ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

岸和田てくてくさんぽ5

2021年01月31日 | てくてくさんぽ・取材紀行
城外へ出てすぐの高台に、紀州街道方面の展望所が設けられている。連なる瓦屋根がかつての城下町で、かつては紀州街道沿いの本町と中町のやや先に防潮石垣が設けられ、その浜側の石垣筋から海寄りにも大工町、紺屋町、大手町などの城下町が形成された。岸和田城から建物の裏手を下ったところに、祭りに関する展示のだんじり会館がある。祭り提灯に山車蔵をモチーフにした建物で、2階のイベント広場にはかつて祭りで引かれていた、だんじりの現物が展示されている。

ホールに入ると、艶やかな提灯が目を惹くだんじりが、堂々と鎮座。この紙屋町だんじりは、江戸期以前の体裁を残した、古いタイプの代表的なだんじりである。胴部の土呂幕(どろまく)に施された彫り物は、源平合戦や三国志がモチーフとか。岸和田のだんじりの彫刻は木目を生かすのが特徴で、近寄ってみると騎乗で躍動する武者をはじめ細密な装飾が施されている。ほか明治34年制作で100年曳行された、近代だんじりの代表的な沼町だんじりに、文化文政機関に建造された、からくりを備えた現存最古の五軒屋町だんじりも並び、年代によって彫り物の題材や技巧、表現が異なるのがわかる。

上の階には、だんじりのひな型として本物と同じ檜材などで作られるミニチュア「ミニだんじり」のギャラリー、町名や町の特徴をデザインした各町ごとの法被、だんじり曳行の先頭で町を記した纏など。関連する展示の中で面白いのが、模擬だんじりの屋根に登る体験。曳行を指揮する大工方が走るだんじりの大屋根にのり、地上4mの高さで派手な跳躍や踊りで導く様は、だんじり祭りの華と言える。登ると屋根が曲面で、意外と安定しない。滑りやすくもあり、花形ながら命がけの役目でもある。

そしてもうひとつの見ものは、27面マルチスクリーンによる祭りの大画面映像で、注目はだんじりを旋回させる「やりまわし」。前側の衆がグッと引くとだんじりが大きくコーナー外側に振られ、後方の衆が放射状の縄で放り出されないよう抑えると、だんじりがズッとドリフトして向きを変える。だんじりを旋回させるには、屋根にのった「大工方」が方向を指示し、直前直後を引く「前梃子」「後梃子」が梃子を押し引きして旋回させる。

と書けば簡単だが、前梃子はブレーキでピンポイントで減速させたり、後梃子は数本の綱(ドンス)をタイミング合わせて引いたりしないとならない。息が合わないと、きれいに旋回させることはできないのだ。

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