ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

高崎そだちてくてくさんぽ3

2016年08月29日 | てくてくさんぽ・取材紀行
高崎食材ブランド「高崎そだち」のツアー、続いては安中の「ゆあさ農園」へ。生産者である湯浅さんは、梅栽培と梅干しの加工とも、なかなかユニークな取り組みをしている。もとは電機メーカー勤務で、安全なものの生産を志し農業に転身したそう。梅はJAS有機の認証を取っており、自分の畑で栽培・収穫後に天日干し・加工まで自前で一貫して行っている。販路は「求める方に直売する」とのポリシーで、通販を中心に取引先も絞っているこだわりようだ。

ここの梅干しは「選べる梅干し」なのがウリ。サイズや品種を選べるところは他でもあるが、ここでは漬けている塩が選べるのが特徴だ。塩の産地は沖縄の石垣、北谷、対馬、大島、男鹿、さらに海外のゲランド、ウユニ塩湖、キリバスのクリスマス島、ヒマラヤ岩塩まで、実に幅広い。昔ながらの味を意識するため、塩分は15パーセントと高めで、一般の梅干しが8パーセント程度なのを考えればかなり濃そうだ。塩の種類で味の差が出るものかご主人に聞くと、生産者ながら「う〜ん?」と首をかしげるのが、何だか可笑しい。塩の味は海の数ほどあるといわれ、評価の高い「海の精」やヒマラヤ岩塩は梅との相性がいいらしい。

もう一つ、漬けた年代を標記した梅干しも、こちらの面白いところだ。今年漬けた新ものから1年もの、縁起の品である12年前の「サル年の梅干」、さらに今年から発売した20年ものの梅干しが凄い。平成8年に漬けたもので、見た目はほんのり黒ずんできているようにも見える。特別に一粒味見させてもらうと、ゼリーのような舌触りの後に襲い来る酸っぱさとしょっぱさが、相当に強烈だ。種を割ると出てくる「天神様」も、中までじっとり塩が染みているほど。梅干しは古いほどいい、としみじみ話すご主人の言う通り、これはごはんやおかゆに合いそうな、懐かしさを感じる梅干しである。

そしてご主人のユニークな取組みは、ロスを抑えることとバイオやエコへの高い意識だ。なんでも無駄にしないとのモットーから、キズものの梅は練り梅に加工、種も今年からタネ割りつきでの販売を開始した。伐採した梅の枝は、バイオマスにかけて「バイオモス(梅を燃す)」と称し、薪にして燃やして給湯や発電に用いたり、草刈機やリフトやクルマの動力にしたりしている。きっかけは福島第一原発の事故で、シイタケの原木栽培が廃業となり、それ用のハウスの屋根で太陽光発電を始めたことに由縁する。 薪は10年分ストックがあるそうなので、「バイオモス」燃料は当面安泰か?

最新の画像もっと見る

コメントを投稿