ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

大津 湖畔の宿場町てくてくさんぽ5

2020年02月09日 | てくてくさんぽ・取材紀行
丸屋町商店街から国道161号を渡った先の中町通りは、菱屋町商店街と名を変える。アーケードがこれまでよりやや広く明るくなり、3つの商店街の中でも中心的なゾーンらしい。国道161号は京阪京津線の大きな電車が路面を走るのが珍しく、アーケードの入口では写真を撮る人の姿もちらほら見られる。こちらもアーケードの中から出口付近を振り返り、走る電車をワンカット。

菱屋町商店街の沿道には食品、料理屋、テイクアウトの店が多いようで、人通りも増えて賑やかだ。和菓子の「茶菓山門」にはお休み処との貼り紙が掲げられ、店頭に並ぶカラフルな練り菓子に惹かれる。白壁の大店を構える「八百与」は、佃煮と漬物の店。小鮎など湖魚の加工品で有名な「タニムメ水産」もこの商店街に構え、見た目は町の魚屋さん風情だ。三省堂は「さんしょうどう」と読み、本屋じゃなく刃物屋。また大河ドラマで話題の「明智光秀記念館」が設置され、坂本城の光秀家来の甲冑がウインドウに飾られるほか、「麒麟がくる」のパネル展も。

菱屋町商店街は途中から、そのまま長等(ながら)商店街と名が変わる。その途端にまた閑散となってしまい、通りの幅が菱屋町商店街と変わらないだけにがらんとした印象となる。こちらにも2軒ほど鮮魚店があり、「田中川魚店」は湖魚ほか琵琶湖名産の鮒鮨、あと何故か真鴨も扱っておりジビエも兼業のような。古民家まんまの喫茶店「喫茶CATS」は、時間が止まったような店内が落ち着けそうだ。

アーケードを出たところは北国街道で、琵琶湖側に向かって少し歩いてみましょう。

大津 湖畔の宿場町てくてくさんぽ4

2020年02月09日 | てくてくさんぽ・取材紀行
丸屋町商店街のある中町通りと東海道だった京町通り、琵琶湖寄りの浜町通りは、10月2週目の週末は「大津祭り」の曳山巡行ルートになっている。寛永年間に京都の祇園祭を象って行ったのが起源とされ、界隈の各町の庫に収められた13の曳山が、宵宮・本祭りと引き回される雅な祭りである。丸屋町商店街には「大津祭曳山展示館」があり、原寸大の曳山の模型「西王母山」を展示、無料で見学ができる。

入ってすぐのところに堂々とそびえる曳山は、建物の二階ほどの高さに相当する。瓦葺きには飛竜があしらわれ、見事な欄間彫刻に人形からくり、中国の綴織の「蝦夷錦」による見送り幕など、美術工芸品としての素晴らしさも、本家祇園祭に引けを取らない。曳山は三輪形式なのが珍しく、前輪が小さく方向転換で前を上げた際にバランスがいいよう作られている。三本の通りを巡行する際の、取り回しがいいようにした工夫といえる。

2階には曳山の装飾品や衣装などが展示されていたが、面白かったのは13台の曳山のミニチュア模型。昭和13年作で、なんと当時15歳の方が夏休みの宿題で作ったのだとか。粘土と布と木を素材に、中の人形も再現するなど、どの曳山も特徴が出ている。ずらり一堂に並ぶ様は、これはこれで見応えがある。

丸屋町商店街からさらに隣の商店街へ、中町通りを西へ向かいましょう。

大津 湖畔の宿場町てくてくさんぽ3

2020年02月09日 | てくてくさんぽ・取材紀行
中町通りは旧東海道の京町通りに比べ、古い建物が比較的残っている。現在も人が住んでいたり店舗になっていたりで内部公開していないところも多いが、生活感が漂う分生きている町らしい活力が感じられる。

