ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

つぼみの備後焼き@三原

2021年02月23日 | 旅で出会った食メモ
三原散策後の食事といえば、タコ以外の選択肢は存在しない。瀬戸内料理の店では生タコのつくりにはじまり、唐揚げに煮付けにタコ飯といった、タコ尽くしの膳が待ち受ける。新ご当地グルメの「三原タコ丼」は、親子丼にメンチ丼に何故かお茶漬け、パスタまで、多彩な丼が手ぐすねをひく。その歯ごたえと淡白な旨みが融通無碍だから、どのような料理にもアレンジが効くのが、多彩な料理の食材となれる所以だろう。

ならば、ここは広島名物と合わせていきたい、と選んだのは、お好み焼きの「つぼみ」。新幹線の駅裏、三原城跡を堀越しに望む立地にあり、地元客が普段使いの昼飯であふれる、どこかローカルさが漂う雰囲気がいい。混雑のため座敷に通されると、石灯籠が配された坪庭に、猫が遊んでいるのどかさ。

オーダーのその名も「備後焼き」は、そば入りのモダン焼きの具に地ダコの足を一本入れたもの。ソースと青海苔がたっぷりかかった、大振りの丸いのにこてをグッと入れると、足に当たったのかクッと押し返されるよう。断面には外はほのピンク、中が真っ白なタコ足が、ゴロゴロ覗いていていかにも旨そうだ。

そばと一緒にガバッと行くと、ググッ、ブツンと歯切れのいいこと。くったりしたキャベツとかみしめていくと、タコと野菜の甘さがじわじわしみ出て、これはうまい。店は三原市の漁協と提携していて、鮮度抜群の生タコを蒸し焼きにしているため、歯ごたえと甘さは文句なし。こてと追加のソース瓶を手に、ザクリグイグイととまらない。

ビールのジョッキを傾けるのも忘れ、お好み焼きというかタコというかと格闘。三原発見の町歩きの締め括りに、新たな名物タコ料理も発見した気分か?

日招きの里@呉

2021年02月23日 | てくてくさんぽ・取材紀行
呉ハイカラ食堂と同じフロアにある土産店で、1階からエスカレーターで上がると「男たちのYAMATO」のPR看板が目に入る。かつてロケセットの実物大の主砲が展示されていて、現在も高射砲の砲身が店内に置かれていた。大和の大型模型もあり、展示の高射砲の位置がわかる仕組みに。

護衛艦や潜水艦名入りの帽子やタオルやTシャツなど、自衛隊ミリタリーグッズが多い中、人気は大和のプラモデル。2種あるのは特攻時の仕様と、もうひとつ竣工直後の仕様のモデル。砲の配置などがその後変わっていて、竣工直後モデルのプラモは珍しいそうだ。コアな大和マニアには、垂涎モノのショップである。

呉ハイカラ食堂の海自鉄板カレー@呉

2021年02月23日 | 旅で出会った食メモ
大和ミュージアムそばの立体駐車場内にある、海軍グルメなどを扱う食事どころ。海自鉄板カレーは名の通り、海自で供するスタイルにこだわった品で、「鉄板」こと艦内で供する際のワンプレートに盛って出される。カレーは潜水艦「そうりゅう」の艦長による認定付きで、店頭には歴代の艦長による認定証も掲げられている。旭日旗が立つご飯とルーをからめていただくと、口当たりは甘くジャガイモとニンジンのゴロゴロ感が、賄いらしい素朴さを感じられる。現海自でもついてる牛乳が独特で、どこか給食も思わせる懐かしさがある。

付け合わせも海軍グルメの盛り合わせで、ソフトかつジューシーな戦艦霧島の鯨カツに、今や海軍グルメの定番となった肉じゃが。霧島は大和建造のベースとなった大型戦艦で、昭和初期に呉海軍工廠で改装工事を施した縁がある。その霧島をはじめ当時の軍の艦艇で、鯨肉は乗組員の食材として用いられていたという。艦艇の料理人が工夫、レシピの出来を艦艇同士で競っており、戦艦霧島のこの料理は、鯨独特のくせがないので好評だったという。

