先日味わった豊川の匠トマトを、トマト好きの知り合いにひとつ差し上げたら、お返しにもトマトをいただいた。今度のは熊本産の「塩トマト」。
名前が気になって調べたら、八代海沿岸で海の塩の影響を受けやすい場所で栽培されているとある。江戸期には塩田もあった地で、土壌の塩分含有量も高いらしい。あまり野菜栽培に向かなそうなイメージだが、トマトの味に好影響なのだろうか。
小ぶりなので丸かじりでいくと、皮がガッシリ固めでバチッと弾ける歯ごたえ。中も詰んでいて、ザクザクかじりごたえある、硬派な食感だ。名前からほのかにしょっぱさを感じるが、甘みが柔らかいのが意外。フルーツトマトと野菜のトマトの、中間的甘みといった感じか。
塩分豊富な土壌で栽培して甘くなるのは、トマトが塩分を含有するのではなく、その逆。水分の吸収を阻害するため、身がしっかりして糖度も上がる仕組み。栽培地によっては、糖度が10を越える、高糖度トマトに近いものもとれるとも。
平戸牛や隠岐牛は海岸に面した牧場に放牧するため、塩分を含んだ牧草を食べて肉質がよくなるという。塩トマトの甘さも沿岸の塩分のおかげだが、作用が対照的なのが興味深い。トマト探しを続けていけば、いつかはしょっぱ目なトマトにも出会うのだろうか?