ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

痛み

2016年05月13日 | 文学

  憂鬱ななか、一週間きちんと出勤できました。
 まずは目出度い。

 一週間ほど前に寝違え、首から肩にかけてひどく痛むのも憂鬱に拍車をかけているようです。
 なんといっても痛いのはしんどいものです。
 階段を下りるだけで、その衝撃で肩から背中にかけてひどい痛みが走ります。
 ちょっと痛むだけでしんどいのですから、大けがや大病はさぞかししんどいでしょうね。

 雪ぞ降る われのいのちの 瞑ぢし眼の かすかにひらき、痛み、雪降る

  若山牧水の和歌です。
 この歌人には珍しく、読点を打っているのが、痛みの激しさを物語っているかのようです。
 それはもちろん、肉体の痛みとは限りません。
 むしろ、精神的な痛みであったと解するほうが納得がいくでしょう。

 しかし肉体の痛みが精神に惹起せしめるものは、苦しみであるに違いなく、私は痛みがもたらす苦しみと、痛みゆえに思わざるを得ない命の儚さとを感じ、しばし、瞑目せざるを得ません。

 この歌は歌人が青年時代に出版した「死か芸術か」という大上段に振りかぶったタイトルの歌集に収められています。
 若さゆえの気負いを感じさせます。

 今は初夏。
 雪に痛みを仮託することはできません。
 そこで夏のこんな歌を。

 蒼ざめし 額つめたく 濡れわたり 月夜の夏の 街を我が行く

 これもまた、若さを感じさせ、どこかメランコリックですね。
 そしてまた、痛みを感じさせます。

 それなら今、初夏に肩や首が痛む私の額もつめたく濡れ渡っていることでしょう。

若山牧水歌集 (岩波文庫)
伊藤 一彦
岩波書店
若山牧水大全
若山牧水
古典教養文庫

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半端なシステム

2016年05月10日 | その他

 今日は午前中健康診断で、午後は長い会議。
 仕事がちっとも進みません。

 嫌になります。

 戦時中、極限状況下におかれた兵隊は、戦病死した戦友の遺体を横目に見ながら、楽になれてうらやましいとつぶやいたと聞きます。

 怖ろしい精神状態ですが、最近、仕事がうまくいかない私は、事故死でもすれば楽でよいのに、などと不謹慎なことを考えてしまいます。

 思うに情報革命が中途半端に進んだ結果、様々な仕事をシステムを使って進めるようになり、それは便利なようでいて、中途半端ゆえにアナログ時代以上に苦しめられるという事態が現出したように思います。

 時代時代で苦痛の種類は違うのだろうと思います。
 そして現代。
 事務職は半端なコンピュータに苦しめられる宿命を背負っているようです。

 私はそれを嘆きながらも、明日になれば、また、半端なシステムと向き合うのです。


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危機

2016年05月09日 | 精神障害

  月曜日というのは憂鬱なものですが、今日はとくにダメでした。
 腹の底に不安が固まりのように沈み込み、仕事もはかどりません。
 精神障害はすっかり克服したつもりですが、だからと言って不安が無くなるわけではありません。
 今日は頓服の抗不安薬を朝と昼、2回飲んで、なんとかしのぎました。
 今月は忙しいので、危機的状況が続くでしょう。
 はたして私は大丈夫でしょうか。


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大型連休終了

2016年05月08日 | その他

 今日で大型連休も完全に終了ですねぇ。
 私は暦どおりでしたが、中には10連休という人もいたでしょう。
 私の部署にも、一人、2日と6日に休暇を取り、10連休にしたツワモノがいます。

 明日からは本格的に働かなければなりません。

 嫌になりますねぇ。


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田舎町の人情喜劇

2016年05月07日 | 文学

 奥田英朗の連作短編集「向田理髪店」を読み終わりました。

 かつては炭鉱で栄えながら、今はすっかり寂れてしまった北海道の田舎町が舞台です。
 当然、夕張市がモデルと思われます。

 理髪店の主人を主人公に、いずれも幼馴染のガソリンスタンド経営者や役場の課長などが登場し、コミカルに様々な騒動が繰り広げられます。

 札幌でサラリーマンをやっている息子が家業を継ぐといって帰ってきたり、40男が中国の田舎から嫁をもらいながらお披露目をするのを頑なに拒んだり、、赤坂でホステスをやっていた女が帰省して新しくスナックを開き、町中の中年男が色めきたったり、映画のロケ地になったり、町出身の青年が東京で詐欺事件を起こして逃げてきたり。

 寂れた田舎町とは言ってもそこは人が住む町。
 必ず何事かが起こります。

 寂れた元炭鉱町が舞台とはいえ、どこか明るく、楽しげです。
 
 私は東京と千葉にしか住んだことがありません。
 旅行で田舎に行くことはあっても住んだことが無いので、実状はよくわかりませんが、その私ですら、いかにも存在しそうな感じがします。

 そこが作者の腕なのでしょうね。

 寅さんの田舎版と言ったところでしょうか。
 楽しい人情喜劇でした。

向田理髪店
奥田 英朗
光文社


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ファンハウス

2016年05月06日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜はコメディータッチのホラーを鑑賞しました。

 「ファンハウス」です。

ファンハウス [DVD]
ロバート・イングランド,スコッティ・トンプソン,クリント・ハワード
ポニーキャニオン




 ハロウィーンの夜、ある精神病院から、6名の殺人鬼が脱走します。
 彼らは彼ら自身をモチーフにしたお化け屋敷に潜入し、集まった多くの若者を殺しまくるのです。

 当初、お化け屋敷の客たちは殺人鬼たちによる犯行を、リアルなアトラクションだと勘違いします。
 それがゆえ、逃げるのが遅れ、犠牲者が増えるという仕掛け。

 殺人鬼が大勢登場するのは豪華な感じがしますが、一つ一つの殺人があっさりしており、しかもコメディータッチなため、怖くはありません。
 大量殺人によるカタルシスも感じられません。
 なんだかお祭り騒ぎのなかで殺人が繰り広げられるので、犠牲者に感情移入できませんし、漫画チックな感じがします。

 一種のホラーコメディのような感じです。
 それでもテンポが良いので、あっという間に終わっちゃう感じは悪くありません。
 コアなホラーファンなら、一応、観ておくべきかと思います。
 


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ISORA 多重人格少女

2016年05月05日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜は少し古い和製ホラーを鑑賞しました。
 「ISORA 多重人格少女」です。

ISOLA 多重人格少女 [DVD]
貴志祐介
PI,ASM/角川書店

 ずいぶん昔、原作の「13番目の人格 ISORA」というのを読んでいて、かなり後味の悪い終わり方をしたと記憶していますが、映画版は爽やかなラストで、そこが物足りません。

十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA (角川ホラー文庫)
貴志 祐介
角川書店(角川グループパブリッシング)

とりあえず予告編をご覧ください。



 阪神淡路大震災直後の神戸を舞台に、多重人格の少女と、幽体離脱の実験を行うマッドサイエンティストが絡み合ってストーリーが展開します。
 幽体離脱の実験を行っている最中に男女で一組のマッドサイエンティストの女が死亡。
 肉体を失い、幽体離脱中だった女の魂は、多重人格の少女の中に入り込み、13番目の人格となります。

 この13番目の人格がISORAで、生霊となって人を殺すことができるという恐ろしい設定です。

 設定は恐ろしいのに、なんとなく画面からお人よしというか、人間を信じている感じがにじみ出ていて、私はいまいち楽しめませんでした。
 映画ではなく、原作を読むことをお勧めします。


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寝冷えに寝違え

2016年05月04日 | その他

 急に暖かくなったせいか、昨夜は掛け布団を寝ている最中に跳ね飛ばしたようで、寝冷えしてしまいました。
 おかげで朝からくしゃみがとまりません。

 その上寝違えたようで、首から肩にかけて鈍痛があります。

 朝から大雨と強風なのを良いことに、午前中はほとんど眠ってすごしました。
 お昼前には雨が上がったので、近所の中華屋でお昼をいただき、ついでに魚屋に行ってマグロのヅケと鯛の刺身を購入しました。

