ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

日々是好食 その51…腹が減る減る食マトペ

2013年07月19日 | ◆日々是好食
料理や食について書くとき、自分が最も力を入れるところは何か。店の場所や品数に値段といった、基礎データのキープ。食材の背景や料理人の略歴などの薀蓄。どちらも大事だが、それら以上に筆力をかけているのが、旨さを伝える表現だ。読む人の心を揺さ振れる文章は、物を書く者なら目指したいもの。読めばゴクリとのどが鳴り、グーとお腹が響き、今日のお昼はこれで決まり、となれば、実に書き手冥利につきる。

食を表現する上で一番のカギになるのは、擬音の使い方だろう。例えば酒の盃を干す音も、クッ、ググッ、スッ、クィッなどで、伝わるシチュエーションが変わってくる。ツィー、キュピピピピッとオリジナルがあれば、それでかの居酒屋のグラフィックデザイナーさんや、細道食漫の巨匠の作品と分かったりも。食表現を彩るオノマトペ、いわば食マトペやメシマトペは、視覚と耳から頭に入り、胃袋を刺激する隠し味。薀蓄という頭から入る調味料とうまく組み合わせるのが、食表現料理人の技といえる。

「まったりしてコクがある」で一躍知られるようになった、件の究極グルメマンガは、先駆的存在だけあり食マトペの宝庫だ。中華鍋とでかいおたまで「ズゴッ、ズゴッ」と炒められた飯粒が、鍋から舞い上がり炎に直に炙られ「パラリ」と仕上がる。字面を追うだけでかっ込みたくなるこんなチャーハンは、怪しい云々の冒険作家先生に倣い「ガシガシ、ワシワシ」といきたいところか?

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