ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

冬ごもり

2010年10月28日 | 文学

 昨日今日と、急に寒くなりましたね。
 まだ10月だというのに、厚手のコートを着て出勤しました。
 最高気温は10度前後。
 猛暑の影響で残暑が長引いた関東の者には、辛い木枯らしです。

 一方、冬はお家にこもる楽しみがありますね。
 熱い湯に入って、暖房を効かせた部屋で熱燗でもやれば、身も心もぽっかぱか。
 外が吹雪だと、冬ごもりの快感はますます高まります。
 この世に一つだけの快適空間という感じがして、うれしくなります。

 冬ごもりの句が多いのは与謝蕪村ですね。
 私はこの俳人を偏愛しています。
 それには冬の句に見るべきものが多いということが大きく寄与しています。

  
屋根ひくき 宿うれしさよ 冬ごもり
  
  冬ごもり 母屋へ十歩の 縁づたい
  
  冬ごもり 妻にも子にも かくれん坊 
  
  冬ごもり 仏にうとき こころかな
  
  居眠りて 我にかくれん 冬ごもり
  
  埋火や ついには煮る 鍋の物
 
  埋火や ありとは見えて 母の側
  
  埋火や 春に減りゆく 夜やいくつ

  
うずみ火や 我かくれ家も 雪の中

 
冬ごもりの快感を詠んだ句が、こんなにあります。
 なかでも、
うずみ火や我かくれ家も雪の中は、出色の出来です。
 私の冬のテーマでもあるのです。

 俳聖と称された松尾芭蕉は求道的句を作り、老境にいたっても旅を続ける厳しい俳人でした。
 一方与謝蕪村は、籠居の詩人とか郷愁の詩人などと称せられ、平和な江戸中期の京都で、絵を描き、句を作り続けました。
 そして愛しい我が家をミクロコスモスのように思いなして、そのミクロコスモスを賛美したのです。
 芭蕉が突き進む芸術なら、蕪村は退いていく芸術。
 蕪村は退行の暗い欲求に執り付かれていたに相違ありません。
 そして彼に魅かれてしまう私も。

郷愁の詩人 与謝蕪村 (岩波文庫)
萩原 朔太郎
岩波書店
蕪村俳句集 (岩波文庫)
与謝 蕪村,尾形 仂
岩波書店



↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 食い物 | トップ | 開化先生 »
最新の画像もっと見る

文学」カテゴリの最新記事