ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカルベジタでヘルシーごはんbyFb…福島・会津の、生産者の分かる福島の野菜試食会

2012年11月13日 | ◆ローカルベジタでヘルシーごはん

 ひと頃ほとんど見られなかった福島県産の食材が、少しずつ戻りつつあるように感じる。応援イベント販売や特設マルシェなど、まだまだ特別販売が中心だが、それだけに売る側、買う側いずれも、食材の背景や成り立ちなどの情報への関心が半端ではない。風評被害へのいちばんの対応は、徹底的な情報開示あるのみ。そう考えると福島の食材はある意味、いま最も生産者の顔が見える食材に思える。

 秋葉原で開催された、特定非営利活動法人素材広場主催の福島県外商談会でも、会津の風評被害の現状と県産食材の検査方法の説明に時間が割かれた。現在、県の検査は農業総合試験センターで行っており、高精度のゲルマニウム検査機でキロあたりのセシウムを測定するほか、米は全袋検査を実施している。検査開始以来、基準値を超える数値が出るのは稀で、会津の食材は基準値を超える数値は全く出ていないとのこと。また主催者が運営する「生産者指名買いシステム」では、生産者の情報として畑の土壌と環境放射線検査結果を公開。より徹底して放射線関連の情報を開示している。

 そうした説明を受けての試食会では、「生産者の分かる検査済みの福島の野菜」と称し、生産者名を記した20種の料理を味わった。サバとイカとサケの三五八漬けは、いわきの四ツ倉で唯一再興した干物店のもの。塩と麹と米で魚介の旨味が強化された、山国会津らしい水産加工品である。自分の畑の野菜を漬けたという生産者の、カブの芋床漬けに長芋の醤油漬け、ネギの唐辛子漬けは、野菜の香りと歯ごたえが生きた、ご飯が進む味。郷土料理のイカニンジン漬けは、ニンジンの土の香りがどっしりと芯がある。

 会津の郷土料理に野菜の惣菜と続いた後、ピクルス5種が異彩を放つ。玉ネギ、ニンジン、シイタケに、ミニトマトとリンゴピクルスが酸味を引きたて合い、なかなか斬新だ。説明のビデオでは、主催者が旅館の食事向けに生産者と開発している様子が流れ、これから会津を訪れる旅行者に向けた、新進おもてなしの味、といった印象か。

 いただいたパンフや会場のチラシには、生産者の写真が載っており、顔が見える食材の安心さというか、温かさを感じずにはいられない。「絆」もいいけれど、確かな情報で産地と消費地を、顔が見えるように「繋(つなぐ)」こそ、自分の仕事でできることかも。ほくほくに甘い会津産コシヒカリを頬張っていたら、1年前の風評被害モニターツアーで会った生産者のおばちゃんを思い出し、ふと感じた総括である。