ビッグサイズの佐世保バーガーをふたつも平らげ、食後に戸尾市場街で友人へのみやげに珍味の鯨を買って、佐世保の食はすっかり満喫。少し海辺をドライブしてから、今夜の目的地である熊本へ向かうことにして、展望地の展海峰からさっき見下ろした九十九島の沿岸へと向かった。アップダウンとカーブが続く道を進んでいく途中、沿道に「海上カキ小屋」の赤い看板がいくつも見られる。ちょうど昨日の今頃は、広島で最近話題のカキ料理屋で焼きガキをつついていたな、と思い出したらもうどうしようもなく、看板の案内を追ってどんどんと海沿いへ。船越漁港という小さな漁港へと到着し、クルマを停めて海沿いを歩いていくと、子ども達が岩場でカキをとっているのが見えた。澄み切った海を覗いてみると、海中の岩にもカキがいっぱいついているようで、これは何だか期待できそうだ。
案内の看板に従って進んだ先には、海上に大き目の筏が浮かんでいた。この上で焼きガキを食べさせているのだろうか、と思いつつゆらゆら揺れる渡し板を注意して渡って筏上へ。カキを水揚げして外したり殻を磨く作業場に隣接して、炭火焼の炉が並んだ屋根付きの席があり、さらに海寄りにはバーベキューコーナーのようなオープンスペースまである。この『マルモ水産』の自慢は、海上に浮かんだイカダの上で頂く焼きガキ。隣接する養殖筏のカキを、炭火焼きで頂くことができるのだ。焼きガキをはじめサザエ、イカ、ヒオウギガイなどの魚介も用意されていて、カキは通年扱っているのがうれしい。今日は少々風があるが、多島海を眺めながらの焼きガキもいいな、とオープンスペースの方に席をとることに。さっそく注文をしようとするが、長靴に合羽のおじさん、おばさんは忙しそうに行き来していてなかなかつかまらない。
九十九島のカキは、昨日の広島や仙台の松島、さらに北海道の厚岸などに比べると全国的な知名度は低いものの、最近はその味の良さで徐々に知られるようになってきた。食をテーマにした雑誌で取り上げられたり、首都圏のオイスターバーで扱われるようになるなど、その評価も高まってきているようだ。九十九島は海岸線の出入りが激しいリアス式の海岸や、200もの島が浮かぶ多島海など、海流の流れが複雑で潮の干満の差が激しくカキの養殖に適した環境にある。加えて海のすぐ近くまで迫る緑豊かな山から、カキの栄養となる植物性のプランクトンが豊富に海へ流れ込んでくる。そんな環境で成長したカキは、よそに比べて小粒だが身入りがいいのが特徴で、生だと味が濃く、焼くと甘みが爽やかになるという。
カキやサザエなどを焼いてはつついている先客を見ていると、こちらも気がはやるというもの。手が空いたおじさんにようやく手渡された品書きを見ると、焼きガキは1キロで850円と安い。数を聞いたら20個ぐらいとのことで、すぐに水揚げされたばかりの殻つきカキがザルいっぱい運ばれてきた。焼き方を聞くと、平らのほうを上にして網に置き、黄色っぽい殻の表面が乾いて白っぽくなったら食べごろとのこち。軍手をしてから網にずらりとカキを並べ、待つことしばし。しばらくするとくつくつと煮えた音とともに、湯気が立ちのぼり汁を吹いてきた。ここが食べ頃、とばかりつかんでナイフを差し込み、貝柱を切って開けるが、殻も熱い上に熱々の汁もこぼれて「あつっ!」となかなか難しい。
何とか殻を開くと粒の大きさはほどほど、身はつやつやと乳白色でうまそうだ。醤油とレモン汁をちょっとたらしてひと口、すると身はホクホクと甘くジューシーで、塩ならぬ潮がほどよく効いた自然のままの味。まさに海の味が口いっぱいに広がるようだ。この養殖所ではカキを水揚げ後、丸1日太陽の紫外線で殺菌処理された海水のプールへ入れる「減菌処理」をした上で出荷されるという。これによりカキの中の水がすべて入れ替わり、泥や不純物が放出されるので、安全面はもちろん、味の面でも優れているという訳だ。次第にむくのにも慣れてきて、スープをこぼさずにうまく開いては身をつまみ、殻にたまったエキスたっぷりのスープをすする。次第に醤油とレモン汁をかけるのが面倒になってきてそのまま食べると、海水の塩味だけでもシンプルでうまい。
