漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

ずっとお城で暮らしてる

2009年01月09日 | 読書録

「ずっとお城で暮らしてる」 シャーリイ・ジャクスン著 山下義之訳
学研ホラーノベルズ 学研刊

読了。

 スティーヴン・キング絶賛の、モダンホラーの古典「丘の屋敷」(たたり)の著者による長編。僕が読んだのは学研版だが、これは現在絶版で、現在は別の訳者によるものが創元文庫で読める。

 去年の年末に読んだ「たたり」に比べると、展開が読めてしまうというところはあるにせよ、この物語の本質はストーリーそのものにあるわけではないから、その衝撃は相当なものだ。透明で、グロテスクで、ひどく病んだ、哀しい物語。ラストシーンは、まるで一枚の絵のようになって、いつまでも印象に残る。こんな世界は、絶対に女性にしか書けないだろう。