憂鬱ななか、一週間きちんと出勤できました。
まずは目出度い。
一週間ほど前に寝違え、首から肩にかけてひどく痛むのも憂鬱に拍車をかけているようです。
なんといっても痛いのはしんどいものです。
階段を下りるだけで、その衝撃で肩から背中にかけてひどい痛みが走ります。
ちょっと痛むだけでしんどいのですから、大けがや大病はさぞかししんどいでしょうね。
雪ぞ降る われのいのちの 瞑ぢし眼の かすかにひらき、痛み、雪降る
若山牧水の和歌です。
この歌人には珍しく、読点を打っているのが、痛みの激しさを物語っているかのようです。
それはもちろん、肉体の痛みとは限りません。
むしろ、精神的な痛みであったと解するほうが納得がいくでしょう。
しかし肉体の痛みが精神に惹起せしめるものは、苦しみであるに違いなく、私は痛みがもたらす苦しみと、痛みゆえに思わざるを得ない命の儚さとを感じ、しばし、瞑目せざるを得ません。
この歌は歌人が青年時代に出版した「死か芸術か」という大上段に振りかぶったタイトルの歌集に収められています。
若さゆえの気負いを感じさせます。
今は初夏。
雪に痛みを仮託することはできません。
そこで夏のこんな歌を。
蒼ざめし 額つめたく 濡れわたり 月夜の夏の 街を我が行く
これもまた、若さを感じさせ、どこかメランコリックですね。
そしてまた、痛みを感じさせます。
それなら今、初夏に肩や首が痛む私の額もつめたく濡れ渡っていることでしょう。