老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

三國連太郎さん死去

2013-04-16 20:14:37 | 暮らし
三國連太郎さんが90歳で亡くなりました。25年前に自伝(文筆で生計を立てられていた時もあった)を読んだときも、その平明で簡潔な文章にも感動しました。

最近も佐野眞一氏(ルポライターで有名)が三國さんの聞き語りを行った評伝、「怪優伝」が出ています。

この評伝の一部を紹介すると、「飢餓海峡」の撮影裏話に話が及び、佐野さんは監督の内田吐夢のことを三國さんに聞いていました。

(内田監督は最後の主人公が海に飛びこむという有名なラストの撮影で)『「三國君、君が本当に海に飛び込んでくれんか」と船上で私に言うんですよ。監督が。「監督、それだけは勘弁してください」と私は言いました。なにせ、船から飛び込んだらスクリューに巻き込まれて死ぬかもしれませんから。』

そのあと、三國さんは内田監督は戦時中に満州映画協会に居たという話をします。その協会の会長が例の甘粕(大尉)で、終戦のときに甘粕は服毒自殺をしますが、その最期をみとったのは内田監督だったといいます。

三國さんの映画をこの際、また見ようと思います。「飢餓海峡」や帚木蓬生原作の「三たびの海峡」などなど。

「護憲+BBS」「どんぺりを飲みながら」より
名無しの探偵
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遥かなる海峡

2013-04-14 07:47:23 | 安全・外交
以前わたしは「海峡的思考」という問題提起をした。五木寛之など戦後中国・朝鮮・満州などからの引き揚げ経験を持つ知識人の複雑で繊細なものの見方を総称して【海峡的思考】と呼んだ。

彼らの思考の背後に想像を絶する凄まじい現実が存在したか。彼らは、国家の裏切りも、人間の裏切りも、【引揚者】として本土や本土の人間たちの差別意識もその全身に浴びている。彼らにとっては、対馬海峡は単なる地形上の隔たりではない。移民として植民地に赴いた時から、祖国から棄てられ、忘れされたのである。この隔たりは、彼らにとって想像を絶するほど広かった、と思う。

五木寛之の陰影の濃い思考の複雑さ、繊細さ、自分の人生を【仮の宿り】と思い定めているような生き方。この根底には、彼の引き揚げ体験、引揚者として生き続ける息苦しさ、どうしても日本の社会や人々に感じざるを得ない違和感がある。五木のデラシネ感覚も漂流感覚もすべて彼が引揚者として【対馬海峡】を渡る途中で経験した彼我を隔てる暗い裂け目に由来している。

対中・対韓・対朝関係を考える時、日本や日本人は、五木に代表される引揚者たちの抱いた対馬海峡に隔てられた彼我の【暗い裂け目】に思いを致さなければならない。

単純な加害者意識では、満蒙開拓団に代表される移民=【棄民】たちの必死な生きる努力も満鉄に代表される「五族協和」=【理想】を信じた懐の深い知識人たちの必死の努力も正確な評価ができない。単純な被害者意識では、日本の植民地政策や日中戦争下で苦しんだ朝鮮民衆や中国民衆の怨嗟の想いを理解できない。

現在の北朝鮮の瀬戸際外交の淵源を辿れば、結局、戦前の日本支配、戦後の冷戦構造の残滓に他ならない。特に、冷戦期の米国の北朝鮮政策のつけが、非常に大きい。

今回の北朝鮮危機も韓国の朴新政権が北と友好関係を結びそうなのを事前に壊そうとする米国軍産複合体の思惑と北との緊張関係をつくりだし、中国包囲網の一環としようとする米国の思惑が大きな要因だと考えられる。ただ、中国包囲網を狭めようとする米国の思惑が強ければ強いほど中国はロシアに傾斜する。それが証拠に中国の習近平の最初の訪問国がロシアだった。これも今回の北朝鮮危機と時機を同じくしている。

田中宇は、「中露は、結束して北朝鮮やイラン、シリアの問題を解決する方針を決めている。習近平訪露の直後には、南アフリカでBRICSサミットも開かれ、米国がやり散らかして混乱している国際問題をBRICS主導で解決していくことが提案されている。」(田中宇:北朝鮮を扇動する米国)と指摘している。つまり、北朝鮮危機の背後には、超大国のヘゲモニー争いがあるという事になる。

