ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

岸和田だんじりてくてくさんぽ3

2018年06月30日 | てくてくさんぽ・取材紀行
ここで祭りの基本を抑えるべく、岸和田城近くの「だんじり会館」へとやってきた。見ものの一つは、かつて祭りで引かれていた、だんじりの現物の展示。ホールに入ると艶やかな提灯が目を惹くだんじりが、堂々と鎮座している。この紙屋町だんじりは、江戸期以前の体裁を残した、古いタイプの代表的なだんじりである。胴部の土呂幕(どろまく)に施された彫り物は、源平合戦や三国志がモチーフとか。岸和田のだんじりの彫刻は木目を生かすのが特徴で、近寄ってみると騎乗で躍動する武者をはじめ細密な装飾が施され、まさに疾走する美術工芸品といえる。

そしてもうひとつの見ものは祭りの大画面映像で、注目はだんじりを旋回させる「やりまわし」。前側の衆がグッと引くとだんじりが大きくコーナー外側に振られ、後方の衆が放射状の縄で放り出されないよう抑えると、だんじりがズッとドリフトして向きを変える。そのバランスたるや、阿吽の呼吸のようで計算し尽くされているようで、実に見事だ。だんじりを旋回させるには、屋根にのった「大工方」が方向を指示し、直前直後を引く「前梃子」「後梃子」が梃子を押し引きして旋回させる。と書けば簡単だが、前梃子はブレーキでピンポイントで減速させたり、後梃子は数本の綱(ドンス)をタイミング合わせて引いたりしないとならない。息が合わないと、きれいに旋回させることはできないのだ。

これと別に「3Dだんじりビジョン」もあり、立体眼鏡で見る屋根上の大工方目線の映像が面白い。まっすぐ快走したかと思えば、カーブで振られるとおっと、と落ちそうに。観客席からの立体映像も楽しめ、S字カーブを飛び出してくるだんじりに、つい逃げてしまう。にしてもこのやり回し、直角旋回もS字走行も、だんじりが滑り流れるように駆けていく様はなかなか美しい。荒くれ者が屋根で跳ね、力技で方向を変えてだんじりをブン回す、といった荒々しい祭りのイメージが、俊敏ながらも優雅な印象に少し変わったかも。

笛太鼓の鳴り物体験や、模擬だんじりの屋根に登って大工方の気分も楽しんだら、だんじりの巡行ルートを駅に向けてたどってみましょう。

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