ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

種まきゴンベエをご存知か

2016-06-09 08:27:13 | 農業

 神さんから、畑栽培権は奪取したものの、こればっかりは、一人でやり切る自信がない。かと言って、5畝近い畑を更地にしておくのは精神衛生上よろしくない。なにも植わっていない土地を、草だらけにしないために、定期的に耕耘作業するなんど、どう考えたって非生産的かつ不毛でうんざりする。うーん、どうしたものか?

 豆畑だ。数種の大豆と小豆を撒く。一人でやってやれないことはない、とは思ったが、なんせこの10年以上、神さんにお任せ分野になっている。播種から補植まで、ノウハウは神さんの脳裏にある。去年収穫し、脱穀はしたものの選別もせずほったらかしてある豆たちから、種を選び出す作業も、ちまちま仕事で、気乗りしない。人間、やっぱり得意不得意、得手不得手、好き嫌いってものが、仕事についてだってあるのだ。

 思い悩みつつも、畑の準備だけはしておいた。一面雑草に覆われた豆畑に軽く堆肥を撒き、耕耘。さらに2週間後に再度トラクターかけ。二度耕すことで、草が完全にすき込まれ、土もさらさらの砂漠状態になる。あとは、うーん、どうしよう?天気が続いているし明日明後日には雨の予報で、種まきにはもってこいなんだが。

 1か月に2度帰宅する神さん、午後だけは空いてる、と言う。よしっ、やるか!まずは、二人手分けして種豆の選別、味噌用黄色大豆、茶豆、青豆、黒豆、紅大豆、それと小豆。以前は鞍掛け豆とか、青も黒も丸と平と両方とか、何種類も作っていたが、今は、これら最小限のラインナップに限定、守りの戦いだ。くず豆や、他の品種が入り混じった中から、丁寧にそれぞれの種を取り出す。なんだ、こんな程度で十分だったのか!ヨーグルトの500mlパックに軽く一杯、それぞれの品種の選別が終わった。

 さて、種まきと言えば、ゴンベエ!知人のところから借り受けてくる。この機械、見るからにちゃちだが、豆まきに関しては、大した仕事人だ。この機械、いや、器具と言った方が適切なシンプルさだが、これさえあれば、一定の株間で、どこまでも一直線に播くことができる。もちろん、覆土もしてくれる。

 構造は、いやぁ、よく考えたもんだよな、前の幅広車輪が土を咬み回転すると、それに連動して、種を乗せたベルトコンベアー、ってほどのもんじゃないが、が回って、2粒ずつ種を落として行く。その後ろに土寄せの板が土を被せて行く。最後は後輪で鎮圧だ。そうそう、種が落ちる前には土切り板が溝を掘るように取り付けられてもいる。実に単純だが、種まきに必要な作業のすべてが上手く行くように仕組まれている。種をボックスに入れ、あとは、ただただ、ゴンベエを押していくだけで種まきは完了する。

 凄い!見事だ!農業機械の手本だな。これのおかげで、腰を屈めての辛い種まき作業から解放された。随所に、こうあれかし!の工夫がある。それも、センサーだとか、ICだとか、面倒な先端技術はどこにもない。燃料もいらない。ひたすら、身の丈技術だ。実際に種まきに苦労した人が、必要に迫られて到達した手作り技だ。農業機械には、こんな小さな創意工夫がそちこちにある。それら工夫の数々が、日本の小さな農業を発展させてきた。アメリカ型の大規模農業技術とは真逆の小さな技術、開発途上国などでは、大いに求められるものじゃないだろうか。先端技術の普及に背を向けるつもりはない、が、壊れれば、専門家待ちなんて有様を見ると、こういう人間の手足の延長のような機械技術、もっと大切にしていく必要があるだろうな。

 

 

コメント
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