Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

プレステージ/THE PRESTIGE

2007-06-27 00:05:51 | 映画 は行
               *公式サイト
2006年/アメリカ/130分
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、パイパー・ペラーボ、レベッカ・ホール

こ、これは!・・・
華麗なマジックの饗宴を「楽しむ」つもりで出かけて見事に裏切られた。マジックは登場人物の復讐劇の一要素に過ぎない。巧妙に仕組まれ、全編に張られる伏線。劇中の一言が後で「あ~、こういうことだったのか!」と思わせられること度々で、それらが全て自分の中で繋がり解決したかというと・・・実は自信がない。それ位、色々なことが絡み合い、こんがらがる。
暗いトーンの中で繰り広げられる、底知れない復讐劇に気持ちが暗くなる。表はあくまで華麗に、だからこそ余計にその裏に広がる人間の欲望、業、闇の深さ暗さが浮き彫りになる。マジックのネタも含めて、なんとも割り切れぬ後味の悪さが、心の底にどよ~んと溜まり、妙な疲労感を覚えた。復讐、報復という負のパワーの強さ、おぞましさを感じたからだろうか。一度落ちたら抜けられないこの復讐の連鎖から抜け出る術はないのだろうか? もう観てから大分時間が経っているんだけれども思いは結局そこに戻る。
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ブラス/Brassed Off

2007-05-30 00:03:49 | 映画 は行
                
1996年/イギリス/107分
監督:マーク・ハーマン
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
出演:ピート・ポスルスウェイト、ユアン・マクレガー、タラ・フィッツジェラルド、スティーヴン・トンプキンソン、ジム・カーター、メラニー・ヒル、スー・ジョンストン、フィリップ・ジャクソン、メアリー・ヒーリー

読んでいる本の中で紹介されていた映画「ブラス」をDVDで観た。
『廃坑で揺れる炭坑の町の名門ブラスバンドが、苦節をへてコンクール優勝の栄光をつかむまでを描いた群像劇。実在の英国の名門ブラスバンド、グライムソープ・コリアリー・バンドがモデルで、劇中の楽曲は同バンドが演奏し、メンバーも出演者にまじって登場。』(goo映画 解説より)
原題はBrassed Off、気になって調べたら「brassed off〔英俗〕うんざりして」となっていて、ブラスバンドのブラスと、かけているんですね。

お腹の底~の辺りでしんしんと感じる作品だった。音楽に満ち、音楽に対するやり取りの中でこちらの心も自然に反応する。
ブラスの作品が何曲か劇中で流れるが、特にダニー・ボーイ/ロンドンデリー・エアはその奏された場面とともにいつまでも心の奥深いところに留まる。そうしたブラスバンドの演奏がくっきりと浮かび上がるように、音楽が工夫されて使われているのも印象的。というか、それ以外に無駄な音がない!
廃坑騒ぎで揺れに揺れる炭鉱の町での名門ブラスバンド、その構成員一人一人にとっての、人生とは、生活とは、家族とは、そして音楽とは・・・それぞれが突きつけられるこれらの問い。それは翻って観ている自分自身にも問いかけ、呼びかけられているのだ。

朝日新聞夕刊に連載されている「人生の贈りもの」で写真家・荒木経惟のシリーズが月曜日から始まった。その第1回で思わずどき~んとした言葉がある。そして、それはどこかで、この作品と響きあう気がするのだ。
「・・・たとえば成功と失敗があるとするでしょ。失敗という要素がはいっていないと成功にならないわけですよ。まぜこぜにならないと生きている、動いているという感じがない。・・・」
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バベル/BABEL

2007-05-13 00:30:37 | 映画 は行
         公式サイト
2006年/アメリカ/143分
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子、アドリアナ・バラッザ

