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洋楽の中の中国

2014-09-07 22:29:18 | 音楽
iTunes Playlist "洋楽の中の中国" 120 minutes
1) Theme from Enter the Dragon / Lalo Schifrin (1973 - Enter the Dragon OST - ブルース・リーこそ「一世を風靡する」という言葉が最もふさわしい人物であろう。しかもその時すでに彼は世を去っていた)



2) Kung Fu Fighting / Carl Douglas (1974 - Have a Nice Decade: The '70s Pop Culture Box - カンフー映画のブームに乗って米英1位など大ヒットしたノベルティ・ソング)



3) Kung Fu / Ash (1996 - 1977 - ジャッキー・チェン、フーマンチュウといった人名が印象的なブリットポップ全盛期のヒット)



4) Protect Ya Neck / Wu-Tang Clan (1993 - Enter The Wu-Tang: 36 Chambers - この曲を収めているアルバムはヒップホップを代表する名盤として知られ、タイトルは『少林寺三十六房』なる映画に由来。ウータンという名も別のカンフー映画から)



5) Wonton Soup / Lil B (2010 - Blue Flame - 「Eat That Wonton Soup, Wet Like Wonton Soup」という歌詞。ここにも36という数字が登場)



6) Chinese Rocks / Ramones (1980 - End of the Century - 2012年2月の有吉のラジオで、彼がアシスタントのデンジャラス安田氏を「おっっラモーンズのTシャツ着てる。かっこいいじゃん」と褒めたところ、安田は「ラモーンズって何?」と)



7) Hong Kong Garden / Siouxsie & the Banshees (1978 - No Thanks! The '70s Punk Rebellion - Disc 4 - スージー&バンシーズのデビュー曲。彼らの作曲能力を私はあまり買っていない)



8) Some Girls / The Rolling Stones (1978 - Some Girls - さまざまな女たちの中で「Chinese Girls Are so Gentle」だと)



9) State of the Heart / Rick Springfield (1985 - Tao - 道教に基づくコンセプト・アルバムだというが、単なる商業主義としか思えん)



10) Aja / Steely Dan (1977 - Aja - Chinese Musicが流れる街の光景が歌われる、スティーリー・ダンの名盤タイトル曲)



11) Shiny Happy People / R.E.M. (1991 - Out of Time - サビで中国政府のスローガンを歌うのは、天安門事件を皮肉ってのことだとされる)



12) Revolution / The Beatles (1968 - Past Masters, Vol. 2 - 「毛主席の写真なんかかざして、革命のつもりかい」とジョンの冷笑)



13) Chinese Translation / M. Ward (2006 - Post-War - 歌詞には中国にまつわる言葉は見当たらず、観念的な内容のようである)



14) Upstairs by a Chinese Lamp / Laura Nyro (1970 - Christmas and the Beads of Sweat - ムード演出の一つとして中国茶やチャイニーズ・ランプが使われる)



15) Shanghai / Ed Harcourt (2001 - Here Be Monsters - 「上海へ行くんだよ」というラブソング)



16) Good Advice / The Growlers (2014 - Chinese Fountain - 今回の最新曲。アルバム・タイトルとジャケ以外には中国への言及はなさそう)



17) Moonsea / Phildel (2013 - The Disappearance of the Girl - 2009年にデビューした英国のシンガー・ソングライターで本名Phildel Hoi Yee Ngといい父親が中国人)



18) Lady Luck / Jamie Woon (2011 - Mirrorwriting - ブリアルなどとコラボしている英国の歌手。父親がマレー系中国人)



19) 007 (Shanty Town) / Desmond Dekker (1966 - This Is Desmond Dekkar - 中国系ジャマイカ人のレスリー・コンはプロデューサーとして、また国際感覚のある商人として、この曲をはじめ初期のレゲエが全英チャート等を通じ世界に認知される基盤を整えた)



20) Iggy Iggy / Augustus Pablo & Herman Chin Loy (1971 - Aquarius Rock: The Hip Reggae World of Herman Chin-Loy - ハーマン・チン=ロイはコンの一族の一人で、プロデューサーとしてオーガスタス・パブロを発掘し、アジアン・テイストある「ファー・イースト・サウンド」を共に生み出した)



21) Collie Weed / Barrington Levy (1979 - Shaolin Temple - レゲエ/ダンスホールの人気歌手バーリントン・リーヴィのベスト盤より)



22) Mr. Chin / Yellowman (1982 - Mister. Yellowman - スーパーマーケット経営者のミスター・チンについて「ちゃんとした物を売ってくれ。彼の一人娘は俺が抱くと歌いだす」などと歌うコミカルなレゲエ)



