今日、2月19日という日を迎えて、私はメイプルソープ事件で最高裁がメイプルソープの写真集はわいせつ図画にあたらないとして出版社の主張を認め、国側敗訴の判決を出したときのことを、はっきりと思い出します。
2008年のことでした。
メイプルソープといえば、現代米国を代表する写真家。
花の写真や男のヌードの写真が多いですが、彼の死後発行された「Mapplethorpe 」という写真集に、男性性器を露出させた作品が何点か掲載されているのが問題となったようです。
下がその写真集です。↓
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Mapplethorpe |
Robert Mapplethorpe Foundation,Arthur C. Danto | |
Te Neues Pub Group |
古くはサド裁判といい、四畳半襖の下張り裁判といい、わいせつか芸術かを争う裁判においては、常に国側が勝訴し、芸術家や出版社は敗訴してきました。
それがメイプルソープ事件では国が敗訴したわけで、この種の事件では画期的なことです。
では、メイプルソープの写真をいくつか。
大人しめの花の写真です。
こちらになると、どこか毒気のあるエロティックな写真に見えてきます。
メイプルソープは黒人男性の鍛え抜かれた肉体美を好んでいたようです。
それは私生活でもそうで、同性愛者であった彼のもとには黒人の美少年・美青年がいたようです。
こちらは国がわいせつ図画に指定した写真のうちの一枚です。
国、という個人はいないわけで、役人だか大臣だかが会議にかけて決めるんでしょうけど、その会議、面白いでしょうねぇ。
もぐりこんでみたいものです。
メイプルソープの人と作品を紹介した番組の一部です。
彼は42歳のとき、エイズで亡くなります。
バブル絶頂の1989年でした。
私はその頃大学生で、何冊か彼の写真集を購入しました。
ストレートで凛とした花やメイル・ヌードの写真の数々は、私を慄然とさせるに十分でした。
写真の持つ力を過小評価していたことを、痛感させられましたねぇ。
もう亡くなって20年以上たつのですねぇ。
いまだにメイプルソープはニュー・ヨークのとんがった芸術家の先頭を走っているような気がしてなりません。
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Flowers |
Robert Mapplethorpe | |
Bulfinch |
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メイプルソープ |
Patricia Morrisroe,田中 樹里 | |
新潮社 |
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