中町通りをそのまま西へ行くと、丸屋町商店街のアーケードへと入っていく。この先丸屋町・菱屋町・長等の3つの商店街が繋がって続き、総延長550メートル・およそ90店舗が並ぶ「ナカマチ商店街」の長いアーケード街を形成。宿場町の東海道に並行する商業街の流れから、近代に入ってからも賑わいを見せたが、現在では郊外の大型店舗にお客が流れ、やや元気がないようにも感じられる。

最も東寄りの丸屋町商店街は、どこか昭和的な風景が感じられる。金物屋や電気屋といったまちの専門店が、未だ現在。中ほどにある昭和レトロな飲食店街「丸屋町プラザ」も、赤煉瓦の雑居ビルが庶民の飲み屋的感じを出している。古い建物も混じって見られ、白壁格子の造り酒屋「平井酒醸造」は銘柄「浅茅」がウインドウに並び、季節柄板粕も店頭販売していた。嬉しいのは書店が2軒健在で、新刊書店の澤五車堂、古本の古今書房とも、ウインドウにご当地滋賀の本など推しを並べて頑張っている。

滋賀県のアンテナショップを兼ねた観光案内所「ここ滋賀」、町屋を公開し百街の歴史などを展示した「大津百町館」、さらに龍馬が襲われた寺田屋事件の舞台・寺田屋の女将の実家跡碑など、観光関連のコンテンツが割と多いのも、この商店街の特徴だ。では界隈で一番の観光コンテンツに、立ち寄ってみましょう。

大津 湖畔の宿場町てくてくさんぽ2

2020年02月09日 | てくてくさんぽ・取材紀行
大津の街はJR駅から琵琶湖畔へ下る途中、二本の大通りが市街を東西に横切っている。駅から歩いてひと筋目の東海道は、京都に入る一つ手前の宿場・大津宿が設けられていたあたりである。さらに市街の札の辻は北国街道の分岐点、琵琶湖岸の大津港は北陸方面との水運の玄関口でもあり、当時の大津は物流の拠点として賑わっていた。その賑わいは「大津百町」と表現されたほどで、旧東海道の沿道にはそうした名残をとどめた建物が、今も点在している。

東海道の本道は、現在は「京町通り」と呼ばれている。大津宿の宿場町が設けられ、2軒の本陣と脇本陣と問屋場、さらに200軒の旅籠が軒を連ねていた。駅から中央大通りを下り、京町通りへと折れるとすぐに、4軒ほどの年季ある建物が集まる一角に出る。屋号の木看板が架かる「森野すだれ店」は、琵琶湖のヨシで編んだ簾の店。宝暦年間創業の「餅兵」は「御饅頭処」の金文字看板が鮮やかだ。店頭にはいちご大福など、今風の菓子も並ぶ。赤い暖簾に黄色の格子窓の「魚忠」は、元呉服商の町屋を用いた料亭。「ぶつだんや大弘」は金綺羅の仏具が配された、店頭のケースが目を引く。

一角を行き過ぎて振り返ると、このエリアだけ違う時代の空間に見えるほど、江戸期の宿場風景が残っている。ここからもう一筋の大通り・中町通りへと折れてみましょう。

障害者の文化芸術フェスティバル6

2020年02月09日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
「舞台芸術見本市」で、2日め午後にもうひとつ、島根県浜田市金城町の石見福祉会芸能クラブによる「石見神楽」を鑑賞した。演目は八岐大蛇で、途中から入るとちょうと8頭の大蛇がトグロを巻きつつ競り上がるシーン。須佐男が登場して戦い、ひとつひとつ頭を切り落としていく姿に、拍手喝采の盛り上がりだった。

このクラブは35年前から活動しており、金曜の夜に施設の利用者と職員でやっているそうである。はじめ余暇活動だったのが次第に本格的になり、現在は公演の依頼が増えているという。100以上ある石見神楽の社中の中で、障害者が所属しているのはここだけ。でもそれを感じてもらいたくない、あくまで舞台の成果で評価されたいと代表者が語っていた。

大蛇は長さ18メートル、重さは12キロあり、体を見せずにひとりで回すのは大変な体力と技量が必要とか。確かに「中の人」すら感じられない熱演、満場の拍手が評価の証ではなかろうか。