切ない・・切なさに心がひりひりする。

物語はくっきりした色とその対比、そして一発の弾丸によって否応なく結びつけられた三箇所の乾いた景色と、人の心の渇きも同時に映し出して展開する。

モロッコのかさかさした乾き、土も岩も家も乾いている。その中を切り裂く弾丸の音もやはり乾いてこだまする。
そしてメキシコのぱさぱさして風に舞う砂漠の砂、ぽしょぽしょ生えている木の緑も何となく白っぽく映る。唯一このメキシコの部分だけは、「ハレ」の部分ということもあって人の肌の温もり、人と人とのつながりを感じる。だけどそこを一歩出たら、やっぱり人も景色も乾いているのだけれど。メキシコからアメリカに戻る国境警備員とのやりとりには不法入国に神経を尖らせている現実を突きつけられる。それは「メルキアス・エストラーダの三度の埋葬」を思い出させる。国境警備というものはそういうものなのね。
日本は広がる都会の風景が無機的で乾いている。それでいて風景のそこここに、特に夜景の光のにじみ方に、湿気を感じる。(そのギャップが新鮮!)こういう風に日本は見えるのだ、とふっと突き放して見ていることに驚く。空気はそんなに湿り気が感じられるのに、だからこそ余計に人と人とのつながりの希薄さ、渇きが伝わり、その中で人が抱え込む孤独の淵の深さ、暗さが一層強く浮き彫りになる。

この世界に存在する様々な不条理に人は翻弄され、その中で苦しみ絶望するけれども救いがないわけじゃない、いや、きっとあるのだと作品は最後に語りかけてくる。観ている私も「言葉」以外の「何か」があるのだと何処かで信じたいのだ。その「何か」は「愛」?それとも「想像力」?
だけど、やっぱりこの世の不条理と個人個人がそれぞれに抱え持つ孤独に心がどうしようもなくひりつく。
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ポリス インサイド・アウト

2007-05-03 00:15:03 | 映画 は行
              *公式サイト
         『史上最強のロック・トライアングル<THE POLICE>
         メンバー自らが撮り続けた、たった5年間の奇跡』(チラシより)
2005年/イギリス/74分
監督・脚本・プロデューサー:スチュアート・コープランド
出演:スティング、アンディ・サマーズ、スチュアート・コープランド、マイルス・コープランド、イアン・コープランド、キム・ターナー、ダニー・カトローチ 、ジェフ・セイツ、タム・フェアグリーヴェス
音楽:ポリス

この作品はバンド結成の翌年1978年からドラマー、スチュアート・コープランドが購入した「スーパー8」というカメラでステージの裏側からカメラを回し続けた映像をもとに活動停止するまでの5年間を綴った音楽ドキュメンタリー。

ステージ上から撮った映像が見られたり、各国での公演と国によって違うファンの様子、デビュー当時の旅の模様、レコード店でのサイン会・・etc.etc.とまさに「インサイド・アウト」でたいそう興味深い映画でした。
ただ、観終わって目&頭がめちゃくちゃ疲れて・・・もうぐったり。物凄く目まぐるしいカメラワーク、早回しの映像に目が忙しくって、そして目から入ってくる情報を整理するのに頭使って・・・疲れた、って感じ。体調のよい時に観る作品だと思います。ただ、耳は全然OK!でした。

世界は音楽に満ちている~♪捨てたもんじゃないなぁ、ととみに感じてます。(ただし、いい音楽じゃなきゃだめよん!)
最近聴いたのは・・・美しいドイツ・リート。ある陶芸家の展覧会の打ち上げでその場にいらした民謡歌手による日本民謡。ここで初めて日本民謡の即興演奏を聴き感動しました。即興で歌詞をつけてその時の気持ちを歌にするという素晴らしい歌でした。またその方のお弟子さんが歌ってくださった秋田音頭は、いやまさに「ラップ」だわ♪、そして秋田長持唄の格調の高さと美しさに参りました。
そして、このポリスです!!

美しいものはどんなであれ美しいのだ、そしていい音楽は理屈ぬきににダイレクトに心に飛び込んでくるのだ!!と音楽に対して色々考えている今日この頃です。あら、映画の話から、大分離れちゃったわね。
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ブラッド・ダイヤモンド/BLOOD DIAMOND

2007-05-02 21:01:35 | 映画 は行
               *公式サイト
2006年/アメリカ/143分
監督:エドワード・ズウィック
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン、アーノルド・ヴォスルー、カギソ・クイパーズ

ダイヤの価値を決める4つの「C」以外のもう一つの「C」:Conflict(争い)、そしてアフリカ地域の武力紛争のシンボルともされている「紛争ダイヤモンド(ブラッド・ダイヤモンド)」
重い内容だったが、素晴らしかった~役者も、アフリカの景色も!!
救いようのない激しい内戦、複雑な権力の構図に光の見えないトンネルの中のような現実、少年兵にする為の少年狩り、引き裂かれる親子の絆・・・。
こうした悲惨な状況を生み出すのも人間なら、そうした状況からなんとかして未来を見出そうとするのも人間だと、それが信じられるラストに救いを感じることができ、感動が静かに深まるのを覚える。

