ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

高崎てくてくさんぽ郊外編2

2020年08月28日 | てくてくさんぽ・取材紀行
高崎観音から山を降った麓の市街地、中心市街地からは烏川を渡り15分ほど歩いた先に、山田かまち美術館がある。若くして亡くなった氏が残した、才能多彩なアートを絵画を中心に展示した施設である。彼は1960年高崎生まれ。絵、詩、物語に独創性があり、若くして「ぼくには24時間では足りないよ」が口癖なほど多面的な制作活動をしていた。中学校で友人、世界の仲間と音楽や世界について語り合っており、その才能が世に出て広がる矢先、1977年8月にエレキギターの練習中に感電死という、短い生涯を駆け抜けた若者である。以下、5つに分かれた展示の覚えがき。

1章は、幼年から17歳までの絵と詩文で構成。「鯉のぼり」は3歳の絵で、風の流れと日の光が生き生き現れている。代表となる動物画は小3の頃から描いており、骨太な線で動きがあり、ゴリラの無骨な表情、象の重厚さ、チータの俊敏さが表されている。自画像は中学に入ってからで、水彩画では色を用い自我の揺れを表現。赤をメッセージ的に使った「ナイフを持つ自画像」などがインパクトある。この時期は叙情性や色彩性もより強くなり、「海辺のライオン」のように内包する面を伝える作品も。鉛筆やペンのデッサンでは、感受性の高い自身の姿が細緻に描かれていた。

2章はかまちと音楽で、ビクターのステレオでクラシック、中学ではビートルズにクィーンにエアロスミスを聞き、ロックに傾倒したのもこの頃。3章はデッサンと表現で、彼の観察眼がペンや鉛筆のデッサンに現れる。チョコレートの包みによるコラージュ、動きのある「魚」「パーティ」、など、メッセージ性も強い。漫画のコンテもあり、どこか西洋の宗教的なところも。4章のこころの物語は、彼の心の中にあるファンタジーな世界観に迫る。SFや幻想、思春期には恋物語も綴っていたのが、らしいような意外なような。

思春期の頃に誰もが持っていた内面世界を、あふれんばかりの思いで表現した。そんな若さと情熱がダイレクトに伝わってくるような、小さな美術館である。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