マガジンひとり

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巻き添え食ってたまるかよ

退嬰

2009-06-14 21:13:31 | マンガ
『絶対☆アイドル』原作:須田洋、作画:ぎん太(富士見書房・角川コミックスドラゴンJr.)
SMAPのようなアイドルを目指す少年・天乃宙(あまのそら)は、ちょっとした行き違いから小さな芸能事務所に女の子としてスカウトされてしまう。その事務所にはかつて“絶対アイドル”とまで称されて人びとの夢を集めた星空きららが属していたが、今では社長の娘2人、桐梨子(きりりこ)と梨緒子(りおこ)、そして稀華(まれか)という気の強い少女の3人で組む「Star☆t」なるアイドル・ユニットのみで細々と活動しており、自分が人気を集めているのに事務所の力が弱くてのし上がれないことが不満な稀華が突然辞めてしまったため宙はその代わりとして求められたのだ。マネージャーも兼ねて彼をスカウトした桐梨子の目によれば、彼には“絶対アイドル”になりうる資質があるというのだが…?
男の子とバレないか、あるいはそれを隠しながらアイドルとして振る舞うのは正しいのか、悩みながらもアイドルとして一人前になっていく宙のシンデレラストーリー!



いつもいつも弊ブログに来てくださる方々も、どことなくえらそげでえばってる文章に辟易なさることおありでしょ。いったいこんな自己中心的なオラにも、他人中心になってしまうこと、好きな人ができてその人を神さまのように絶対視して夢中になってしまうことがありうるのか。
滅多にないことですが、あったんです。過去の人生で3回。16才、26才、31才のときそれは起こった。後の2回は同じ職場の女性で、3回を通じてだんだんと、とりたてて言うこともない普通の相手になってきている。きれいな女だが、他の男でも恋に落ちる可能性のある、オラでなければわからない!というような価値ではない。
最初の1回がたいへんだったのよ。なんと相手は男。高1では同級だったが高2では別のクラスになってしまった友だちの1人。
もちろんそんな気持ちが通じるはずもない。著しく情緒不安定になってしまったオラは、その友だち周辺の人間関係をすべて失ってしまい、あげく普通の幸せなんて無理と思い込んで同学年からただ一人大学へも進まず就職して、20才を過ぎるころはホモホモ地帯・新宿二丁目などへも出没するようになったよん。
「ホモの世界」なんかに、好きになった男の代わりになるような男がいるわけあらへん。青春の迷い道。あらためて26才で女を好きになるわけですが、31才のときと併せてうまくいかず、ストーカー騒動まで起こしてサラリーマンとしての前途は真っ暗となったオラは精神科長期入院の道へ。
今でも親交のあるK宮くんとM原くんは、高校のときからそんなオラを見てきてるんです。きのうや今日のブログ訪問者ちゃまとはわけが違うんですが、そんな彼らもなぜオラが高2のときあの人に夢中になったのか、なんだか意味不明でしょ。
オラだけが知っている、あのときのあの人の価値は。これほどまでに人生が転変しても、友だちの1人を好きになって夢中になってしまったことを後悔しようとは思わない。あれは命の叫びだった。一期一会の。
このマンガの作者さんよ。“絶対”なんて言葉はそれくらいでなければ、自分の全人生と引き換えにしてでもこの人と一緒になりたい!くらいでなければ使っちゃいけないと思うわん。絵はうまいよ。上画像の絵なんかでも、よくある女装少年ものとは一線を画すような、男の子らしい体の線がきれいに描かれてる。
しかし話の筋立ては、どこかで見たよな要素をツギハギしてでっちあげたみたいな、既視感に満ち満ちた…。オラ子どもの頃から、すでに少女マンガなど女性読者に向けては少年愛みたいなものが題材として現れてましたけどね。最近は男性向けでも、なおかつエロマンガでも一大潮流となって。
別に、16才で同性を好きになった自分が時代を先取りしてたなんて言う気はさらさらないし、オラが人生を棒に振っても後悔してないのは相手が人間としても今でも尊敬できる特別の存在だという確信があるから。もし「かわいい男の子を愛でる」だけなんだとしたら、そんなのノーマルな異性愛ともちっとも変わってないし、そんなことのために無職・独身・精神科入院の道へ進むのはばかばかしいと思うよん。それにそういうオラにしたって、16才という時期にそういうことになってしまったのは、いずれ社会へ出てバリバリ働いて結婚して家庭を築いて、のような決められた道から逃避したい、大人になりたくない退廃的な心の表れでなかったとは言い切れない。
同性愛というのは、他のいろいろな被差別要素と比べても、抜きん出て社会から忌避されると思うし、子ども向けのマンガでそうした性向をあつかう方々も覚悟をもって臨んでいただきたいです。

絶対☆アイドル (角川コミックス ドラゴンJr. 133-1)
須田 洋,ぎん太
富士見書房

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