暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

からだをつぐむ

2008-01-25 | -2008
口を持たない奇形の子供
喋ろうともがく姿を見て人は笑う
転んだ痛みを伝えられず
嫌いなものを伝えられず
お腹が減ったことも伝えられず
両親はただ途方に暮れるばかり

口を持たない奇形の子供
喋らなければわからないのよ
頭の中で叱責が響く
言い訳も口にできず
しゃくり上げては癇癪を起こす
無音の反抗に それでもなお
人は笑う 残酷に指をさして

喉に無理やり穴を空けて
ようやく生き永らえる奇形の子供
同情と叱責に耐えながら
助けは必死に求めている
ただ人は知らない
喋ることのない者との意志の疎通など
手を振れば気が触れたと喚く
触るのを許されているといえば父母の服の裾ばかり

子供は絵を描いて
なお助けを求めていた
次第に助けてほしい思いは曖昧になり
体に受けた傷も当然なのだ
大人になる子供は考える

喋ることもできない人間を
誰が愛でるというのだろう
理解の外にいる人間を
誰が愛しいと思うのだろう

相変わらずそれに許されているといえば
父母の服の裾を掴むこと
喉から唾液を滴らせれば
それは口もなく自らを嘲笑う

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