ステージおきたま

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まだ間に合う!置農演劇部定期公演『ナツヤスミ語辞典』

2016-06-12 08:39:25 | 演劇

 ついつい、うっかりした。置農演劇部定期公演、今日だった。もっと早く告知してあげれば、あるいは一人二人見に行ってくれる人も増えたかも知れないのにね。

 今回の上演作品は、劇団「キャラメルボックス」・成井豊の『ナツヤスミ語辞典』だ。そうか、「キャラメルボックス」をやるようになったか!うん、いいことだ。僕が顧問の頃なら絶対取り組まない作品、学校ものだ。高校生の身の丈に合った作品、きっと部員たち生き生きと演じることだろう。無理なく入り込め、背伸びすることなく役になり切り、素直に感動できる、そういう作品を選ぶってことが、高校演劇としては王道なんだと思う。僕が離れて3年、ようやく難解主義から距離をおくようになったってことで、喜ばしい。

 そう、僕の頃は定期公演と言えば、やたら七面倒くさい作品を選んでやっていた。野田秀樹の『キル』だとか『カノン』だとか、せいぜい分かり易くなっても中島かずきくらいまでだった。同世代の登場人物のものもあるにはあったが、永井愛『見よ飛行機の飛べるを』、明治の女学生群像だった。しかも、「青鞜」の女性解放にかかわる話しだ。要するに、僕がやりたい作品、僕の趣味で決めていたってことだ。分かるの、身近なもの、そこで止まってたら、演劇の奥深くに潜り込むことはできない。敢えて、難解な大作に挑戦することで、心の底にしこりができる、それが芸術的体験ってもんだ、言い訳はなんとでもできる。

 一人残って奮闘する顧問のNから聞いたところでは、生徒たちの中に演出チームもできているという。これも、高校演劇のあるべき姿だな。拙くとも、自分たちで台本を詠み込み演技を仕上げていく、それがあって、はじめて高校演劇だって言える。以前のように顧問がすべて仕切る、なんてのは邪道なんだ、ってそれはわかっていた。わかってはいたけど、どうしても作品の質にこだわりたかったんだなぁ、僕としては。高校演劇をやりながら、高校演劇を抜け出したかったんだと思う。そんな身勝手な顧問に振り回されつつもついてきてくれた当時の部員たちに何が残ったのか、それはわからない。ただ言えることは、感謝!の言葉あるのみ。

 演出も手掛ける生徒の意欲的な姿勢、台本の執筆にも乗り出しているらしい。これまた実に好ましい。書いて苦しみ、演出して悩み、演じて惑う、自分たちの手で精一杯手探りして仕上げた舞台、きっと大きな達成感とともに終演を迎えることだろう。そんな、高校生手作りの舞台『ナツヤスミ語辞典』、ぜひ、ご覧いただきたい。

 公演は、本日12日(日) 13時と18時の2回公演だ。おお1日2回公演って背伸びしてるところは、良き伝統を引き継いでいるな。よしよし。

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