23) Chinese Children / Devendra Banhart (2005 - Cripple Crow - 中国で子どもを設けると、ロシア、アイルランド、グリーンランド、どこへ移り住もうが子どもは中国の子どもであり続ける、という奇妙な歌)



24) Chinatown / Thin Lizzy (1980 - Chinatown - 私のiTunesは "Chinatown" という同名異曲を計4曲収める。ここに挙げたほかルナとワイルド・ナッシング)



25) Chinatown / Destroyer (2011 - Kaputt - 近年最も有力なシンガー・ソングライターの一人もこのテーマで。ちょっとシュール)



26) Black Man Ray / China Crisis (1985 - Flaunt the Imperfection - チャイナ・クライシスと名乗った英バンドの代表的ヒット)



27) China Doll / Julian Cope (1988 - My Nation Underground - 磁器の人形をチャイナ・ドールと呼ぶ。この曲には心を奪われた。リリース翌年にも私のチャートで1位に返り咲いた)



28) China Girl / Iggy Pop (1977 - The Idiot - イギー・ポップがデビッド・ボウイと共作した曲の中でも、ボウイが後でセルフカバーしたことでよく知られている)



29) Goin' Back to China / Diesel (1980 - Watts in a Tank - 香取洋子が日本語カバーして小ヒット。♪今夜 異国で抱きしめて~)



30) China in Your Hand / T'Pau (1987 - Now Decades '83-'03 - フランケンシュタインの作者メアリ・シェリーについて歌われ、「中国」ではなく「磁器」を指すらしい。全英1位の壮大なバラード)



当初、過去2度にわたってお届けした「洋楽の中のにっぽん」と同じく "tribute" 企画の一環とするつもりだったのだが。
「にっぽん」の時に選んだ、クイーン、ヴァン・ダイク・パークス、フレーミング・リップスのような、日本語で日本のリスナーに呼びかける曲が中国版では見当たらないので、「賛辞」の主旨にはそぐわないなと。

あるいはかつて、欧米列強が(中国を)食いものにしたという負い目があるのかも分からない。
中国人民は、共産党政権の所有物で、他国人は手を出すことができない。インターネット時代に入っても、厳しい情報統制が敷かれ、あのグーグルですら撤退せざるをえない。

かの国は、封建王朝のいにしえから、ヒト・モノ・カネの流通を、市場を押さえることで、末端の隅々まで睨みを利かし、意のままに支配する、まるで総合商社のように運営されてきた。
そうした歴史にあっては、マルクス主義⇒毛沢東思想も、儒教や科挙と同様な、広大な中国を支配する手段に過ぎなかった。貧困なまま爆発する人口も毛主席にとって「人口の多さは望むところ」だったのだ。

改革開放の鄧小平時代に入っても、「人民は政府の所有物」で、人権や民主主義といった普遍的価値観は尊重されないことが天安門事件などで証明される一方、逆に中国人は華僑として悠々と国境をまたぎ、世界に数千万人が、郷に入っても郷に従わず、血縁や職業の縁で独自のネットワークを築き、陰に陽に母国の影響力拡大に貢献している。

グローバル経済の適者生存。異文明の超大国が、いま、長い眠りから覚めようとしている–



■世界の街・海外リポート - 北京 - 命を懸けた座り込み
中国で人権問題を取材していると不合理な話はいくらでもあるが、今回ばかりは絶句した。昨年夏に取材した人権活動家の曹順利さんが急死したからだ。彼女は当時、中国政府が国連に提出する人権報告書に自分たちの意見を反映してほしいと訴えるため、中国外務省前で座り込み運動をしていた。夏の暑い時期にもかかわらず、仲間たちと昼夜交代で座り込んでいた彼女は見るからに元気そうだった。

「私たちの人権状況が少しでも報告書に盛り込まれれば」と穏やかな口調ながらきっぱり語っていた。しかしこの座り込みが社会を騒がせたとして警察当局に拘束され、肺結核などにかかって危篤状態で病院に移された時は手遅れだったという。

わずか半年余りでなぜここまで健康状態が急変したのか。中国外務省の定例会見で質問すると報道官は「誠実な治療を受けており、彼女の権利は保障された」と主張。欧米諸国が指摘する人権侵害の疑いには「人権問題に名を借りた内政干渉」と批判までした。

座り込みするだけで人の命が左右されるという現実。それを直視しない限り、中国の人権は改善されない。 –(新貝憲弘、東京新聞2014年4月4日夕刊)
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