その文脈で安倍政権の政策を見れば、米国軍産複合体の意図とぴったり合わさっている事は一目瞭然である。政治・メディア挙げて危機感をあおり、尖閣問題・沖縄基地問題・自衛隊装備強化・最終的には憲法改正(9条改正)を一気に行おうとする意図が透けて見える。これが、小沢問題を契機にして民主党政権を瓦解させ、自民党政権を復活させた【政官業外メディア】の既得権益勢力の狙いに他ならない。アベノミクスなどと浮かれていれば、今に地獄を見る。

日本や日本人は、対馬海峡を渡り、対馬海峡を戻った過去の日本人たちの悲惨な運命や辛酸を見つめなおさなければならない。国家の暴走の犠牲者は、常に国民である。国家や政治を馬鹿にしていれば、必ず馬鹿にしたはずの国家や政治から復讐される。

イラク民衆の悲惨、アフガニスタン民衆の悲惨、いずれも米国の戦争であり、米国流正義の名の下に行われた。これは対岸の火事ではない。私たちは、もう一度戦前の歴史と戦後の歴史を噛み締めなければならない。

「護憲+コラム」より
流水
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憲法改正以後

2013-04-10 10:10:12 | 憲法
憲法改正問題が表面化したり水面下に沈んだりのこの数十年であるが、実際には政治権力は有事体制を着々とこなしてきているわけで、外堀は大分埋められてきた。

有事法制という政治用語であるが、正しくは(政府の誤魔化しを許さなければ)戦時法制と呼ぶべきものである。有事体制の完成段階は憲法9条の改正に他ならない。

ところで、有事法制の実現と法令の実施段階で問題化する憲法条項は憲法9条だけであろうか。そうではなく最初に剥奪される基本権は表現の自由である。

有事法制では敵国と通じる恐れのある報道は禁止され、これを行った報道機関は処罰されるとなっている。もちろん、これは有事の際に関しての報道規制であるが、こうして、有事体制が完成段階に立ち至った場合には、国民の基本権は大幅に制限されてくる。

どの有事体制批判書にもあまり書かれていないが、私たちは(親の世代以前)実はこういう市民権の剥奪状態は経験済みの事柄であった。20世紀前半の歴史こそが、その経験の歴史なのである。

日本と同盟を結ぶことになるドイツでは、第一次世界大戦後に共和国を発足させ、社会権など当時でも先進的な人権を掲げたワイマール憲法を制定させた。しかし、敗戦国ドイツの戦争賠償額は巨大なものであったために、信じられないような経済不況がドイツを襲い、共和国は崩壊した。

ナチス党がこの間隙をついて政権を掌握し(授権法)、ファシズム体制が完成する。先進的な憲法秩序は音を立てて崩壊し、ドイツ市民は言論の自由など基本権を剥奪された。ナチスはドイツ国籍のユダヤ人を初めとした人々を強制収容所に送り、絶滅計画(ヒトラーの構想である)が実施された。

同様なことは日本でも起きていた。大正デモクラシーと言われていた時代、国民の権利の確保はかなり進展していた。司法でも陪審制度が実現されたのもこの時期だった。

ところが、議会で治安維持法が制定されると、当初は法令の実施はされなかったが、10年もすると治安維持法は猛威を振るうことになった。さらに組閣にも軍部が介入して軍人が閣僚の座を多数独占するようになると、国民の言論の自由などは完全に剥奪された。

こうした歴史的な経験があったからと言って、今回も同じような道に進むとは言えないが、有事体制と憲法9条の改正によって別種のファシズム:全体主義が頭角を現す可能性は大である。

安倍首相がつとに言う「それは階級史観だ」という政敵批判の表現に、それはよく示されている。資本主義社会で階級が存在しないような理解しか持ち合わせていない人間が首相になっているという危険性であり、立憲主義の墓堀人になる危険性である。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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「ブラックボックス」 篠田節子著

2013-04-07 20:44:16 | 暮らし
久し振りに読み応えのある小説を読みました。

「安心 安全」という言葉に象徴されたハイテク農法で生産されたパック詰め野菜。この野菜を扱う工場で深夜勤務する日本人女性、農場経営者、学校栄養士の3人の視点で描かれています。

工場勤務の外国人研修生達は、自社製品のサンドイッチ、サラダなどを日常的に食べ続け体調を崩し、故国に帰ったフィリピン女性の一人は癌の為死亡し、ある一人の女性は重い障害を持つ子を死産します。それだけではなく、「研修生」として日本に働きに来ている外国人労働者の「研修」とは名ばかりの低賃金、劣悪な深夜労働、セクハラまでリアルに描き出しています。

