無意識日記
宇多田光 word:i_
 



Netflix英訳詞字幕のお話。
今回は『Prisoner Of Love』だ。

『病める時も健やかなる時も
 嵐の日も晴れの日も共に歩もう』

この部分は所謂結婚式での宣誓の言葉がベースになっている。検索してみると英語ではこんな風に言うらしい。

─ for better or for worse,
(いい時も悪い時も)
─ for richer or for poorer,
(富める時も貧しき時も)
─ in sickness and in health,
(病める時も健やかなる時も)

ところがヒカルはこう英訳した。

─ Through sickness and in health
(病める時も健やかなる時も)
─ Through storms and in good weather
(嵐の日も晴れの日も)
─ We shall walk together
(共に歩もう)

病気や嵐といった苦難の時にはthroughを、健康だったり晴れていたりといった良い時にはinをそれぞれ使っているのだ。元ネタの宣誓の台詞にはこういう区別はない、ようだ。

この使い分けによって「苦難に打ち勝ってよりよい日々を得よう」という強い決意がより浮き彫りになる。両方がinだと「何があっても変わらず平常心で」みたいな空気が漂うが、throughとinを組み合わせた方は「そもそも我々の前途は多難だとわかっているのだから」といったある種の悲愴感を纏っている。『Prisoner Of Love』はテレビ・ドラマ「ラスト・フレンズ」のテーマ・ソングだったが、同作を御覧になった方ならばそのニュアンスの違いに拘りたいのも御理解うただけるだろう。

そして、ヒカル自身も、この『Prisoner Of Love』という曲自体が単体で「苦難に立ち向かう決意を歌った歌」なのだと強調したいのだということがこの英訳詞からわかるわけだ。やはりこのNetflixバージョンを繙くのはやめられないぜ。日本語の歌詞をより明晰的に理解できるからね。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




先日のBABYMETALの新作、国際的な人気アーティストの為正式な発売日は金曜日だがそれでは日本ではオリコン週間集計で3日間しか引っかからない為「公には発売日は金曜日にしとくけども実際には火曜日から店頭に並べる」というかなり強引な荒業に出たようだ。

どうしてそんなことをしたかというと。「日本では2日間先行発売」という事実を大々的にアナウンスしてしまうと海外の熱心なファンが"日本からの輸入盤"を先を争い挙って買い求めてしまうからだ。各国の国内レコード会社にとってBABYMETALは今やドル箱。その収益にも配慮しなくてはならない。苦肉の策だったわけだ。


10年前のUtadaの『This Is The One』は土曜日発売だったな。未だに理由はわからない。取りあえず次に国際的な作品を発表するときには金曜日発売も視野に入るだろうが、はてさてどんな方法をとるべきか見当もつかない。なんだかんだで日本国内シェアが圧倒的なのだ宇多田ヒカルは。その比率がBABYMETALとはかなり違う。日本国内レーベルの方が発言力が強いのは間違いないだろう。BABYMETALと同じ手法を取るのはリスクが強過ぎる。

でもまぁ元々ヒカルは社会人ファンが多いこともあって週末に数字が伸びるタイプらしいので、そこまで拘らなくてもいいのかもしれない。兎に角そこは出てくる作品次第、その時のタイアップ次第だな。そんな問題もあるのよということだけ知っておいて貰えれば有難い。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )