大通りから路地(ろうじ)へぶらりと折れ、虫籠窓に犬矢来があしらわれたこぢんまりした町家の戸をガラリ。カウンターに腰掛け、目の前に並ぶ大鉢からおかずを適当に取り分けてもらったら、「玉の光」を傾けつつ和服美人の女将と差し向かい…。
くくりの一節は蛇足として、京都の夜はこんな風に、手作りのおばんざいをアテに一献いきたいところ。計画なしでやってきた京都・河原町で、そんな一夜を思い描いていたが、いざ店探しをしてみたらピタリ、とハマる店がなかなか見つからない。 通りにはチェーンの居酒屋とか、いかにも京都「風」を演出した店とかが目立つのは、地元客と観光客が集まる京都随一の繁華街のせいか。
こうした中から冒頭のような店を探し当てるのは、京都一見さんの自分にはハードルが高く、ここは地元の知人に応援を要請。木屋町通りにある「御料理めなみ」に連れていってもらった。通りに面した町家風の建物、戸をくぐるとカウンターに大皿のおばんざいが並んでいるのは、まさにイメージど真ん中。通されたのは坪庭に面した小上がりで、いかにも京都の料理屋らしい落ち着いた和の空間である。
突き出しの青菜と揚げのおひたしで、銚子一本空いていまいそうなほど、おばんざいは酒に合うことこの上ない。達筆の品書きには焼き物、小鉢など魅惑の料理が並ぶ中、お姉さんにオススメを5品ほどお任せ。するとまずは最初は鯛の子、おから、白魚のおひたしが運ばれてきた。鯛の子はタラコのような見た目だが、食味は極めて淡白。ホロリとした口溶けと淡いダシの味が楽上品だ。おからはニンジンとシイタケなど野菜入りで、ふっくらと優しいおからに煮付けた野菜の味が効いている。白魚は小振りだが、ホロリと口の中でほぐれ、白身のしっかりした味わい。
素朴なお惣菜に冷酒が進んでいると、続いて焼き物、揚げ物が登場。何と、グジ(アマダイ)の若狭焼きだ。鱗をつけたまま、逆立てずにきれいに焼き上げてあるから、鱗がサクサクと魚せんべいのように香ばしい。身は対照に乳製品のようにトロ甘く、小骨をつつきながら酒を飲むのが面倒でなく楽しい。揚げ物は湯葉の巻揚げで、表面がカリカリ、中の肉や野菜の具がそれぞれ下ごしらえされた多層な味がする。
後半のふた品は京料理らしい逸品で、坪庭を眺めつつ味わっていると当地の実感がしみじみ湧いてくるよう。 板場の兄さんに接客の姉さんは気さくで、京都にありがちな敷居の高さが感じられないのもいい。和服の女将さんはいなかったら、梯子酒は雰囲気を一転。先斗町のバーあたりに繰り出して、近頃増えてきた京美人のバーテンダーのシェイカーさばきを堪能しにいこうか。
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