ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

金時山

2013年05月27日 | その他

 先ほどテレビ番組で、元気に稼ぐおばあちゃんの特集を放送していました。

 その中で、箱根の山にほど近い金時山の頂上で山小屋を経営する80歳のおばあちゃんが登場していました。

 なんと、14歳から80歳の現在にいたるまで、年中無休で山小屋を開いているというのです。

 山頂は登山口から2時間ほどと、比較的低いものですが、当然電気は通っておらず、夜はろうそくの明かりで過ごすそうです。
 住んでいる場所は山小屋の屋根裏。
 わずか2時間で登れる山とあって、宿泊施設は無いそうです。
 近隣で採れるなめこなどをこれでもかと入れたきのこ汁が名物だとか。



 休日には3千人、平日でも千人もの人が山頂の金時茶屋を訪れるそうで、儲かってウハウハでしょうねぇ。
 ただ、いくら儲かっても、年中無休では山を下りることもままならず、金を遣う機会とて無いでしょうねぇ。



 なんでも元は両親が経営していたところ、14歳の時に父親が他界、病弱だった母親に代わって金時茶屋を守るようになったとか。

 66年間、ひたすら山頂で登山者に暖かいきのこ汁を提供し続けてきたのですねぇ。

 ちょっと想像しにくい人生です。

 その間、テレビも洗濯機も冷蔵庫も無い生活を送ってきたとは驚きです。

 病気になっても細くて足場の悪い山道を下りることはできないでしょう。
 まして亡くなったりでもしたら、遺体を焼き場に運ぶことも困難でしょう。

 その困難を当たり前のこととして引き受け、おのれの運命を甘受して暮らしてきたことは、賞賛に値するものです。

 私はと言えば、職場のエレベーター横に貼ってある、3階までは節電と健康のため階段を使いましょう、という紙をせせら笑い、何のための文明の利器じゃ、とばかり、2階に行くにも地下1階に行くにも必ずエレベーターを使う軟弱者で、山登りなんて考えただけで笑ってしまいます。

 しかし人は生まれた時代、地域の影響から逃れることはできません。
 この惰弱な私ですら、金時山の頂上で生まれ育てば、自ずと違った人生を生きたことでしょう。

 近頃、リタイアした団塊の世代を中心に、登山がブームだとか。
 2時間で登れる程度の山ならきっと健康維持に役立つでしょう。

 山ガールと称する登山好き、もしくは登山者風のファッションを好む若い女性も増えているやに聞き及びます。

 それを聞いて思い出すのは、80年代ににわかに現れた陸(おか)サーファー。
 都会の真ん中で、使いもしない巨大なサーフボードを持ち歩く愚か者たちです。
 あんな大きい物を。
 邪魔でしょうに。

 私はただ、おのれの楽を求めながら、苦しい人生を歩む人々を眺めて喜ぶほかない愚か者なのです。

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