1キロは結構多いと思ったがどんどんと手が伸び、ザルのカキは次第に減っていく。遅まきながら自販機でビールを買ってきて、グッとやっては焼いたカキをつまみ、と繰り返す。これぞまさに、究極の産直! 海風に吹かれ、寄せる波で筏がゆらりと心地よく揺れ、気分は最高である。(2006年2月11日食記)
案内の看板に従って進んだ先には、海上に大き目の筏が浮かんでいた。この上で焼きガキを食べさせているのだろうか、と思いつつゆらゆら揺れる渡し板を注意して渡って筏上へ。カキを水揚げして外したり殻を磨く作業場に隣接して、炭火焼の炉が並んだ屋根付きの席があり、さらに海寄りにはバーベキューコーナーのようなオープンスペースまである。この『マルモ水産』の自慢は、海上に浮かんだイカダの上で頂く焼きガキ。隣接する養殖筏のカキを、炭火焼きで頂くことができるのだ。焼きガキをはじめサザエ、イカ、ヒオウギガイなどの魚介も用意されていて、カキは通年扱っているのがうれしい。今日は少々風があるが、多島海を眺めながらの焼きガキもいいな、とオープンスペースの方に席をとることに。さっそく注文をしようとするが、長靴に合羽のおじさん、おばさんは忙しそうに行き来していてなかなかつかまらない。
九十九島のカキは、昨日の広島や仙台の松島、さらに北海道の厚岸などに比べると全国的な知名度は低いものの、最近はその味の良さで徐々に知られるようになってきた。食をテーマにした雑誌で取り上げられたり、首都圏のオイスターバーで扱われるようになるなど、その評価も高まってきているようだ。九十九島は海岸線の出入りが激しいリアス式の海岸や、200もの島が浮かぶ多島海など、海流の流れが複雑で潮の干満の差が激しくカキの養殖に適した環境にある。加えて海のすぐ近くまで迫る緑豊かな山から、カキの栄養となる植物性のプランクトンが豊富に海へ流れ込んでくる。そんな環境で成長したカキは、よそに比べて小粒だが身入りがいいのが特徴で、生だと味が濃く、焼くと甘みが爽やかになるという。
カキやサザエなどを焼いてはつついている先客を見ていると、こちらも気がはやるというもの。手が空いたおじさんにようやく手渡された品書きを見ると、焼きガキは1キロで850円と安い。数を聞いたら20個ぐらいとのことで、すぐに水揚げされたばかりの殻つきカキがザルいっぱい運ばれてきた。焼き方を聞くと、平らのほうを上にして網に置き、黄色っぽい殻の表面が乾いて白っぽくなったら食べごろとのこち。軍手をしてから網にずらりとカキを並べ、待つことしばし。しばらくするとくつくつと煮えた音とともに、湯気が立ちのぼり汁を吹いてきた。ここが食べ頃、とばかりつかんでナイフを差し込み、貝柱を切って開けるが、殻も熱い上に熱々の汁もこぼれて「あつっ!」となかなか難しい。
何とか殻を開くと粒の大きさはほどほど、身はつやつやと乳白色でうまそうだ。醤油とレモン汁をちょっとたらしてひと口、すると身はホクホクと甘くジューシーで、塩ならぬ潮がほどよく効いた自然のままの味。まさに海の味が口いっぱいに広がるようだ。この養殖所ではカキを水揚げ後、丸1日太陽の紫外線で殺菌処理された海水のプールへ入れる「減菌処理」をした上で出荷されるという。これによりカキの中の水がすべて入れ替わり、泥や不純物が放出されるので、安全面はもちろん、味の面でも優れているという訳だ。次第にむくのにも慣れてきて、スープをこぼさずにうまく開いては身をつまみ、殻にたまったエキスたっぷりのスープをすする。次第に醤油とレモン汁をかけるのが面倒になってきてそのまま食べると、海水の塩味だけでもシンプルでうまい。
1キロは結構多いと思ったがどんどんと手が伸び、ザルのカキは次第に減っていく。遅まきながら自販機でビールを買ってきて、グッとやっては焼いたカキをつまみ、と繰り返す。これぞまさに、究極の産直! 海風に吹かれ、寄せる波で筏がゆらりと心地よく揺れ、気分は最高である。(2006年2月11日食記)
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