昨日は春と秋に開催の横浜のおさんぽガイドで、みなとみらい地区を案内した。テーマは「造船所」。かつてこの地には三菱重工横浜造船所があり、みなとみらい地区はその跡地に加え、周辺の海を埋め立てた土地に作られた。そこで造船所の名残や敷地だったところをめぐり、当時を思い起こしてみるのが狙いである。
往時の姿をそのままとどめているのが、2つのドック(船渠)だ。一号船渠は今は帆船日本丸が係留されているメモリアルパーク、二号船渠はランドマークタワーに併設のイベントスペース・ドックヤードガーデン。ランドマークタワーはかつて機械工場があった場所で、3階のロビーから両ドックを見下ろせば、事業所から工程を確認しているような気分に。周辺には動力源だったコンプレッサー、船の係留ロープの巻上げ機などがモニュメントとして点在し、この地が造船所だったことをより色濃くしている。
当時、造船所の敷地はランドマークプラザあたりまでで、その先のクイーンズスクエアやパシフィコ横浜は海だった。なので両船渠を見た後は造船所の「陸部の外れ」をたどりながら、その範囲を追ってみた。横浜美術館とマークイズ付近は、船体を造る「船台」が5つ並んでいた、造船作業の中枢。中でも4号船台は氷川丸が建造されたところで、「氷川丸建造の地」の案内板も立つ。三菱重工横浜ビルはかつての事業所街の中ほどに位置し、入り口付近に造船所跡の碑があるのはさすが、関連会社。
みなとみらいはショッピングモールやレジャースポットが集まるエリアだが、産業史観光としても展開できそうなコンテンツがある。意識して歩けば、歩けば横浜を創成期から支えた造船業への理解が深まるはずだ。