ぐずついたお天気の土曜日。
大人しく読書などして過ごしました。
昨年、御大・筒井康隆が8年ぶりに出版したという短編集「繁栄の昭和」を楽しみました。
あなたのいるここだけが現実の世界じゃないのよ、というキャッチ・コピーも魅力的。
繁栄の昭和 | |
筒井 康隆 | |
文藝春秋 |
怪人二十面相誕生の秘密を独自の解釈で繰り広げた「大盗庶幾」。
あっと驚く内容でした。
登場人物で探偵小説好きの法律事務所の事務員が、自分たちの存在は執筆中の探偵小説の登場人物であり、いつまでたっても年をとらず、町並みも古びないことをもって、執筆が中断されているに違いないと気付く幻想譚「繁栄の昭和」。
戦前だったり高度成長期だったり、昭和と言う時代を舞台にしたノスタルジックな作品群は、私を圧倒させました。
御大も80歳を超えて、かつての「虚人たち」や「虚構船団」のような、とてもついていけない実験的な作品に挑む力は失せ、筆力の衰えを隠そうともせず、ノスタルジックな作品を物すとは、なかなか良い年の取り方とお見受けします。
虚人たち (中公文庫) | |
筒井 康隆 | |
中央公論社 |
虚航船団 (新潮文庫) | |
筒井 康隆 | |
新潮社 |
もう一冊、最近出たばかりの最新の短編集も購入したので、こちらも楽しみです。