ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

『BARレモンハート』でほろ酔い

2016-06-30 09:26:47 | テレビ

 テレビ離れが進んでるってねえ、僕も同じだ。まるで興味なしってことじゃない。その証拠に新聞のテレビ番組欄は隅々までチェックしてるもの。狙い目はドキュメンタリーとか歴史、科学なんか扱った半教養番組。以前は映画もこまめに探してたけど、農繁期だろ、とてもとても2時間以上お付き合いするなんて無理!よ。ドラマはてーと、これはほとんど対象外。恋愛もの、家族愛もの、刑事・探偵もの、どれもまったく見る気なし。NHKの朝ドラも大河も毎日、あるいは毎週その時間に合わせてテレビに対面するという習慣がないので、三谷幸喜といえでも、パス!

 数少ない例外が、『BARレモンハート』なんだなぁ。まあ、原作のマンガ(古谷三敏『BARレモンハート』)はともかく、テレビで見たことある人いないでしょ。BSフジ月曜夜10時から1時間の番組だ。

 簡単に紹介すれぱ、お酒(洋酒)にまつわるショートストーリーね。毎回、世界の銘酒をネタに小粋なドラマがさらりと演じられる。シーンはすべて、町中の小さくて居心地のよさそうなバーのみ。出演者はマスターの中村梅雀に常連客2人、それに日替わりの役者数人、金のかからないドラマベスト1間違いなしだなぁ。もし本物なら、棚に並んでる酒の方が高価かもしれない。おっと、スポンサーにサントリーも入ってたから、こっちは無料提供か。

 カウンターとボックスシート、たまに入り口、すべてここで完結するてのも、やるじゃないか。お話しの背景とか客の日常空間とかの映像は一切なし。ひたすら対話で話しは進む。これって演劇そのものだよ。上質の一幕もの。それも、差し出されるストーリー、これがまた洒落ていて、適度に心を打つ。そう、適度、そこがいい。もちろん、分かり易い。ウィスキーのグラスを傾けつつ見るのにちょうどいいまったり感なんだなぁ。

 主役が酒!ってところが何といってもユニークなところだ。1話ごとに世界の珍しい酒が登場するんだけど、それも、ストーリーに巧みに絡まりつつだから、酒飲みにはたまらない。時には強引な作り話しもあって、苦笑してしまうこともある。例えば前回の、常連のメガネさんがキューバ動乱の渦中を生き延びた人だった、なんて話し、おいおいサスペンスもありか!そこまで行くか!なんてね。それでも、よくぞまあ、毎回毎回、酒にまつわるお話しを考えだすもんだと、これは、台本書く身としてとても感心するし、勉強になる。酒の名称の謂われ(「レモンハート」って酒の名前だった)だったり、色合い(「ミドリ」って酒がある)だったり、製法(ダブルマリッジ=再婚)だったり。こう、なにかしらキーワードがあって、そこからストーリーを紡ぎ出すってやり方、好きだなぁ、なんかパズル解きみたいで。

 梅雀の、控えめながら温かく客に寄り添う笑顔も魅力的なんだが、なんと言っても、主役は酒だ。番組の最後に、その日登場した銘酒の紹介がある。この蘊蓄がなんといっても楽しみだ。出てくる酒、出てくる酒、みんな試してみたくなる。そう、この間なんて、アイルランドの酒「ブッシュミルズ」買ってきてしまったものね。前回のキューバラム「サンチャゴ・デ・クーバ」にも涎が出たけど、髙そうなので、家にあった製菓用マイヤーラムで我慢した。生で飲むには、ちょっと残念な味だったけど。

 そうか、蘊蓄ってやつが好きなんだよなぁ、「植物男子ベランダー」だって園芸蘊蓄だし。ただ、「レモンハート」の方は、聞いて満足、で終わりそうもないところが、うーん、辛い、辛い。

 

コメント
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