日本では陰干しとか、干すとか言うと魚を思い浮かべます。
ヨーロッパのワイン産地では葡萄を陰干しします。
干し葡萄を造るのではありません。
ワインの為です。
実際のところ、各地で造られています。
フランスでは「ヴァンド.パイユ=藁のワイン」と呼ばれローヌ地方などで造られ、その技法はパスリヤージュと呼ばれます。
しかし、何と言っても有名なのはイタリアです。
トスカーナ州ではヴィンサント、ヴェネト州ではレチョート、ロンバルディーア州ではスフルサートなどと呼ばれ、市場にも出回っていますから、ご存知の方も多い筈です。
葡萄をスノコや藁などの上に置き、水分を蒸発させて濃縮した果汁を得る為に陰干しするのです。
単純に考えると甘口のデザートワインになりそうなものですが、意外とそうではないことが多いのですね。
先月もロンバルディーアのスフルサートについて書いたと思います。
辛口の赤ワイン用なのです。
そんなタイプの先輩格はヴェネト州のレチョートですね。
ヴァルポリチェッラというワイン用の葡萄(コルヴィナ.ヴェロネーゼ、ロンディネッラ、モリナーラなど)を干して3割程度の水分を飛ばし、濃い赤ワインとするのです。
長い名前になります。
レチョート.デッラ.ヴァルポリチェッラ.アマローネ、場合によっては、その後にもっと長い言葉が並んだりします。
あまりに糖分が高いと酵母が糖をアルコールに替えきれず、甘みが残ることがありますが、大体に置いてぎりぎり辛口の範囲に収まりますね。
すると苦みを伴った味わいになることから長い名前を短縮して単に「アマローネ=苦い」と呼ばれることになるのです。
問題は水分が飛んでいる訳ですからできるワインの量が減るのです。つまり高くなる、んですねえ。
で、そこでグッドアイデアを考えた人がいるのです。
通常のヴァルポリチェッラのエリア以外の葡萄も使い、お手軽版を造ったワイナリー。
モンテゾーヴェ社のカナヤと言うワインです。カナヤと言うのは現地の言葉で「ずるがしこい」と言うらしいのですが、ま、消費者にとっては有難いずるがしこさですね。
凝縮した風味が有りながら、円やかで硬さを感じさせないワイン。更に香りが素直に鼻に訴える果実香もあります。若干、本物のアマローネより低めのアルコール=14.5度は普通のワインの中では強めですが、強すぎるほどではありません。
料理との相性も結構な融通が利くかな、と思います。
ソースに甘みのある肉料理は勿論、青魚も良し、チョコレート系のデザートもOK。
「アマローネは高くて手が出ない」という方はお気楽に「カナヤ」とお試しください。
ところで今日3日まで、ラストオーダー22時です。お早目にお越しくださいね!!
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