パンフレットにあった寺中誠氏(アムネスティ・インターナショナル日本 事務局長)の一文が映画とともに心に刻まれる。
「ダイヤモンドを目にする時、その輝きに心奪われるのではなく、人としての尊厳と命を思い起こすことができるかどうかが、試されている。あなたは、ダイヤモンドに封じ込められた、多くの人びとの命の叫びに耳を傾けることができるだろうか。」
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僕のスウィング/SWING

2007-04-25 00:09:06 | 映画 は行
               *参考:僕のスウィング
2002年/フランス/90分
監督・脚本:トニー・ガトリフ
音楽:マンディーノ・ラインハルト、チャボロ・シュミット、アブデラティフ・チャラーニ、トニー・ガトリフ
出演:オスカー・コップ、ルー・レッシュ、チャボロ・シュミット、マンディーノ・ラインハルト、ベン・ズィメット
『白人の少年とロマの少女のひと夏を描いた淡い恋物語』(goo映画より)

ようやく「観る+聴く」ことができました~「小さな恋のメロディ」じゃなかった「僕のスウィング」
マックスと大きな黒い瞳が印象的なスウィングとの少年の日の淡い恋、そして全編に流れ物語を彩るマヌーシュ・スウィング、演奏するのは・・・チャボロ・シュミット!!どちらのスウィングにも恋していたマックスのひと夏の思い出がさわやかにそしてほろ苦く綴られる。

チャボロ・シュミットが出演していて、それこそ全編がスウィングしている、とは聞いていたのだけれど、彼が登場した時はやっぱり感激~。思わず知らずあの王子ホールで聴いたチャボロ・シュミットの演奏が色褪せることなく心に甦ってくる。これはDVDだったので映像特典としてチャボロ・シュミット&マンディーノ・ラインハルトのミニライブ4曲が楽しめたのも嬉しい
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ボンボン

2007-04-21 00:12:13 | 映画 は行
            *公式サイト
2004年/アルゼンチン/97分
原題:EL PERRO/BOMBO'N: EL PERRO
監督:カルロス・ソリン
出演:フアン・ビジェガス 、ワルテル・ドナード 、グレゴリオ(ボンボン)
~ラテン版『わらしべ長者』~

全編に広がるアルゼンチン南部パタゴニアの抜けるような青空、そしてその中を渡る強い風。風は強くてもほよよ~ん、とほっこりしたあったかさに知らず知らずのうちに包まれてしまった不思議な魅力を醸し出す作品。失業中の52歳のおじさんフアンと彼の親切のお礼にともらった犬、ボンボン(レチェン)との物語。
ドゴ・アルヘンティーノという犬種のボンボンは、大きくて白くて美しく、どことなく悟ったような顔つきで、フアンと一緒に車に乗っていると一人と一匹というより、二人!!に見えてきちゃう。
フアンがまた気のいい人で、淡々と生きているその姿が力まず、でもひたむきなのが見ていて気持ちいい。彼がいとも簡単に首を切られて、失業してしまうというアルゼンチンの厳しい現状がさりげなく描かれるけれど、決して絶望せず、あくまで前向きに生きていく。
ほよよ~~ん♪としたこの二人の旅のラストには、思わず・・・脱力~♪ 
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ホリデイ/The Holiday

2007-03-30 00:03:14 | 映画 は行
                 *公式サイト
2006年/アメリカ/135分
監督:ナンシー・マイヤーズ
出演:キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラック、イーライ・ウォラック、エドワード・バーンズ

夢みたいにロマンティックなラブ・コメディーでした。う~ん、素敵
2週間だけ家も車も全て交換するという「ホーム・エクスチェンジ」でロンドン郊外の可愛いコテージとビバリーヒルズの豪邸を交換したアマンダとアイリス。失恋の痛手から立ち直るべく傷心した心を抱えて休暇に出る二人が互いの滞在先で出会う新たな恋

