暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

自己愛性人格障害

2007-01-21 | 暗い
ひとの手の体温ぐらいしか知らなかったぼくは、鏡が好きだった。
鏡に映る自分の姿。
『彼』を触るように、ぼくを指で辿ればなんだか温かかった。
鏡には触らない。
冷たいから。

どうしても生きにくい時は、何に縋るのだろう。
人によって違うのかもしれないし、違ったようでいて皆同じなのかもしれない。
ぼくがぼくであるから、ぼくは生き続けている。
誰もぼくのようにはなれない。
だから縋るなんてできない。
だからぼくは一人でぼくを抱き締めた。

ぼくは可哀相だ。
とても可哀相だ。
腕の方から痺れていく感覚。
そうだ、折られたんだ。
祖父に。

自分を愛して何が悪い。
自分さえ愛せない人間に何が言える。
ぼくだけがぼくを裏切れない。

そう思っているのならば、それは間違いだ。
けれどぼくは鏡を見る。
温かさを模擬的に感じる。
ぼくはもう、




ぼくじゃない

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