「東京物語」 奥田英朗著
集英社文庫 集英社刊
を読む。
1978年から1989年までの約十年間に起こった、ある特別な出来事のあった一日を取り上げて、その日の主人公の一日を追った作品。おそらくは、半自伝的な小説。その特別な一日とは、最初の一篇では1978年のキャンディーズの解散コンサートであり、続く一篇ではジョン・レノンの暗殺であったりする。最後の作品では、ベルリンの壁の崩壊が取り上げられている。ただし、その出来事自体はあくまでも歴史的な楔であり、描かれている主人公の日常は、それほどドラマチックな出来事など起こらない。ただ日常のある一日(ただし、ひたすら駆けまわるはめになっている)を描いているだけ。そうしたリアルさは、誰にも共感できるだろう。たとえば、ジョン・レノンの暗殺があった日のことを、なんでもない風景とともに、妙に記憶していたり、するだろう。そんな感じだ。
全体的に、八十年代を舞台にしているので、ああそんなことがあったなあと思うことが多かった。著者は1959年生まれなので、同時代の人は特に色々と思うことがあるんじゃないかと思う。面白い小説だった。
ラジオを聞いていて、ちょっと気になる曲があったので、検索。それがこれ。
こういう曲は、昔からどうしても好きですね。何というか、眩暈のような浮遊感のある曲は。
これはPVも心地良い。
ジョンレノンが亡くなった夜は,ラジオでやたらにビートルズが流れていて,どうしてかなってわからないでいた.だんだん朝が近づいて,やっとその訳がわかって少し驚いた.で,はやく大学の美術教室に行ったら,同じようなクラスメートがやってきた.
ラジオは色んな音楽と出会えるね.ずっと前の曲も新しい曲も.
戦争の記憶というのは、強烈なものだというふうに想像するのですが、意外と風化が早いのだと驚かされますね。震災の記憶も、原発の恐怖も、次第に薄れつつあるように思えますし(いくらなんでも、ちょっと早すぎるように思いますけどね)。本当の当事者にならなければ、切実さというのは残ってゆかないものなのでしょうね。