ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

失敗はならじ!野菜作り

2016-06-07 10:58:59 | 農業

 以前から、我が家の野菜作りには不満があった。でも、口出しはできない。野菜は神さんの神聖侵さざる領域だったからだ。田んぼは僕、野菜は神さん、いつの間にか、そんな棲み分けが確立していた。その昔は、仲良く?一緒に仕事していたものだが、歳が高じるとともに、お互い意固地の度合いも高まり、作業の進め方についてもそれぞれの主張が衝突するようになった。いや、ぶつかりはしない。気弱な僕が負けるのは目に見えていたから、意見が分かれれば、一歩でも二歩でも退くしかない。いつしか、神さんの厳命のままに与えられた仕事をこなすようになっていった。そう、奴隷労働!だ。野菜に関する限り。

 田んぼについても、種まき等、何かと仕切りたがるのだが、なんせ、田んぼ作業の中心は除草機押しと田植え機、バインダー、ハーベスタなど、肉体酷使労働と機械作業だ。神さん、こればっかりは、口は出せても手を出さない。米作りという聖地だけは、死守することができた。

 まっ、僕の仕切り分野、米作りだって、失敗に次ぐ失敗、性懲りもなく反省を繰り返しているわけだが、神さんの野菜の方も、当人の思惑はともかく、決してお見事栽培管理というわけではない。秋野菜はともかく、春夏野菜などまともなものが食卓に上がったためしがない。菜っ葉もキャベツ類も虫食いでずたぼろ、虫さんたちにはご馳走でも、人間様にはどう目をつぶったところで、食い物とは言い難い。見事と感心するのは、ハウス内のトマト栽培と大豆の種まき、これは性格が出て、整然とした仕上がりを見せる。

 傍から見ていて、堆肥が足りないよ、今が除草時なのに、追肥が欲しいところだな、などと、言いたくなることが多いのだが、決して口には出さない。言えば、その4倍返しで反論の矢が降り注ぐ。神さんの失敗の理由は幾つかあって、一つは作業の適期を見誤る、と言うより見失うこと、もう一つ、肥料に対する誤認識だと思っている。適期作業に関しては、春の種まきが遅かったり、大豆の中耕除草の時期を逃したり、他の仕事に熱中していると、大切な作業適期を失してしまうということが多い。堆肥以外の肥料、もちろん有機肥料だが、を使いたがらない。貧栄養の状態を野菜の理想の姿と勘違いしてるようなのだ。だから、春夏野菜などは生育が遅く、虫の集中攻撃を受けて全滅という惨状を繰り返している。失敗の連続を、春夏にキャベツは無理、なんて一般原理化してしまうので、打開するすべも見つからない。

 さて、今年は、神さんが母親の介護で家を空けることが多く、野菜作りの権利が、ようやく僕の方に回って来た。ここは一丁、お見事!と言わぬまでも、ぐうの音も出ない程度に良いものを仕上げて見せて上げましょうじゃありませんか。

 まず、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリーは3月末には種を播き、ストーブの前に置いて発芽を促した。小松菜、パクチョイ、ホウレンソウ、春菊など菜ものはビニールトンネルに種まきした。早い時期にスタートさせて、害虫が現れる前に育ててしまおうという作戦だ。もちろん、どちらも堆肥、ぼかしともにたっぷりとすき込んだ畑や苗土を準備した。菜ものは作戦的中、蝶々が卵を産むころには、ちょうど収穫時、葉裏の卵をこそぎ落として、無傷の菜っ葉類を堪能することができた。

 キャベツ族は生育に時間がかかるので、苗が仕立て上がったら、畑に移植と同時に白紗幕のトンネルにして覆った。これで、飛来する蝶や蛾はシャットアウト、結球が始まるまで大切に深窓の令嬢さながら大切に守り育てて、先日、ついに外界デビューを果たした。これから、収穫まで、どんな外敵が現れないとも限らないが、まずは、この生き生きとした様子からすれば、虫は食っても、人間様の取り分まで貪り尽すことはないだろう。

 それにしても、こんな何十個もキャベツ作って、どうすんだ?あっ、そこまでは考えてなかった。せいぜい親戚、知人、友人にふるまうしかないな。まっ、それも上手にできたときの話しだ。

コメント
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