漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

ラピスラズリ

2010年03月21日 | 読書録

 夕べは風がとても強かった。台風でもないのに、驚くほどだ。ベランダにあった簾が、風で分解してしまった。古くなっていたとはいえ、いや、すごい。

 先日、書店で山尾悠子さんの「ラピスラズリ」のサイン本が売っているのを見つけて、購入した。ほとんど伝説の人となっていた彼女だが、子育てが一段落したのか、この数年、また活動を開始しているようだ。先日も新刊「歪み真珠」が出たばかりだから、そのイベントでサイン会があったのだろう。その時の残りに違いない。サイン本を集める趣味は特にないのだが、山尾悠子さんのサイン本なら、ちょっと欲しかった。
 うちにはこれまで、彼女の本は、ハヤカワ文庫から出た「夢の棲む街」しかなかったが、当時は(今でもだろうか)、ああした硬質な作品を書く女性、しかもなかなか美人というのは、珍しくて、印象的だった。作品は、ボルヘスと澁澤龍彦の影響が強いという記憶がある。僕が最後に彼女の作品を読んだのは、高校生の頃に「ショートショートランド」という雑誌に載った短い話で、それ以降、名前さえあまり聞かなくなってしまった。だから、数年前に「山尾悠子作品集成」が出ると聞いた時には、驚いたものだ。いまでも根強いファンがいるのだなと思ったのだ。

 今日は、風があい変わらず強かったので、ちょっと吉祥寺をふらふらしていたが、中道通りの路地奥のとても小さな店で、ポトツキの「サラゴサ手稿」とブローティガンの「ハンバーガー殺人事件」を売っているのを見て、ああ、と思った。ちょっと高かったけど(五、六千円だったかな?)、まあ相場かもしれない。持ってるから、買いはしなかったけれども。最近はあまり吉祥寺の町をふらふら歩くこともなくなってきたので、こんな店が出来ているのは知らなかった。並んでいる本が、まるでうちの書棚のようだった。

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