日本人が大好きな中華料理として、3本指に入る麻婆豆腐。四川省で生まれた豆腐料理「陳麻婆豆腐」を日本へ伝えたのは、中華の鉄人陳建一氏の父・建民氏という話は、知る人ぞ知る起源である。当時は今のように、日本人の舌に激辛への耐性がまだない頃で、花椒と呼ばれるサンショウを控えて、辛味を抑え目にしてあったとか。最近の麻婆豆腐専門店ではサンショウたっぷりのを供するようになり、痛く痺れる辛さこそ本場四川省のに近い味らしい。
陳建民氏がアレンジした麻婆豆腐はいわば、日本人の味覚に合わせた「ジャパニーズ中華」だろう。一方、この日横浜中華街の「四五六菜館本館」で味わったのは、四川料理ながら上海料理にアレンジされた麻婆豆腐である。中華鍋で豆腐を挽肉入り唐辛子あんとジャッジャッと炒めて、が麻婆豆腐の調理のイメージなのが、ここでは土鍋でグツグツ煮立って運ばれてきた。ふたを開けたら、トッピングが実に豊富なこと。ザーサイ、干エビ、カシューナッツに、葉ニンニクと枝豆の緑が赤いドロドロのあんの上で鮮やかだ。
この料理、オーナーシェフの孫氏が考案したもので、上海料理らしさを出すべく素材の味をそれぞれ楽しめるように仕上がっている。豆や野菜のホクホク、シャキシャキした食感を、トロリとマイルドな豆腐が支え、控え目の辛さの中に時折、赤青それぞれの唐辛子のパンチが炸裂。特筆ものは牛肉で、挽肉ではなく叩いたヒレ肉の存在感がずっしりくる。辛味が食欲をあおりご飯とかっ込む四川風もいいが、これは辛味の中に繊細さがあり、コースの主菜としても充分の食べ応えがある。
四川省の麻婆豆腐は、考案した料理人「あばた顔の陳おばさん」から、一般的に「陳麻婆豆腐」と呼ばれている。四五六菜館のこれは、品書きに「孫・麻婆豆腐」とあり、陳おばさんの伝統に自らの工夫を重ねている、といった意匠が伺えるネーミングである。いっそ、その味と店内の貼り紙の写真で見た孫さんのイメージから、「孫・厚道大叔豆腐」(穏やかな孫おじさんの豆腐)なんてしてみたら?
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