ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

男同士

2012年06月25日 | 思想・学問

 男ばかりの社会では、男同士の強い絆が見られることが多いですね。
 軍隊とか、運動部とか、ある種の会社とか。
 ここで男同士は絆を強めるために相手のために自己を犠牲にしてもよい、とまで考えます。

 例えば、軍歌「同期の桜」

 貴様と俺とは同期の桜  同じ兵学校の庭に咲く  咲いた花なら散るのは覚悟 見事散りましょ国のため 

 貴様と俺とは同期の桜 同じ兵学校の庭に咲く 血肉分けたる仲ではないが  なぜか気が合うて別れられぬ 

 貴様と俺とは同期の桜 同じ航空隊の庭に咲く 仰いだ夕焼け南の空に 今だ還らぬ一番機 

 貴様と俺とは同期の桜 同じ航空隊の庭に咲く  あれほど誓ったその日も待たず なぜに散ったか死んだのか 

 貴様と俺とは同期の桜  離れ離れに散ろうとも 花の都の靖国神社 春の梢に咲いて会おう

 旧制高校の寮歌、「嗚呼、玉杯に花うけて」

 嗚呼(ああ)玉杯に花うけて 緑酒(りょくしゅ)に月の影宿(やど)し  治安の夢に耽(ふけ)りたる 栄華(えいが)の巷(ちまた)低く見て 向ケ岡(むこうがおか)にそそり立つ 五寮の健児(けんじ)意気高し

 どちらも男同士の世界を詠ったもので、そこには同性愛的な香りさえ漂います。
 しかし同時に、男同士の絆を維持するための装置として、同性愛嫌悪を挙げなければならないでしょう。

 異性愛者である男同士が、同性愛的にさえ見える強い絆で結ばれ、それでいて同性愛者を差別することで、よりいっそう男同士の絆を深める、という複雑な構造が、軍隊や旧制高校ではみられ、さらに現代の自衛隊や警察、武道クラブなどで見られます。

 ここでは、女性は男の意のままになる従属物である、という根深い偏見が、今もなお生きているように思います。
 そして決まって、強い絆で結ばれた男ばかりの集団に属する者は、女よりも男同士の絆を選ぶのです。

 これはいったいどうした事態でしょうね。

 古くはチームワークを発揮して狩りをしたこと、後には組織を作って敵と殺し合いをしたこと。
 それら生きるか死ぬかの極限状態にあっては、その構成員である男同士が深い絆で結ばれているかどうかは死活的な意味を持ちます。
 それが今も続いているということでしょうか。

 あるいはまた、男には不可能な、生むという神秘的な行為を成し遂げる女性への畏怖が、男をして男同士で徒党を組ませ、腕力で女を支配する事態を生んだのでしょうか。

 男は男同士の絆を強めることで男社会の維持を目論見、しかしそれはもはや不可能なほど、女性の社会進出は進んでいます。
 今後さらに社会における男女の役割が対等に近づけば、男同士の絆は男にとってセピア色の思い出になってしまうでしょう。

 そしてまた、男同士の絆の中心に性愛を置く同性愛者への差別はどのように克服されるのでしょうね。

 私は昔から、体育会系の、いやらしいまでの男同士の絆を称揚する行為に、嫌悪とも敵対心ともいうべき心性を持っていたので、古式ゆかしい男同士の絆が崩壊し、男社会中心から脱皮した新しい秩序が生まれることを、心待ちにしているのです。

我が心の軍歌 ~同期の桜・麦と兵隊~ ベスト&ベスト KB-26
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不審死

2012年06月25日 | 社会・政治

中国の人権活動家、李旺陽氏が不審な死を遂げているのがみつかり、中国政府は自殺と発表しました。
 すると次々と人権活動家らが、自分は絶対に自殺しない、と宣言し始めています。
 自分が不審な死を遂げたらそれは政府による暗殺だ、というメッセージなんでしょうね。

 で、昨日、今度は中国在住のナイジェリア人がタクシーの中国人運転手と喧嘩になって逮捕され、取調べ中に突然死した、と中国警察が発表したからさぁ大変。
 中国は近年、アフリカ諸国の天然資源をねらってそれらの国々に札びらを切って友好関係を作り上げ、それがためにアフリカ人の中国在留者が激増していたため、ナイジェリア人の死が不自然だとして、中国在住のアフリカ諸国の人々が広州で大規模なデモを行ったそうです。



 在中国ナイジェリア大使館も、死亡したナイジェリア人の検死にナイジェリアの専門家を立ち合わせるよう中国政府に要求しているとか。

 さすがの中国政府も、外国人、それも貴重な資源を豊富にかかえたアフリカ人たちのデモとあっては暴力で鎮圧することはできなかったようです。

 それにしてもなんだって取調べ中に急死しちゃったんでしょうね。
 李旺陽氏の自殺にしてもタイミングが良すぎるというか悪すぎるというか。
 なんだか都合がよすぎるように感じます。

 現在のところ死因は不明ですが、官憲による暴力を邪推したくなるような装置が調っていますね。

 どうか拷問などではなく、心筋梗塞などの突然死であってほしいものだと思います。 


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