話のテンポがよく、中で交わされる会話がまたおしゃれで、すっかり話の中に取り込まれてしまう。くすくす笑ったり、大爆笑してしたり、思わずほろ~りとさせられたり・・・。そんなに感情移入できるのはそこに描かれる正反対にも見えるアマンダとアイリスの二人が等身大の女性として描かれていると感じられるからなのだろうか。その気持ち、わっかるぅ~!!みたいな。
とにかく、一にも二にもキャメロン・ディアス&ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット&ジャック・ブラックの二組それぞれ生き生きして、恋の奇跡はあるんだなっ、と素直に感じて満足しました!楽しかった~

そうそう、レンタル・ビデオ店でのジャック・ブラックの芸達者ぶりを楽しんでいたら思いがけない俳優がカメオ出演していて吃驚です
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パリ、ジュテーム/PARIS JE T'AIME

2007-03-17 00:01:27 | 映画 は行
               
2006年/フランス・ドイツ合作/120分
監督:ブリュノ・ポダリデス、グリンダ・チャーダ、ガス・ヴァン・サント、ジョエル・コーエン 、イーサン・コーエン、ウォルター・サレス、ダニエラ・トマス、クリストファー・ドイル、イザベル・コイシェ、諏訪敦彦、シルヴァン・ショメ、アルフォンソ・キュアロン、オリヴィエ・アサイヤス、オリヴァー・シュミッツ、リチャード・ラグラヴェネーズ、ヴィンチェンゾ・ナタリ、ウェス・クレイヴン、トム・ティクヴァ、フレデリック・オービュルタン、ジェラール・ドパルデュー、アレクサンダー・ペイン

この地球のどこに行っても広がる空、その空のもと様々な人間の姿が、「パリ」という特定された一つの街の中にぎゅっと凝縮され繰り広げられる。でも人が生きて愛してまた死んでいくっていうことは、それがどこであっても同じなんだとしみじみした思いに心が満たされ、深く共鳴していた。18人の監督による18の短編が19人目(?!)の「パリ」の街とともに描き出した景色は、決してばらばらなものではなく、それらが一つの意思となって描かれた・・それぞれその色合い、トーンに違いがあることでより奥行きの深い・・一枚の絵のように感じられる。

期待に違わぬ素っ敵~な作品でした!
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プルートで朝食を

2007-02-19 00:14:52 | 映画 は行
            *公式サイト
2006年/アイルランド・イギリス/ 127分
監督:ニール・ジョーダン
原作:パトリック・マッケーブ
出演:キリアン・マーフィ/リーアム・ニーソン/ルース・ネッガ/ローレンス・キンラン/スティーヴン・レイ/ブレンダン・グリーソン/ギャヴィン・フライデー/イアン・ハート

70年代のポップ・ミュージックに乗り小説のページをめくって読み進む感覚で軽快に展開するパトリック(“キトゥン”)の物語。アイルランドの小さな町で生みの親に教会の前に置き去りにされた赤ん坊パトリック(“キトゥン”)は美しい青年に成長し、実の母を探してロンドンへ。

女装したキリアン・マーフィーの可愛らしいこと女らしいこと、ベビー・カーを押している彼女(彼)のバックに流れる「シュガー・ベイビー・ラブ♪」思わず乗ってしまう~♪懐かしい音楽が一杯の作品だった。
ただ、背後にある世相、事柄すべてが重い!母親に教会の前に置き去りにされたことをはじめとして、ゲイとして生きようとする彼。そして社会的な動きとして北アイルランドからのイギリス軍撤廃と完全独立を求めるIRAの活発な活動を作品は描き出す。
押し潰されそうになる重さを「そんなちっぽけな感傷!!」とばかりに軽快にぶっとばし蹴散らしていくパトリックのあくまで、そしてどこまでも前向きで積極的な生き方がまぶしく輝く
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フレンチなしあわせのみつけ方

2006-11-16 00:38:38 | 映画 は行
             *公式サイト
2004年/フランス/104分
監督・脚本:イヴァン・アタル
出演:シャルロット・ゲンズブール、イヴァン・アタル、アラン・シャバ、エマニュエル・セニエ 、アヌーク・エーメ、オーロール・クレマン

つい思うじゃない?「フレンチなしあわせ」って どんなんだろう、って。ほんわかしたいな、なんて思ったりして。
あらら~、ちとテイストは思ってたのと違ってました。一癖も二癖もあって曲がりくねって・・・なあるほど、だから「フレンチなしあわせ」なのね。

