漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

妖怪と異星人

2016年01月12日 | 消え行くもの
 昨年末に水木しげるさんが他界され、先日にはデヴィッド・ボウイさんが他界された。あまりに突然の訃報。妖怪と異星人、どちらも元いた場所に帰ったということかもしれないけれども、やっぱりぽっかりと穴が開いてしまった感はある。自分と異なる存在に対する想像力を欠き始めたこの世界が、妖怪や異星人には住みにくくなってしまったのだろうか。そんなふうにも、ふと、思う。
 今の若い人たちにはよく分からないかもしれないけれども、このお二人、どちらも日本のサブカルチャーに与えた影響は計り知れない。水木さんがいなければ、妖怪というものはに対する関心はとうに風化してしまっていたかもしれないし、ボウイがいなければ、ビジュアル系という音楽ジャンルはもとより、これほど日本に腐女子文化が根付いたりしなかったかもしれない。もともと、草創期からコミケを牽引してきたのは、そうした腐女子たちだった。水木さんのマンガは、それほどたくさん読んできたわけではないし、ボウイに関しても、「トゥナイト」以降のアルバムをちゃんと一枚を通して聞いた覚えもないから、ぼくは良い読者でも、よいリスナーでもなかったわけだが、間接的な影響は、間違いなくふんだんに受けている。このお二人は、日本のサブカルチャーの、芯の部分にいる。
 訃報を受けて、つい先日リリースされたばかりの新作の「Blackstar」のビデオクリップをyoutubeで観てみた。まるでトム少佐の最期を思わせるかのような着地点。黒い太陽に照らされた、荒涼とした世界。彼の遺作としてふさわしい作品。最初からそのつもりで制作したのだろうか。遺作にして、この露悪趣味。ボウイは最期までボウイだった。
 ご冥福をお祈りします。

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