肉じゃがは東郷元帥がイギリスから戻った際、現地で味わったビーフシチューを再現せよと指示された料理人が、困った上で出したのが所以。ニンジンが入らない、シンプルなスタイルが特徴だ。呉には多彩な「海軍グルメ」が定着しているが、どのメニューも様々な艦船で出しており、肉じゃがも鯨カツもカレーもそれぞれで味が異なるという。海軍鎮守府があったことから近隣の山海の優れた食材が集まり、戦中の唯一の安息である食事のために腕利きのシェフが艦の料理人とされたから、こうした食文化が発展したようである。

一緒に頼んだ大和ラムネは、館内にラムネ製造室があり作られていたことに由縁する。甘さが強いのにスッキリしていて、後を引く飲み口。海軍ゆかりのビールやコーヒーもあるが、これは新たな料理とのマッチングである。

呉「この世界の」てくてくさんぽ8

2021年02月23日 | てくてくさんぽ・取材紀行
呉艦船クルーズは呉港から発着、アレイカラスコジマの潜水艦バースを見て護衛艦など自衛艦に接近して、呉港に戻る30分ほどのクルーズである。道中では石川島播磨の大和を建造したドック、アレイカラスこじまの潜水艦バースなどを見られる。艦船にかなり近くまで寄るのは迫力があり、もと自衛官による艦船の説明も詳細なスペックが分かり参考になる。

桟橋を出港すると、まずジャパンマリンユナイテッド呉事業所のドックへ。大屋根は「大和」を造船した、旧呉海軍工廠造船部造船船渠の大屋根で、「大和のふるさと」との文字も見られる。この日はタンカーが3隻、並んで艤装中。その先にはヘリ搭載護衛艦154「かが」。いずも型の2番艦で、今後空母化の改装工事が行われる。並んで護衛艦158「うみぎり」。護衛艦はその前の「ゆき」型からこれに、さらにステルス性を備えた「むらさめ型」など「あめ」型へ変遷している。大型の輸送艦「おおすみ」は、ヘリやホバークラフトの搭載ほか、医療設備も備えている。

練習艦3508「かしま」は海自の訓練船で、ほぼ外洋航海に出ていて停泊は珍しい。その後ろに3艦横並びで、練習船3513「しまゆき」を挟むようにむらさめ型護衛艦106「さみだれ」と105「いなづま」が並ぶ。いなづまは対空レーダーが旋回中、さみだれは近くに寄るとスパローミサイルのランチャーが見られ、後方にヘリの格納口も。天皇誕生日のこの日はいくつかの艦が、祭事や記念日に行われる「満艦飾」を展開。自衛艦旗と、艦首から艦尾に信号旗を連揚して華やかだ。

赤レンガ倉庫が並ぶのが見えると、アレイカラスこじまの潜水艦バースが近い。左には国内に2隻しかない潜水艦救難艦403「ちはや」、右の敷設艦483「むろと」は、水中聴音監視装置ほか深海ケーブルの敷設や海洋調査を行う。潜水艦は、手前がひとつ前の型の「おやしお」型、奥が最新の「そうりゅう」型。停泊時には、潜望鏡やシュノーケルの点検を行っており、海上は小さいが水面下に8mほどの高さの船体がある。日本の潜水艦はディーゼル潜だが、低音性で定評があるという。

ひき返した「ちはや」の先には、珍しく塩で真っ白になった「そうりゅう」型が停泊している。掃海母艦464「ぶんご」は、機雷の敷設と掃海艇の補給の役割。後部に大きな扉が設けられている。再びジャパンマリンユナイテッドの大和ドックとタンカードックを右手に見て、呉港へと帰港。30分があっという間の迫力、かつ説明も興味深いミリタリークルーズである。