 今宵はこれで一杯やる予定です。

 大型連休なんて、あっという間に過ぎてしまうものですねぇ。 
 


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憲法

2016年05月03日 | 社会・政治

 今日は憲法記念日ですね。
 護憲派も改憲派も集って気勢を挙げていることでしょう。

 私は憲法論議に関しては、すっかり白けています。

 事実上、憲法は解釈の変更によって、成立当初とはかけ離れたものになっています。
 軍事力は持たないと言いながら、軍隊以外の何者でもない自衛隊を保持していますし、政府は核武装すら、必要最小限であれば憲法違反ではない、という立場です。

 それならいっそ、憲法を変えたほうがすっきりするだろうとは思いますが、面倒な手続きを経なくても解釈の変更でいくらでも変えられるなら、憲法を改正しようという意欲も失せることでしょう。

 立憲主義および法治という観点から言って、国の最高法規を、解釈だけでいかようにも出来るというのは、はなはだ危険だと思います。

 解釈を変えるなら、条文そのものを変えるべきでしょうに。

 この事態、明治維新まで形の上だけは存在したという養老律令に似ています。
 要するに形骸化しているのですね。

 憲法に関しては、いつも9条ばかりが問題視されます。
 9条が国際情勢に対応不可になってしまったことは火を見るより明らかだと思いますが、昔懐かしい冷戦期の左右対立の影響からか、今でも9条をうっとりと感傷的に語る人を見かけます。

 気色悪いったらありゃしない。

 昔社会党の議員が、殺すくらいなら殺されたほうが良い、と発言しているのを聞いたことがあります。

 個人の思想信条としては立派だと思いますが、それを国民に強要するならば、政治家として最も重要な仕事である国民の生命財産を守るという責務を放棄したことになりますから、さっさと政治家を辞めて評論家なり、反核平和教の伝道師なりを目指すべきでしょう。

 魑魅魍魎が渦巻く現実世界をまともに見れば、武装しないという選択肢などありはしないことは自明です。

 浪漫で安全保障を語る気色悪いことはやめて、まともに世界を見たいものです。

 


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谷間

2016年05月02日 | 仕事

   ゴールデンウィークの谷間の出勤。
 今日は半数ちかい職員が休暇を取るなか、私は暦どおりです。
 朝は死ぬほどやる気がでませんでしたが、ゆっくりとでも仕事に手を付ければ、なんとなく、その気になるから不思議です。
 明日からまた3連休。
 1日通ってまた土日。
 なんだか間が抜けていますねぇ。
 まぁ、休めるのは嬉しいですけれど。


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初恋温泉

2016年05月01日 | 文学

 様々な温泉を舞台にした多様な恋愛模様を描いた吉田修一の短編集「初恋温泉」を読みました。

初恋温泉 (集英社文庫)
吉田 修一
集英社

 表題作は初恋の女性と結婚し、多忙な日々をおくる男が、妻と温泉旅行に行く直前に離婚話を切り出され、それでも温泉旅行に出かけるほろ苦い物語。

 他にも、既婚者同士の不倫旅行を描いた切なさ満点の「ためらいの湯」や、高校生カップルが勇気を振り絞って温泉に一泊旅行に行く「純情温泉」など、温泉と恋をうまくからめて描き出した珠玉の短編集に仕上がっています。

 「初恋温泉」で、妻が、分かれたい理由を、「幸せなときだけをいくらつないでも、幸せとは限らないのよ」と告げるシーンは意味深長であり、印象的です。

 なるほど、そうかもしれません。

 しかし、辛いとき、人は楽しかった思い出を振り返って今を乗り切ろうとします。
 それは奏功することもあり、そうでない場合もあります。
 しかし、幸福な思い出がたくさんある人は、それだけでも人生を乗り切る財産を持っていると言えるのではないでしょうか。

 浜田省吾は「もうひとつの土曜日」という曲で、

 ただ週末のわずかな、彼との時を、つなぎあわせて、君は生きてる

 と、歌って見せました。

 恋人と過ごすか否かは別にして、多くのサラリーマンは週末と週末をつなぎ合わせて、どうにか平日を乗り切っているというのが偽らざる心境であるように思います。

 この短編集は、この作家の多くの小説がそうであるように、印象的なフレーズや場面を散りばめた、読みやすくて、それでいて奥深いものに仕上がっています。 

 

 


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