お盆は明けたけれど、この日の東京は34度と、高温注意報が出るほど暑い。昼ごはんも冷やしさっぱり系に向く日が、まだまだ続きそうである。
ラーメン店に寄っても、夏季限定の冷やし中華につい、目がいく。「中華」と称するがこの料理、発祥は仙台の中華料理店という。もとは夏の売り上げ低下の対策から生まれたそうで、冷たい麺と冷たいスープの組み合わせに、具は自由にアレンジ可。いわば堅苦しい定義はない、根っからの日本ローカル麺なのだ。
中華料理店やラーメン専門店の冷やし中華は、グランドメニューの麺やスープ、具材を流用していることが多く、限定メニューながらちゃんと店のカラーが出ているのが面白い。いつもの「」のも、喜多方ラーメンの組み立てまんまの冷やし麺。加水多めのプルプル中太ちぢれ麺が、氷でキンキンに冷やした醤油スープにからみ、チャーシューはカラシでいただくから甘い脂もさっぱり目。刻みキュウリに紅ショウガが、ラーメンにない冷やしオリジナルな具材で、涼感をキリッとかもし出している。
品名が「中華風冷やしラーメン」と、やや回りくどいのは「和風」もあるからで、これも猛暑の山形のラーメン屋が考案した夏メニュー。暑さ寒さは食文化を形成する一大要因と思えば、東京の酷暑からも新名物が生まれないだろうか、との期待のひとつもしたくなる、盆の名残の暑さである。