男の幻想、女の現実、男と女は永遠にすれ違い
というコピーは確かに言いえて妙

自動車会社に勤めるヴァンサンとその昔からの友人、ホテルマンで夫婦喧嘩が絶えないジョルジュと、独身でモテモテのフレッドの男性三人組が話すのはもっぱら女性のことばかり。いい大人なんだけど、なんだかこの三人を見続けていると愛すべき「三バカ大将」に見えてきて思わず苦笑してしまいました。
ヴァンサンと彼の浮気に気付いているが黙っているガブリエルの二人が水やコーラやケチャップやら掛け合うシーンは、実際できたらさぞかし気持ち良いだろうな~なんて。後片付けのことを考えるとできないよねー、はああ~!と思うとある種のカタルシスがありました。
若い彼らと対照的に結婚後40年経っているというヴァンサンの両親の姿が何か、とっても渋くて素敵でした。

シャルロット・ゲンズブールは、きゃー♪あのセルジュ・ゲンズブールの娘なんですね!そしてイヴァン・アタルとは現実にも夫婦だということもまるで何にも知らずに観てました。その上、すっごくジョニー・デップに似た俳優が出てる~、ほんとそっくり!と感心してたら・・・それもその筈、ジョニー・デップだったぁと話の筋と全く関係ないところで一人で盛り上がってしまいました
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僕と未来とブエノスアイレス

2006-10-05 00:01:05 | 映画 は行
             *公式サイト
2006年/アルゼンチン・フランス・イタリア・スペイン/100分
監督・脚本:ダニエル・ブルマン  
出演:ダニエル・エンドレール/アドリアーナ・アイゼンベルグ/ ホルヘ・デリア/
セルジオ・ボリス/シルビナ・ボスコ/ディエゴ・コロル/ロシタ・ロンドネール

公開された時に観たかったのだがレイトショーだったので諦めた作品。それがTSUTAYAに出ていたので早速、借りてきた。
舞台はブエノスアイレスの下町にある人情商店街(ガレリア)、そこで繰り広げられ紡ぎだされる人々の物語にいつの間にか引き込まれていた。そこに住む一人一人が存在感に溢れて個性的で目が離せない。ガレリアの住人は「主人公アリエルとその家族はポーランド系ユダヤ人、ラジオの修理屋はイタリア人、風水グッズを扱うカップルは韓国人、生地商人のラビン兄弟はイスラム風、陰で金融商売をしているアリエルの親友はリトアニア人」(「goo映画」解説より)とそんな移民の人々で構成されている商店街。作品は軽いコメディータッチでそこで起きる悲喜こもごもがさらりと描かれる。けれど、アリエルの祖父母はポーランドでナチに迫害され身一つでアルゼンチンへ逃げてきたという背景を持つなど、明るく見えて実はそれぞれが背中に背負っているものは重い。
印象に残るのは、ユダヤ人のコミュニティーの絆の固さ。そうでなければユダヤ人としてのアイデンティティを保てないほど過酷な歴史の中を生き抜いてきたのではなかろうか、などということをふと思ったりする。そしてそれは一人彼らだけではなく、なんて思ったりもして・・・。
そうしたもの一切合財を飲み込んで時間は未来に向かって流れていく。未来もそう悪くないんじゃなぁい、と思わせる希望を感じさせながら。
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8人の女たち

2006-06-21 23:09:13 | 映画 は行
           *公式サイト

雪に降り込められたクリスマスの大邸宅で起こる殺人事件。登場人物はそこに集まった女性8人それぞれ疑心暗鬼に陥りつつ犯人探しをする。次々に暴かれていく隠されていた真実、本性!

