日本人の味覚は、主たる素材の味を楽しむ嗜好があるという。炭水化物系もまた、同様。飯ものなら米そのもの、麺ものならうどん自体、パンでも生地の味にこだわる。これらがちゃんとしていなければ、いかに味付けや具やつゆに凝っても、どこか全体像がキリッとしない。まさに各料理の土台、腹持ちやエネルギー源であるとともに、うまくなくてはいけない。
餃子は必要な栄養が幅広くとれる「完全食」だ。中のあんは挽肉に海鮮などタンパク質、キャベツや白菜などの野菜を自在に選べる。さらに焼きに蒸しに水餃子と調理法も様々だから、さっぱりこってりもお好み次第。グシュッとかじれば、ビュッと飛び出すスープのインパクト。かみしめるごとに膨らむ、あんのこっくり豊かなあじわい。それは皮に包まれた味の小宇宙のビッグバン、とはオーバーか?
そしてうまい餃子は、小宇宙を包み込む皮がうまい。ほどほどの厚みで軽い弾力があり、シコップツッの歯切れのよさ、さらにモチモチ甘い食感。あんの印象に隠れがちだが、餃子も土台の存在感あってこその完全食。炭水化物系食材が主役の「コナモン」の仲間であることを、実感する瞬間である。
餃子の本場・中国東北部の水餃子は、いわば皮を食べる餃子だ。厚みと腰があるのをグイグイ、モグモグとやれば、食べ応えと満腹感にああ、満足。日本では焼き餃子が主流だが、米食にこだわる日本人にとって、より馴染みやすい炭水化物系ではなかろうか。(130508)
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