ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

豊洲市場てくてくさんぽ7

2018年12月16日 | てくてくさんぽ・取材紀行

豊洲市場てくてくさんぽ、豊洲の仲卸売場はくじ引きで店の位置を決めるため、特定の扱い品目の店が同じ区画に集まるということがない。なので歩いているとさまざまな魚介を扱う店がごちゃまぜで、普段利用する業者の方は混乱しないか心配してしまう。でもそこは、食を扱うプロの方。取引はこの店で、この人から買うとの信頼で成り立っており、単に売る・買うだけの関係ではないのが、この市場のいい慣わしといえる。

この日はそんな「プロ」の方について回ったおかげで、ここで働く人の声をいろいろ聴くことができた。帳場では魚談義に花が咲き、「カツオは実は、一年中うまい魚なんだ。冬場の今もうまい」「今は小さい魚も獲っちゃうから、赤カレイの小さいのでも『子持ち』になる。種の保存のためなんだろうね」そんなベテランの魚の知識や河岸の昔話などが、この市場の貴重な文化なのだろうが、高齢化や経営の問題などから減ってきているのだという。

移転に伴い使い勝手が変わった点は、実際のところどうなのだろうか。先の魚談義の店は最小単位の区画で、間口は両手を広げればいっぱいぐらい。豊洲では隣の店との間に仕切り塀が設けられ、結構圧迫感がある。でも「狭いは狭いけど、慣れてきたかな」とご主人。長包丁が壁にあたると言われていたマグロ卸も、器用にさくどりをしていたし、坂が急でターレが登れないとの上層階へのスロープも、ビュンビュン飛ばしていていた。慣れなのか大して問題なかったのかは分からないが、業務に支障が出てないのは間違い無さげである。

移転後の意気込みが感じられる店もあり、移転の際に区画を広げたという塩干物の店は、その分売り上げを上げないと大変、と笑う。キングギドラのような三対のオブジェが目を惹くアナゴ専門店の方は、まだ若くこれからの豊洲市場を担っていく世代といえる。仲卸という職業がやや苦境に立たされ、移転時に廃業した店も多かった中、こうした前向きな話題はとても心強い。

移転前に様々言われていたように、未だに問題はあるし不便もある。でもここでやっていくしかない、との覚悟というか「心意気」が、このふた月で確固となってきたのではなかろうか。関連本で読んだ「自分たち自身が築地魚河岸の文化。場所が変わろうが、我々が受け継ぎ、次の文化を作っていく」との言葉を感じられた、そんな水産仲卸売場さんぽであった。

さて、買い物もせねばでごはんも食べねば。飲食物販も、きちんと抑えましょうか。


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