学校栄養士の女性は、子ども達がこの農法で作られた野菜を給食で食べる内にアレルギーを発症し、何人かの子どもが重篤な状態に陥り、ハイテク農法野菜に疑問を持ち始めます。

農業経営者は、遺伝子組み換えでもない、農薬も使用しない「安心、安全」な筈の、自らのハイテク農場でつくる野菜がうま味も風味もないのに、「プチドレッシング」という正体の分からない粉末を振りかける事で採れたての野菜のように変化していくのを目の当たりに見ます。

そして、日常的にそれを食べていた甥が白血病を発症した事により自分の学生時代の友人に頼んで「プチドレッシング」を分析してもらうのですが、単体では人体に影響を及ぼすものではないという結果が出ます。しかし、物語の後半になってこの「プチドレッシング」の恐るべき影響が体内に蓄積されている事が判明します。

最初はバラバラに行動していた彼らも、同じ中学の同窓生であり同窓会を機会に再会した事から、それぞれの生活環境で起きている「何だか、得体の知れない嫌な感じ」を語り合う内に、ただごとではない何かがこの村で起きている事実に気づきます。

しかし、データーを集めて色々な機関に訴えても却下され、ネットを通じて情報を発信すれば夥しい数の中傷やバッシングに合い、ネットも封鎖せざるをえなくなり、情報の発信元も突き止められて解雇されそうになったりします。

もう八方ふさがりでどうしょうもなくなった時、最後に意外な展開が起きて取りあえずハイテク農法の工場は閉鎖されます。彼らはそれぞれの働く先を確保出来るのですが、それも一時の事、また新たな資本がこの地域に目をつけるだろうという所で物語は終わっています。

私が興味を引かれたのはこの「ハイテク農法」つくった経営者が利権だけのためではなく「安心、安全」な野菜をつくることで、外国資本の大規模農法に対抗しようとしたこと。この工場の野菜は無農薬で、遺伝子組み換えもしていない。

地元の人達もその「農業工場」で働いたり、土地を提供し工場建設を負担したりする事で生活が成り立っていくということ。外国人研修生も、過酷な労働、セクハラの果てに妊娠までさせられた職場であっても、他のパスポートも取り上げられ、賃金も「貯金」という名目で渡してもらえない他の地域の職場に比べたら「天国みたい」と言っている現実。

給食を食べる子ども達も「食べやすく、味付けが良く、形もきれい」だから残菜も少なく美味しく食べられるようになったという事実。

地元でパートと親の介護と家計のやりくり、子育てに追われている主婦達、たまの気晴らしはカラオケとパチンコくらいという彼女たちにはカット野菜は重宝で、他の情報は入ってこないし、入って来たとしてもこの閉鎖的な地域ではめったな事は言えないし話題にする気もしない…。

そして事実を追求すればするほど、善か悪かでは計れない様々な人達の事情と思いがあるのです。

何だか「安心、安全」という何処かで聞いた言葉も含めて、誰が責任を取るのかというと、本当の責任がこの逮捕された経営者だけにあるとは思えないのです。

…誰も責任を取らない。それはこの物語だけでなく、今の日本で起きている事。「何かが変だ、何かがおかしい、何かとんでもないことが起きているのかも知れない」と心の奥底では感じていても、突き詰めて考えるのは恐い、半径10メートルの近しいコミニティのの調和だけを考えて生きていこうという人々の気持ちは、何かとんでもない恐ろしいものを、ジワジワと呼び寄せているのではないでしょうか。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
パンドラ
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米国の次期駐日大使候補を歓迎

2013-04-03 11:23:17 | 安全・外交
次の米国の駐日大使候補に故ケネディ元大統領の娘キャロライン・ケネディ氏(55)が任命される見通しだと報じられている。故ケネディ大統領が就任演説で米国の若者に訴えた「フロンティア・パイオニア精神」は、当時日本の若者にも少なからず感動を与えたように思う。

http://www.asahi.com/international/update/0402/TKY201304020016.html

また現在65歳以上の人であれば、ケネディ大統領が暗殺され弟と大統領の棺を見送っていたキャロラインさんの子供の頃の報道写真を覚えている方も居られるでしょう。当時の報道写真を検索してみました。

