコーネ音楽の3作が大ヒットし日本では「ドル箱三部作」、米国ではDollars Trilogyと呼ばれているそうだが、私はどれも見た覚えがない。


以上は2016年2月の記事Ennio Morricone Playlistより。2020年7月、モリコーネさんが6日の朝に大腿骨骨折の合併症で死去したとの訃報が流れ、選曲を一部改めました。多くの訃報で「アカデミー賞を受けた」と枕詞になっていることに私は不満を覚えます。コロナ禍とそれに続くBlack Lives Matterの件でアメリカが野蛮な国であることがあらためて示されていますが、原点に先住民を殺戮・略奪した歴史があり、西部劇映画はそれを美化するものです。

音楽の世界にも、とくに中南米では「アメリカで認められなければ」ということで英語で歌ったり甘口のコマーシャリズムに走ったりして人生を狂わせた者が少なくない。生涯に500以上の映画に携わる歴史的な作曲家であったモリコーネさんですら6回のアカデミー作曲賞ノミネートで受賞は晩年の(監督がアメリカの代表的な)ヘイトフルエイト1回であるということも米国の資本主義の傲慢さを示していると申せましょう。あらためて彼の偉業を称え、ご冥福を祈ります。
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