老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

東大は学問の自由と自治を護れるか

2012-01-29 16:30:50 | 教育
26日の日経新聞は、「文部科学省が大学政策の実務の責任者である高等教育局長を東京大の理事に出向させる異例の人事を行った」と報じ、そのことについて、『浜田純一学長は26日の報道各社との懇談会で、「文科省からの出向が悪いとは思わない。基本は学長が理事を使いこなす力を持ち、言うことを聞かないなら辞めさせるというスタンスを取れるかが大事だ」と述べた。』と報じている。

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E0E4E2E7EA8DE0E4E
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このことについて憲法第23条、「学問の自由は、これを保障する。」を照らして見るならば、このような人事が将来にわたって国立大学に定着すれば果たして学問の自由と大学の自治が保障されるであろうか危惧せざるを得ない。浜田学長は、「言うことを聞かないなら辞めさせるというスタンスを取れるかが大事だ」と能天気なことを言っているが、将来ともそのような学長ばかりではないであろう。言うことを聞かずに辞めさせられ、辞めざるを得なくなるのは、時の政府や行政に異を唱える教授であり学説であることは歴史が証明している。

1933年の京大滝川事件や1935年の東大美濃部達吉天皇機関説事件等の、国会や行政府の思想弾圧の歴史を見れば明らかである。まして文科省がら出向してきた官僚理事がそのような場合にどちら側に立つか自明の理である。

またこのような極端な場合だけでなく、次のような弊害が日常発生することも予想される。
例えば政府や国会の意にそわない教授を無視したり、研究予算を削除したりする嫌がらせである。このこと自体がすでに憲法23条を無視する行為である。また狡猾な官僚理事であれば異を唱える教授の追放は簡単であろう。不明朗な研究費の使い方や業界からの寄付金の授受を調べ槍玉に挙げて来るのでる。

第二の弊害は東大が理事を受け入れれば、全国の国立大学が右え習いして、どこを切っても金太郎飴のようになり、大学の特長と自治は失われかねない。その挙げ句、国立大学は文科省の天下り先になり、文科省の意のままに操られ、また将来橋下大阪市長が文科大臣にでもなれば京大事件を引き起こした鳩山一郎文部大臣の二の舞を演じ、もっと恐ろしいことになりかねない。いわゆる百害あって一利無しと言っても過言ではあるまい。

新聞報道からは今回の出向がどのような理由で成されたのか定かでないが、仮に今回の東電の原発事故に関連して東大原子力工学科と経産省の原子力保安院や内閣府の原子力安全委員会との関連並びに東電との関係を文科省として実態調査するためであれば一理はありそうだが、そうでもなさそうである。例えそうでも憲法23条に照らして出向は期限限定とすべきである。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔の美少年

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