暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

のけものけもの

2011-12-08 | 狂おしい
私は殴られ、
雑草のように倒れ伏す。
目の前では一匹の蟻が、
一瞥もくれずに匂いの道を辿っている。

平等な、
平等な世界などどこにあろうか。

噛みあわさる違和感は、
砂利か奥歯かわからない。
わたしの目は潤んでいる、
舌はからからに乾いている。

烏が鳴いている。
猫が後ろを振り返る。
夕食の匂い。
喧騒。

わたしは、
わたしはここにはいないのだ。

もはやわたしを殴り倒した者は、
笑いながら消えてしまった。
夕暮れだけがわたしを許し、
彼らは彼らの当たり前を消費する。

世界は当たり前に回っている。
それは、わたしを差し置いて。

真っ白、真っ黒、見ない聞かない喋らない。
血など証明にすらなりはしない。
口にたまったものを吐き出したところで、
砂も奥歯も一緒くただ。

おいしいごはんをつくっている。
おいしいごはんをさがしている。
おいしいごはんをたべている。
おいしいごはんをたべおえた。

平等な、
平等な世界などどこにあろうか。

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