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老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

酷暑が如何に危険であるか、を説明する考え方が提供される

2025-03-20 13:15:46 | 環境問題
超加工食品の記事探しをしている際、興味ある記事を見つけたので、ここに紹介します。
「猛暑が老化スピードを加速する」事実を裏付ける考え方を提示する研究報告になります。

こまめに水分を取らないと熱中症が心配、暑さで寝不足になるのが心配、といった考えを持っていることから、猛暑・酷暑が危険であることは薄々感じていたとは思いますが、何故危険なのかの本質を上手く説明することは、結構難しかったのではないかと思います。

今回紹介する記事は、猛暑・酷暑が、事実として私たちの体に危険な刻印を押す実態を示すものであり、猛暑・酷暑の危険性の認識を更に深め、対処を自身の問題として、また家族・地域社会・国として、更に行政・政治家・政党として考る際に必要な道しるべとなる事柄を示唆してくれているものとして、非常に重要な研究だと思います。

紹介する記事は、次の2つ。詳細な訳出はせず、要点のみの紹介になります。

「喫煙が原因で実質年齢が高齢化していくのと同じように、熱暑が人びとの老齢化を促進している(原題:Heat can age you as much as smoking, a new study finds)」npr、2025年3月17日、Alejandra Borunda氏記す
「熱暑が老齢化のスピードを早める可能性がある(原題:Extreme heat may speed up aging)」 NEWS MEDICAL LIFE SCIENCES、2025年3月5日、Priyom Bose博士記す

またこれら2つの紹介記事のもととなる最近報告の学術研究は、次のものになります。

”遺伝子レベルの測定から、屋外の気温がアメリカの高齢者の生物学的年齢の老齢化を加速している(原題:Ambient outdoor heat and accelerated epigenetic aging among older adults in the US、Science Advances,vol.11,No.9,2025、Feb.26)”

1. 今回の研究の要点
研究者らは、全米各地から選んだ3600人以上の高齢者からの採取血液を分析して、それぞれの被検高齢者の『エピジェネティック年齢(epigenetic aging)』を算出している。
合わせて、研究者らは、血液採血前の6年間にわたり、それぞれの被験者が受けていた熱履歴を示す『暑さ指数(Heat Index)』を、『気候と天候モデル』をもとに算出し、それら得られた『各被験者の受けていた暑さ指数』と『各被験者のエピジェネティック年齢』とを付け合わせて、それらの間にある相関性を検討している。
即ち、今回、研究者らは屋外の気温と湿度とが如何に人々の生物学的な年齢に影響するかの確認を、高温に曝された人々のDNA上に起こる微小な変化の調査と付け合わせることで行ったわけである。

得られた結果は、明白であり、厳しい『暑さ指数』の地域に暮らす人々の『エピジェネティク年齢』が、『暑さ指数』が小さい冷涼な地域に暮らす人々の『エピジェネティク年齢』に比べて、14カ月程高齢化・老齢化が進行していることを示したという。

2.『エピジェネティック年齢(epigenetic aging)』とは何か?
人が持つ遺伝子DNA鎖というものは、人が齢を重ねるにつれて、DNA鎖の配列に変更はなくとも、DNA鎖のある部分に後天的に様々な修飾が起こり、そしてその修飾が蓄積されていくさまが、即ち、人が老いていく様子とプラスの比例関係になっているとされている。この修飾が年齢とともに増大していくことはごく自然なことで避けられないことであり、即ち暦の上での年齢にふさわしい老齢の兆候をごく自然に積み重ねていくのが人間だと言えよう。但し、ある人は暦の上での年齢より老けて見えたりすることがままあるのも、また反対に年より若く見えたりすることも、良くある事実でしょう。

この「暦の上での年齢」では推し量れないことがままある実質的な年齢のことを、「生物学的年齢」とも言い、また今回紹介する『エピジェネティック年齢』とも言っております。

3.『エピジェネティック年齢』の算出の方法
先に触れた修飾の仕方の一つとしてDNA鎖の構造中のシトシン部分の水素がメチル基で置き換わることに注目が集まっている。具体的には、グアニンが隣接するシトシン部位にメチル化が起こることが認められており、そしてDNAのメチル化修飾度合いが、分析機器的に技術的に定量可能となったことから、この技術を用いて研究が進められ、分析的に求めたDNAのメチル基修飾度合いの定量測定値が『生物学的年齢』『エピジェネティック年齢』と極めて良く相関することが判明したことがあり、それを利用しての老齢化や逆に若返り化に関する研究が近年盛んに行われているのであろう。

幾つか他の修飾がある中でメチル基修飾に注目が集まっている理由は、分析機器的に取り組みやすく、この分野の分析機器の開発が先行したことに原因があるのではと思います。

4.『エピジェネティック年齢』に影響を与える要因ならびに懸念すべき情報
生物学的観点からみた私たちの実質年齢の高齢化・老齢化を促進する動因として熱波・熱暑が働くことは今回の研究から明らかにされたと言えます。

ここで、併せて注意すべき点として、高齢になるにつれ、老人は熱に対する防御能力が低下していくことが避けられないという事実でしょう。
即ち発汗能力の低下であり、血流の能力の低下であり、結果としての血液温度を下げるのに必要な体の表面への血液送達力の低下であり、また老齢になると服薬するある種の薬剤が人の熱耐性を妨害する等のことも要因とされている。そもそも老齢化するほど熱暑に弱い状況に老人は置かれることに留意することが重要と言える。

そして異常気象の現状はというと、例えば、猛暑で名高く熱中症や心臓疾患が頻発している米・フェニックスでは、昨年32.2℃(90度F)越えが記録となる188日に達し、その内の140日以上が37.8℃(100度F)越えとなったとされる。
また、気象評価を行っているアメリカの国立機関によると、2050年頃のアメリカでは、熱暑日の日数が更に20日から30日増大すると見積もられると報道されている。
即ち、熱中症の恐れを心配する必要のある熱暑日や熱帯夜が、更に1カ月分追加されることになるのである。

また熱暑や熱波が、高齢者の老齢化を促進するという研究結果は人々の心臓機能の老化をも促進することを意味しており、心臓疾患の悪化といった危惧すべき事態の進行が懸念される所です。しかも、危惧すべき対象となる人は、高齢者だけではなく、若い人にも同じく、熱暑・熱波は人々のDNA上に悪い刻印を押していくことになります。

ボストン大学の高齢医学者のCarrさんによると、例えば今回の研究が示す早期老齢化の状況は、認知症・糖尿病・心臓血管系疾患といった疾患の早期発症に結び付くものであり、これら発症の早期化が早く起これば起こるほど、人々の健康と仕事の生産性に影響を及ぼし、地域共同体に大きな影響を与えることになると指摘している。

『エピジェネティック年齢』に影響を与える要因には、熱波や熱暑以外にも多くの要因がストレスとして働くとされ、例えばタバコの喫煙や食習慣や運動の多寡そして生活水準や教育水準、更に精神的ストレスや物理的ストレスもストレスになると指摘している。

ここで、食習慣のストレスに、超加工食品が拡大している現状も加えるべき、と考えます。
超加工食品の拡大を懸念する理由は、簡単に言えば、工業界が期待するがままに、超加工食品への依存を高めていくと、私たちの胃袋にはそもそも限界があり、拡大する超加工食品で既に満たされた私たちの胃袋には、伝統的な食べものに向ける隙間・余地が無くなっている、と表現すれば容易に理解していただけると思います。

それら伝統的な食べものに、実は健康に役立つ『良さ』があると言われているのですから。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan


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