暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

住めば巣の中

2018-02-13 | 自動筆記
水垢の浮いたシャワーヘッド
吐き出される湯を眺めながら
排水溝に唾を吐く
饐えた臭いのする浴室

オートロックの蓋を開ければ
外れっぱなしの電気パネル
虚像はここでも見えるのかい
見えなかったことはないけれど

たまに鉛筆を持ってみれば
震えて上手く描けやしない
目の前にははりぼての箱がひとつ
取り残された遺物がひとつ

肌をばりぼりかきむしる
唾棄するのは唾そのもので
流れていく 重力のままに
寒いと湯はすぐ温む

見せかけだけさ 今いるここも
虚像はどこでもついて回る
逆さに見えるだけなのに
どうしてああも輝いて見える

またひとつふたつと唾を吐き
ついでと胃液が飛び出てくる
鏡の向こうは銀の幕
時々止まる換気扇

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