ミステリーで、暴かれる一人一人の秘密がわかる度にどろどろなんで「えぇー」なんだけれど、これはコメディーでもあるんだよね。だから後味の悪さは全くありません。(唯一マルセルの最後は私は受け容れがたかったけど)その上、ミュージカル仕立てこの豪華な出演者がそれぞれ歌って踊るんです
サービス精神に溢れていて、うふっでした。衣装の色が一人一人の個性を物語るような色でそれは華麗な変身を見せるイザベル・ユベール以外変わらないのも筋が通って素敵でした。大邸宅の豪奢さに彼女たちの色がほんとにきれいに映えて見えました。最後の大団円でずらりと8人が一列に並び、手をつなぎあったところは壮観というか女は怖いよ!というか(笑)

どの女優をみても、う~ん、素敵だっ!そして、こんな風に年重ねられたら・・・憧れちゃうなぁ
女はこうでなくっちゃ!とにかくタフでなくちゃね!と観終わって元気になりました。さあ私は、明日は本番、40曲ほど(声楽教室の発表会なんで)歌曲の伴奏してきます♪

2002年/フランス/111分(DVD)
監督:フランソワ・オゾン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/エマニュエル・ベアール/イザベル・ユペール/ファニー・アルダン/ヴィルジニー・ルドワイヤン/リュディヴィーヌ・サニエ/ダニエル・ダリュー/フィルミーヌ・リシャール
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ブロークン フラワーズ

2006-06-15 00:01:59 | 映画 は行
            *公式サイト
2005年/アメリカ/106分
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:ビル・マーレイ/ジェフリー・ライト/シャロン・ストーン/ジェシカ・ラング/ティルダ・ウィンストン

こんなにジャージが似合うとは!!とちょっと唖然とするくらいドン( ビル・マーレイ)がジャージを着こなしているのが、妙に可笑しい。(その上、何種類かあるのもね)生活臭の全くない、つるんとした部屋で恋人に愛想尽かしされ去られるドンの背中が急に年取って見えたりして
昔の恋人からのピンクの封筒に入った手紙を受け取り、自分に19歳になる息子がいることを突然知らされるドン。これはつい「アメリカ、家族のいる風景」を頭に思い浮かべてしまったのだけれど・・・。隣人のウィンストンに背中を押され、スーツを着てピンクの花束を(それぞれの恋人に合わせているのが楽しい)持って、4人(実際は5人、一人は故人)の昔の恋人に会いに行く。
昔の恋人との何だか妙~な「間」が、時間の隔たりを感じさせる。昔の恋人ねぇ~それぞれピンクのものを持っているので、結局誰が手紙を書いたのか、息子は誰なのか、それは一切明かされないまま。一体本当に息子はいるのか、なんて、ね。
自分に息子がいる!しかも19歳!言い換えれば19年間も全くその存在を知らずにいたなんて・・・。う~むぅ!だから映画にもなるのだけれどね。しかしこういう設定は女性を主人公にしてはできないよね、くくくっ。あなたは知らないでしょうけれど、19年前にあなたは息子(娘)を産んでます、私はその息子(娘)です!なんて、・・・ありえ~んっ!

観てからもうかなりの時間がたっているのだけれど、どうにもテンション上がらず・・・。思い出すと全体になんていうか、中年の湿っぽさと悲哀を感じてしまってます。それは映像の中で、美しかった花瓶の花が次第に枯れて散っていくのに似て・・。
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プロデューサーズ

2006-04-13 00:08:48 | 映画 は行
              *公式HP

2005年/アメリカ/134分
監督:スーザン・ストローマン
出演:ネイサン・レイン/マシュー・ブロデリック/ユマ・サーマン/ゲイリー・ビーチ/ウィル・フェレル

ひとこと「面白い!楽しい!愉快!」
見終わって「あああ、終わっちゃった!祭りの後って感じだなぁ」(後の祭り、ではないですよ、お間違いなく~
こんなに映画館でくすくす笑いから、大笑い、大爆笑までしたことは、いやあ、久し振りでした。ぐだぐだに疲れてたんだけど、すっかり元気になってました色んなシーンを思い出すだけで笑えます。とにかくみ~んな芸達者出てくる鳩まで可笑しいの。
そうそう、最後の最後まで席を立っちゃだめですよ!

ところで、私はアメリカのミュージカルって「サウンド・オブ・ミュージック」しかまともに見たことありません。このチラシに書いてある『オペラ座の怪人』も『シカゴ』も題名しか知らないです。なので『プロデューサーズ』記念すべきアメリカのミュージカル二作目となりました。

追記:興味深いレヴューを読みました。
シカゴ発 映画の精神医学」の『プロデューサーズ ~このユダヤねたは最高だ!!』
名前を聞いただけでその人物がユダヤ人だとわかる、なんてことは日本で暮らしていると見当もつかないことだったので、この記事はほんとに面白かった。
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