全く知らない大使より何か知っている駐日大使の方が親しみがわくのが人情というものであろう。報道によれば現在弁護士資格を持ち書籍編集をしているとのことである。

http://blogs.yahoo.co.jp/lelamomo/GALLERY/show_image.html?id=26836398&no=3
http://blogs.yahoo.co.jp/lelamomo/GALLERY/show_image.html?id=26836398&no=10
http://blogs.yahoo.co.jp/lelamomo/GALLERY/show_image.html?id=26836398&no=9

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔の美少年
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夜郎自大は止めよう

2013-04-01 19:53:37 | 社会問題
先日ごく小さな会合で、二・二六を中心に昭和史の話をする機会があり、ちょっとむきになってその辺のことを調べすぎた結果、話にまとまりがつかなくなって惨めな失敗に終わった。それが口惜しくてその後もその辺のことを読みまくっているが、あの昭和の狂気の二十年、軍人たちや一部のインテリの奇妙な超論理的な発想の始まった理由は、いまだに断定的な結論はない。

しかし、この狂気の時期をほぼ完全に生きる外なかった八十四歳の私は、もう絶対にこういった愚かな時代の再現を拒否することを敗戦とともに硬く決意したのであり、現憲法が決まった時、この九条はよその国に攻撃された時は無抵抗に降参することを決めたのであり、それは太平洋上の小島列島の日本の当然のことであり、当時、アメリカの占領下にあった(実は現在も同程度の支配下にある)日本の賢明な選択だと考えたのである。そういった点から考えると、すでに明治の末年に夏目漱石が『それから』の中で次のようにいっているのは、じつに見事な予言である。

「何故働かないって、そりゃ僕が悪いんじゃない。つまり世の中が悪いのだ。もっと、大袈裟に云ふと、日本対西洋の関係が駄目だから働かないのだ。第一、日本程借金を拵へて、貧乏震ひをしている国はありゃしない。此の借金が君、何時になったら返せると思ふか。そりゃ外債位は返せるだろう。けれども、それ許りが借金じゃありゃしない。日本は西洋から借金でもしなければ、到底立ち行かない国だ。それでいて、一等国を持って任じている。さうして無理にも一等国の仲間入りをしやうとする。だから、あらゆる方面に向かって奥行きを削って一等国丈の間口を張っちまった。なまじい張れるから、なお悲惨なものだ。牛と競争をする蛙と同じ事で、もう君、腹が裂けるよ。其影響はみんな我々個人の上に反射しているから見給へ。斯う西洋の圧迫を受けている国民は、頭に余裕がないから、碌な仕事は出来ない。悉く切り詰めた教育で、さうして目の廻るほどこき使われるから揃って神経衰弱になっちまふ・・・・・ 自分の事と自分の今日の、只今のことよりほかに何も考えてやしない考えられない程疲労しているんだから仕方がない。」 

そして戦後、この悲惨な経験によって日本人が少し利口になったかを考えてみると、日本の奇跡的な経済復興も実は朝鮮戦争という外発的な事情によるものであり、それによって戦後生まれの、今六十歳後半までの連中は全員、戦前よりはるかに裕福な生活を享受した結果、此の教訓は随分うすれてしまったように思われる。

しかしよく考えてみると、日本はほとんど資源のない太平洋上の小島列島であり、貿易以外に豊かな生活ができない事はまったく変わっていない。ここで再び昭和期を考え直してみると、それは短期的な視点で外国の情勢にすぐ感情的に反応して、しかも夜郎自大だった頭の悪い軍人の支配が、その失政の大きな理由だった。

それゆえに、今の若い人たちがどう考えるか分からないが、南の果ての、本来は日本領でもなんでもない尖閣諸島の問題も、石原や橋下のように夜郎自大に威張りかえるのはやめたほうがいい。外務大臣まで毅然として対応するなどというのは笑止である。

阿片戦争から百五十年もかかって、国内的にも散々苦労して、英米独ソ日本の侵略をやっと排除して立派な統一国家を作り上げた中国の偉大さに十分敬意を払って、外交は柔軟にするのが外交というものである。困難にぶつかるとすぐ感情的に狂気になるのは昭和から少しも学ばなかったことである。

(註: 尖閣が日本領でないことは、ポツダム宣言を受諾した事で明瞭であるし、あの辺の無人島はもともとどこの国のものでもない。)

「護憲+コラム」より
鈴木建三
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