ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

呉松山フェリー

2021年02月22日 | てくてくさんぽ・取材紀行
移動で利用した松山からのフェリー、2時間ちょっとと乗りごたえがあり、多島美はもちろんタイミング合えば夕陽が素晴らしい。2日前に宍道湖で見たのと、また趣きが違っていい。

このフェリー、えらい狭い音戸の瀬戸を抜けるのだが、スピードに乗って直進して島にぶつかるのでは、という瞬間にエンジンを切って面舵いっぱい。直角カーブの先の海峡を回転の惰性で抜けていく技は、ドリフトとか逆ハンとかに近い職人芸に思える。抜けたあとの呉の湾岸に続く、自衛艦船の夜景もまた、四国から戻ってきた感が湧いてくる。

ビアホールみゅんへん@松山市駅

2021年02月22日 | 旅で出会った食メモ
松山市駅前の鄙びた片アーケードの並びにある、年季を感じられるビアホール。昭和51年創業、ビールの本場であるドイツのミュンヘンが店名の由来で、フライやサラダなど各種洋食メニューを肴にサッポロビールが味わえる。店内はシャンデリアの下、やや暗くしっとりした雰囲気で、銀座あたりのビアホールのような大人の雰囲気が漂っている。

サッポロ黒ラベルの生を頼み、まずはみゅんへんソーセージをアテに一杯。外はパリッ、中は肉が締まっていて、マスタードをちょっとつけていただきビールを追っかけると、まさにドイツテイストのビアタイムである。追加で頼んだ唐揚げは、店のもうひとつの看板の品。手羽、ムネ、モモ、足とそれぞれの部位が出され、高温で揚げてあり薄めの衣はパリッ、中はしっかり熱が通りガシガシかみごたえある仕上がりだ。かむごとに肉の味が出て、ビールもグッと進んでいく。

この店、唐揚げの名店としても知られ、ビールを飲まず唐揚げだけテイクアウトする人が、ひっきりなしに訪れる。パンとスープとサラダのセットにして、食事でいただけるのもありがたく、半端な時間でも使ってみたくなる、駅前のビアホールである。

道後麦酒館の宇和島風鯛めし@道後温泉

2021年02月22日 | 旅で出会った食メモ
道後温泉本館向かいにあるビアレストラン。道後の蔵元・水口酒造がつくるブルワリー直送のビールで、松山や愛媛の味覚が味わえる。

おすすめの宇和島鯛飯は、温かいご飯に鯛の刺身と生卵を落としていただくスタイル。宇和島風の鯛めしは、かつて宇和海に浮かぶ日振島を根拠にしていた海賊、伊予水軍が食べていたものとされている。舟の上で刺身を肴に茶碗酒で酒盛りをした後、茶碗にご飯を持って、醤油に浸した刺身をのせて、ざっと混ぜ合わせて食べたという、まさに海賊気質丸出しの実に豪快な料理。現在はやや洗練され、三枚におろした鯛の身を醤油、みりん、卵、ゴマ、だし汁で調味したタレに漬け込み、タレごと熱いご飯にかけて食べる仕組みとなっている。

ご飯の上に鯛の白身がのり、中央に生卵の黄身が鮮やか。のりとネギ、ゴマをのせ、タレをざっとかけ回し、豪快に崩してかきまぜると白身がみるみるうちに黄色に。ご飯も染まり、卵かけご飯のよう。白身の刺身はむっちり、しっとりしており、卵黄のおかげで甘みが出ているよう。これが柔らかめのご飯とよくなじみ、甘みも活性化してマイルドな味わい、もとは漁師のまかない飯ながら、高級魚の鯛をまぜまぜごはんにする背徳ながら、理にかなった調理法である。

ビールはケルシュの「坊ちゃん」アルトの「マドンナ」スタウト・黒の「漱石」から選べ、フルーティな坊っちゃんを合わせてみた。道後温泉本館は目の前、一浴してからほかの飲み比べもいいかも?

ラーメンショップ@松山

2021年02月22日 | 旅で出会った食メモ
松山の繁華街にて。入りたい飲食店が見つからない中で、絶滅に瀕している希少種の優良保存個体に出くわした。もう少しで松山ローカルの料理店と認識して入ってしまうところ、なんとか我に帰り踏みとどまる。

JR松山駅前ではペリカンどさん子の棲息も確認、松山のB級食文化の良好な保存状態に、感動がやまない。

松山道後てくてくさんぽ8

2021年02月22日 | てくてくさんぽ・取材紀行
大街道は、松山中央商店街の一角を占める巨大なアーケード商店街のひとつ。大正時代初期に用水路が埋め立てられて広い通りができたのが所以で、当時から大街道という通称が定着したといわれる。アーケードは、長さ483m、自動開閉式3段ドームの全蓋アーケードを備えている。入口の松山三越は終戦直後に開店の、松山の商業の拠点。足元には道標のほか、観光紹介のタイルアート、松山城下町ミュージアムと称して松山城下図屏風や東映グランド劇場など、ゆかりの地の古図や古い写真を足元に掲示している。

沿道には地元の普段使いの店が並ぶ中、松山の地産品や老舗も点在、勞研饅頭は昭和6年創業の、酵母菌で発酵させた蒸しパンの店。伊予柑やせとか、紅まどんなといった地産の柑橘も並ぶ。地元プロサッカーチーム、愛媛FCの応援幕も、アーケードから下がっている。アーケードは途中から銀天街に変わり、ドームは薄紫色、柱に星や雪の結晶のイルミネーションをあしらったり、店名の札がモダンなデザインになるなど、ハイカラな印象に。漱石の行燈と花のステンドグラスのところで右に折れ、幅はやや狭まる。

店の種別は日用品やファッションなど、さらに地元向けとなり、屋号の看板も庶民的に。明屋書房は松山への地域密着推しの看板が堂々と目立ち、文具のアイコン看板がスタイリッシュな三浦屋、洋食喫茶のようでジャズスポットのジャックと豆の木など、地元色の濃い店が点在する。アーケードを抜けたところが、タカシマヤが入る伊予鉄松山市駅ビルで、散策はここまで。お疲れ様でした。